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人生を考えるきっかけをくれた本たち

小さなころから今に至るまで、ずっと読書が好きだ。
子どもの頃も図書館に通っては何十冊もの本を借りては、その日のうちに読んでしまっていたし、今年に入ってからの3ヶ月で既に70冊以上の本を読んだ。

だけど、読書家というよりは、活字中毒みたいな感じなのかな、とも思う。
常に「読んでいる本」がないと落ち着かない。
少し遠出するときは、途中で本を読み終わってしまったら不安だから、何冊か持って行くこともしばしばだ。
何度も読み返したという本は少なくて乱読で広く浅く読んできたような気もする。
だから、「人生の一書」や「おすすめの本」などを聞かれると、いつもとても悩んでしまう。

私の所属しているオンラインサロン、『京都暮らしの編集室』では、月替わりでテーマを決めてnote記事を書いて投稿する、『noteチャレンジ』という取り組みを行っている。
今年度は、頑張って毎月取り組みたいと思っていたけど、4月のお題、『私という人間を定義した3冊』を前にして、なかなか書けずに手が止まってしまった。

なので、難しく考えず、今まで読んだ本の中で心を動かされたなと感じる本を紹介するくらいのつもりで綴ってみようと思う。


1・石川啄木 『一握の砂・悲しき玩具』

明治時代の著名な歌人、石川啄木の短歌集。
私が初めてこの本を読んだのは、高校生の時だった。
学校に行けない日々が続いていたので、ひたすら、本を読んでいた時期に出会った一冊である。

啄木の歌の良さは、人の醜さや弱さも、そのまま描き出していていることだと思っている。

青春を謳歌できず、すごくつらかったその時期、私にとっては、どんなに明るく希望にあふれた文章よりも、啄木の苦しみや悔しさや歯がゆさをそのままぶつけるような歌が私に寄り添ってくれた。

当時私が一番心に刺さったのは、

一度でも 我に頭を下げさせし 人みな死ねといのりてしこと

一握の砂より

という歌だ。

物騒な歌というか、怒られた相手に悪態ついてるだけの歌のようだけれども、私はここに、啄木の不屈の精神というか、「今に見てろよ。いつかかならず立派になってやる!」みたいな闘志を感じて、

「私も今は学校にも社会にも隔絶された存在だけれど、いつか必ず、社会で何かの役目を果たしたい!」

みたいな、ここで終わりたくない、苦しいけれど、耐えてみせる、みたいな気持ちにさせてもらえたのだ。

当時の私の気持ちに、啄木の素直な心はすごくマッチし、強烈に印象に残っている一書である。


2.遠藤周作『沈黙』

3年前、転職にあたっての有休消化を利用して、長崎に一人旅した。
そこで触れた隠れキリシタンの歴史に猛烈に心を動かされた。
迫害を受けながらも信仰を貫き通し、禁教とされてから300年近くもの間、人々に脈々と受け継がれ続けていただなんて、なんてすごいことだろう。
人の「信じる気持ち」の強さを思わずにはいられなかった。

そんな迫害を受け続けたキリシタンたちを描いている小説があると知り、旅の後に読みふけったのが『沈黙』である。

文字通り神も仏もあったものかと思うような状況の中で、信じ抜くこと、疑うこと、はたしてどちらが強いのか。
最後まで何が正しいのか、考えさせてくれる本であった。

実は私にとって、「信仰」というものは、人生で常に考え続けているテーマの1つでもある。

信じる強さ、信じる弱さ。
本当に難しく、一生向き合い考えていきたいと思っている。

ちなみに最近読んだ村田沙耶香さんの『信仰』もおもしろかった。


3.齊藤彩『母という呪縛 娘という監獄』

2010年代に実際にあった娘が母親を殺した事件のノンフィクション。

犯人だった娘は、私とほとんど年が変わらない、同じ時代を生きた女性だ。
母親に医学部合格を強いられ、9年間浪人生活をさせられていた。
最終的に看護学部に進学し、卒業を目前にしたときに再び母親に助産師になるよう強いられたことから殺害に至った。
そんな彼女の人生が細やかな取材をもとに綴られている。

こちらも、私の人生で探求したいテーマの1つ、「母と娘」について考える一助となった作品だ。

人生のほとんどを母の支配下に置かれ、自分を生きられなかった彼女。
挙句殺人犯となり、社会的にも地位を失ったともいえる絶望的な状況の中で語る、彼女の今後の生き方への思いに、はたと自分も考えさせられた。
何もかもを失ってしまったときに、私は何をしたいと思うだろう。


ずっと、母の意を汲んで人生を生き、自分を見失っていたことを嘆いていた自分。
だけど、私よりもうんと辛い状況の中でも再出発を考えている彼女の言葉に、ただ何かや誰かのせいにするんじゃなくて、私もちゃんと自分の人生と向き合いたいと思った。

ふりかえり

選びきれない、なんて思っていたけど、ピックアップしてみると、素直な感動作品や、純粋なハッピーエンドの作品じゃないあたりが、ひねくれ者の自分らしいなぁと感じる。
これらはきっと、まぎれもなく「私」を形成している作品の一部なんだと思う。

ページをめくるのが待てないほど面白い本も、大好きな本も、他にもいっぱいあったけど、きっと私は、きれいごとじゃない人の心の動きや、世の中の矛盾、自己探求などを考えさせてくれたり、新たな視点をくれるような本によって、つくられている。


新たな気づきをいただけたこの企画に感謝します。

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