詩: 月の光を溶かしたスープ
満月が照らしている
都会の外れのアパート
窓を叩く風はあの日の波
海辺でぶつけ合った言葉
もう会えない彼の声
波の音にまぎれて消えた声
灯りを消したキッチンで
彼女が温めているのは
月の光を溶かしたスープ
泡い月色の湯気が立ちのぼる鍋から
スプーンでひと口
少し塩が足りないな
でも
それでいい
完璧じゃないほうが記憶に残るから
静かにスープを飲むこと
それは祈りの時間
もう一度会えたらいいな
その夜 夢の中で
海辺の彼は笑っていました
風はやさしく吹いていました
(レイ 2023.10.18)
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