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ドラマ「対岸の家事」で気づいたこと:令和の育児、逃げ場のない社会で──「孤立」を乗り越えて私がたどり着いた場所【前編】


私もしろやまはるかだったかもしれない

赤ちゃんが何をしても泣き止まない夜がある。

「対岸の家事~これが、私の生きる道!~ シングルマザーの白山」


どれだけ抱いても、ミルクをあげても、オムツを替えても、泣きやまない―
そんなとき、ふと頭をよぎる「もう無理だ」という思い。
私も、心がすり減って「限界」を感じたことが、何度もあった。

ニュースで「目を離したすきに浴槽で赤ちゃんが溺れた」という痛ましい事故や保育園駐車場で親が目を離したすきに1歳児がはねられてなくなる事故が報じられるたび、
「私だって、もしかしたら……」と胸が締め付けられる。
親の責任論がネットやメディアで叫ばれるけれど、
実際に育児をしていると「完璧な見守り」なんて現実的じゃない。
誰も悪人はいない。それでも、一瞬で家族の、人生のすべてが壊れてしまう現実がある。


普段テレビを見ない私が、一気見してしまったドラマ「対岸の家事~これが、私の生きる道!」

私は普段、テレビをほとんど見ない。
でもある日、心理士の友人がこんな話をしてくれた。

「子育て広場に来ているママたちが、今ワーママと専業主婦のバトルを描いたドラマでめっちゃ盛り上がってるよ」

そんなに話題になっているの?と気になって、
配信サービスでそのドラマを見始めた。
気が付けば、気持ちが引き込まれ、8話まで一気に見てしまった。


ドラマの中の「正しさ」と「苦しさ」が、私たちの現実だった

そのドラマでは、ワーキングマザーも専業主婦も、専業主夫も、
それぞれが自分の「正しさ」と「苦しさ」を抱えて、ぶつかり合っていた。
「子どものために一緒にいるべきだ」「仕事で自己実現も大切だ」
どちらを選んでも、結局は自分で選んだのだから、「親なら頑張って当然」「周りに迷惑をかけてはいけない」という無言の圧力がのしかかる。

画面の中の“戦い”は、20年前の私の日常そのものだった。
専業主婦を10年やっていた私は、
「子どもと一緒にいられる時間は貴重」と言い聞かせていたけれど、昼間話の通じない子どもと一日中一緒に過ごしたり、常に家事と子育てに追われて自分の身なりにもかまわず、周りの人がバリバリ働くのをみていると、勝手に取り残された感が襲ってくる。それで、あれこれイベントを見つけては、体験させてあげようと遠出したり、予定を詰めんこんでクタクタになっていたこともあった。
実は「一人になりたくない」「大人とはなしたい」「情報が欲しい」という理由からママ友と必死に繋がっていたこともあったのだと思う。
昼間のランチやお出かけ、同じ習い事で知り合ったママたちとの交流――
性格が合う・合わないなんて関係なく、とにかく「孤独」だけは避けたかった。

それも、「これが子どものため」と思い込もうとしていたから。
でも本当は、「自分が孤独にならないため」という思いが強かったのかもしれない。


変わらない社会の“当たり前”と、逃げ場のなさ

私が子育てしてきた時代と今とでは、環境は大きく変わった。
でも、「親だけが子どもの幸せに責任を持たされる」という社会の“当たり前”は、ほとんど変わっていない。

働けば「子どもがかわいそう」と言われ、
専業主婦なら「時代遅れ」と言われる。
どちらを選んでも、「間違えたら親のせい」という空気が消えない。
SNSが発達した今は、他人の子育てや生活が可視化され、
“孤独”も“比較”も、むしろ深くなっている気がする。


本当に必要だったのは、“子どものため”ではなく、“私自身が支えられること”だった

今振り返ると、「これが正解」と信じていた育児も、
「子どものため」と思い込んでいた付き合いも、
全部、“孤独を避ける”ための必死な努力だった。

育児に「逃げ場」がない社会で、
親は自分を責め、追い込まれ続けるしかなかったのかもしれない。


事故や虐待――「親の責任」では終わらせないために

もし私が、ほんの少し状況が違えば――
もし心身がもう少し追い詰められていたら、
ニュースで報じられる事件や事故の“当事者”になっていたかもしれない。

だから私は、「親の孤独」を防ぐ社会が必要だと本気で思う。

次回の【後編】では、
私がNPO法人Chou・chouを立ち上げるに至った経緯と、
「親も支えられていい社会」をどう作っていくかについて、
具体的に綴ります。



「親の孤独」を減らすことが、子どもの育ちを守る最初の一歩になる。
シュシュの活動とともに、
社会全体で“逃げ場”を作る挑戦を続けたい。


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