「運転手」だけど、運転だけが仕事じゃない私が経験した検診車・献血車・テレビ中継車という3つの仕事
「大型免許を持っている人の仕事」と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか。
大型トラックのドライバー。
路線バスや観光バスの運転手。
あるいはダンプカーや大型特殊車両などを思い浮かべる人もいるでしょう。
しかし、大型免許を活かせる仕事はそれだけではありません。
私はこれまで、少し変わった大型車両を使う仕事を経験してきました。
検診車。
献血車。
そして、
テレビ中継車両。
この3つです。
それぞれまったく違う業界の仕事です。
検診車は、健診センターをはじめ、公益財団法人や医療法人などが行う巡回健診で使用されます。
献血車は、日本赤十字社の血液センターから企業や学校、商業施設などの献血会場へ向かいます。
そしてテレビ中継車両は、放送に関係する民間企業などから、スポーツやイベント、番組収録などの現場へ向かいます。
医療。
血液事業。
テレビ・放送。
一見すると、ほとんど接点のない3つの世界です。
ところが、実際に働いてみると、ある共通点がありました。
それは、
「運転手として採用されても、運転だけをしているわけではない」
ということです。
「大型車を運転する仕事」だと思っていた
大型車の仕事というと、
車庫から出発して、目的地まで運転する。
仕事を終えたら、また車庫まで運転して帰る。
そんなイメージを持つ人もいると思います。
もちろん、検診車も献血車も中継車両も、安全に現場まで車両を運ぶことは重要な仕事です。
大型車ですから、普通乗用車とは違います。
車幅もあります。
高さもあります。
長さもあります。
会場によっては決して広いとは言えない場所へ入っていかなければならないこともあります。
しかし、現場へ到着して駐車したら仕事が終わるわけではありません。
むしろ、
そこからが本当の仕事の始まりです。
検診車――「ドライバー」より「健診スタッフ」
検診車の仕事では、大型の検診車を運転して健診会場へ向かいます。
しかし現場に到着すると、運転席を降ります。
そして健診を行う現場のスタッフとして仕事をします。
受付。
案内。
誘導。
健診業務に必要な準備。
終了後の片付け。
もちろん具体的な業務内容は勤務先や担当によって異なりますが、少なくとも私が経験した世界では、
「検診車を運転するだけの人」ではありませんでした。
感覚としてはむしろ、
「健診スタッフの中に、大型車を運転できる人がいる」
と考えたほうが近いと思います。
これは一般的なトラックドライバーを想像していると、かなり違って見える仕事かもしれません。
献血車――血液センターの現場スタッフとして働く
献血車も似ています。
献血バスを運転して各地の献血会場へ向かいます。
企業。
学校。
商業施設。
イベント会場など、さまざまな場所で献血が行われます。
しかし、ここでも仕事は運転だけではありません。
現場では受付や案内、誘導などに関わり、献血を実施するチームの一員として働きます。
つまり、
「献血バスの運転手」
という言葉だけでは、実際の仕事を十分に説明できないのです。
私自身の経験から表現するなら、
「血液センターの現場スタッフであり、その中で大型の献血車も運転する人」
という感覚のほうが近いです。
テレビ中継車――今度はまったく違う世界へ
そしてもう一つ。
テレビ中継車両です。
検診車や献血車とは、一気に世界が変わります。
医療でもありません。
公益事業でもありません。
民間企業の仕事です。
テレビ中継というと、華やかな世界を想像する人もいるでしょう。
しかし、中継を成立させるためには多くのスタッフと機材、そして車両が動いています。
その中に中継車両の運行があります。
こちらについても、
「テレビ中継車を運転して現場へ行けば終わり」
という単純な世界ではありませんでした。
現場に入る時間。
車両を置く場所。
中継そのもののスケジュール。
現場で働くさまざまなスタッフ。
そして撤収。
検診車とも献血車とも違う、独特の仕事の流れがあります。
この世界についても、今後の記事で詳しく書いていこうと思います。
3つを経験して分かった共通点
検診車。
献血車。
テレビ中継車両。
所属する組織も違えば、現場で行う仕事も違います。
それでも3つを経験した私が感じる、大きな共通点があります。
それは、
「大型車を運転する仕事」ではなく
「大型車も運転する仕事」だった
ということです。
これは似ているようで、かなり違います。
大型トラックの場合、基本的には荷物を目的地まで安全に輸送することが仕事の中心になります。
バスであれば、お客様を安全に目的地まで運ぶことが中心です。
しかし検診車や献血車、中継車両の場合、車両そのものが現場を成立させるための設備の一部でもあります。
目的地に着いてから、もう一つの仕事が始まる。
この感覚は、実際に経験してみないとなかなか分からないところでした。
大型免許を持っている人に知ってほしい
このシリーズを書こうと思った理由の一つが、
「大型免許を持っているからといって、仕事はトラックやバスだけではない」
ということを伝えたかったからです。
世の中には、意外なところで大型免許を必要としている仕事があります。
そして、その仕事についてインターネットで調べても、求人情報や組織側からの仕事内容の説明は見つかっても、
「実際に働いた人から見てどうだったのか」
という情報は、それほど多くありません。
まして、
検診車・献血車・テレビ中継車両の3つを経験した立場から比較する情報
となると、さらに少なくなります。
だからこそ、このシリーズでは求人票だけでは見えてこない部分を書いてみようと思います。
どんな一日を過ごすのか。
運転以外に何をするのか。
普通の大型車とは何が違うのか。
どんなところが大変なのか。
逆に、どんなところが面白いのか。
勤務時間や休日はどうなのか。
人間関係はどうなのか。
そして、
「これからこの仕事をやってみたい人に、私は勧めるのか」
そんなところまで、可能な範囲で自分自身の経験をもとに書いていきます。
なお、勤務内容や待遇などは組織・会社・地域・時期によって当然異なります。
このシリーズで紹介する内容は、あくまで私自身が勤務した当時の経験を中心としたものです。
特定の組織や企業の内部事情を暴露することが目的ではありません。
これから特殊な大型車の仕事を考えている人に、
「こんな働き方もあるんだ」
と知ってもらうためのシリーズです。
次回――「検診車ドライバーのリアル」
次回から、一つずつ詳しく見ていきます。
最初は、
検診車。
大型の検診車を運転して健診会場へ向かい、現場では健診スタッフとして働く。
では実際には、どんな一日になるのでしょうか。
朝は何時から始まるのか。
どんな場所まで運転するのか。
現場に着いたら何をするのか。
大型車の運転経験はどの程度必要なのか。
そして、
「検診車の仕事は、どんな人に向いているのか」
私が実際に経験したことをもとに、次回からもう少し踏み込んでお話しします。
次回
『検診車ドライバーのリアル――大型車を降りてから始まる仕事』
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