絶望したその日から、すべてが輝き始めた 第2回
約800字
強烈なギャグマンガは、
私には向いていなかったのか、
人気は出ませんでした。
漫画の世界は、人気がすべてです。
人気のない作家は、新人と入れ替えられていきます。
【1979年 昭和54年 30歳】
心の奥では漠然と感じていたのですが、
ついに、その時が来ました。
『少女フレンド』を、クビになったのです。
本当に困りました。
けれど——
思いがけない流れが、そこから始まりました。
ちょうどその頃、
漫画の世界に、大きな変化が起きていました。
少女漫画の読者が大人になり、
まったく新しい流れが生まれ始めていたのです。
——レディースコミック。

それは、少女漫画とはまったく別の世界でした。
作家の人生さえ変えてしまうほどの、
大きな流れでした。
私は、そこに拾われました。
かつての担当編集者が、
講談社で立ち上がった“レディースコミック”に異動していました。
それは、
漫画の世界がひっくり返るほどの、
大きな転換でした。
「きんちゃん、漫画家が足りないから、うちで描いてよ」
そう声をかけてくれたのです。
さらに女性自身のレディースコミックでも、
連載を持つことができました。
気がつけば、
漫画家としての仕事は、なんとかつながっていました。

『少女フレンド』を、クビになり、
窮地に陥りましたが、
レディース・コミックのおかげで、
一息つくことができました。
ほっとしました。
週刊誌から月刊誌へと変わりましたが、
複数の雑誌で連載を持つことができ、
経済的にも、再び安定しました。
気がつけば——
収入が途絶えそうなときの緊張感は、すっかり消えていました。
人気作家になりたい、という野望も薄くなり、
ただ、日々の仕事をこなすだけになっていました。
「自分は運がいい。何とかなりそうだ。」
いつの間にか、
そう思うようになっていたのです。
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
けれど——この安定は、長くは続きませんでした。
【続く】
