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あ、今日は水曜日だった。

こんにちは。

いえ、本当は、こんばんはと言うべきなんでしょう。
でも、関係ありません。僕は今起きたので、「こんにちは」です。

「なら、『おはようございます』だろ」
と言ったご意見が聞こえてきそうですが、一旦無視します。


この文章を読み始めていただいた皆さん、今の段階で謝罪しておきます。
申し訳ございません。

文章として発表しているわけだから、この段階で謝るのは逃げのような気がします。それは、僕が一番感じていることです。

しかし、今から書くことは、自分でもよく整理がついていません。それに加えて、僕はただの暇な大学生です。

「君、一年生じゃないよね?」

そう言われてしまうような、レポートしか書けません。
そういうレベルの人間が整理できていない事柄を書くなんて、鬼に金棒どころか、大谷にバットぐらい誰もかないません。


言い訳を重ねるようで恐縮ですが、僕も夢なんじゃないかと思っています。
最近読んだ本の中に、こんな言葉がありました。

「まずエネルギーのパターンに変化が生じ、夜見る夢や白昼夢が強烈に、そして鮮明になる。」

「ずっとやりたかったことをやりなさい」(2017)ジュリア・キャメロン サンマーク出版 p167

あ、でも、この本の実践はやっていないや。
となると、夢ではなかったのかもしれません。
というか、この本を読んだのは最近でもありませんでした。


……そろそろ、「『おはようございます』だろ!」と言っていた皆さまの声を無視できなくなってまいりました。
なので、僕に起こったありのままを書きたいと思います。

どう思うか、どう思いたいかは、皆さまに委ねます。



ーーー



その日も、いつもと変わりなく過ごしていました。


授業は午後からなので、昼に起きます。

不燃ごみを出し忘れたことを思い出しても、「まぁ、不燃ごみだし」と思いながら、コップ一杯、水を飲みました。


しかし、何十時間も寝ていた体に、一杯の水では太刀打ちできません。
いっぱいの水が要ります。

座布団をもらったところで、空のコップに水を注ぐべく、蛇口を捻りました。


ジャー―――――!!!


当然、水が出ます。
しかし、その水がコップに入ることはありませんでした。


ポチャ。


僕の頭に、水が当たる感覚がありました。
額ではありません。あれは、間違いなく後頭部でした。

それに釣られて天井を見ると、蛇口の水が天井に当たっていました。

もう一度、蛇口を見ます。
方向は、シンクの方を向いていました。間違いなく。

確認のため、天井を見てみます。

そしたら今度は、僕の目の中に水が入ってきました。

これが本当の、二階から目薬か。
当時はそんなことを思いましたが、今考えると意味も状況も違う気がします。


「君、水がもったいないよ。」


声の方を向くと、男の人が立っていました。
彼は器用に、蛇口から出た水を汲んでいました。ちょうど、コップを逆さまにする形です。
コップがいっぱいになると、水を止め、一口飲みました。


(は?)


頭ではそう思いましたが、手にはすでにフライパンが握られていました。
ご丁寧に、距離までとって。

それからとどめに、「110」が打たれたスマホを見せました。

「だ、誰ですか!警察!警察呼びますよ!」

そんな様子の僕を見て、彼は鼻で笑いました。
加えて、優雅に水を一口飲んでから、「今時、時報を聞く奴がいるとはね。今日は、いいことがありそうだ。」と言います。


僕は激怒した。
現実で、このような表現をするとは思っていませんでしたが、この言葉以外考えられません。

「脅しじゃねぇぞ!」

今度は、語気を強めてみました。

彼は、相変わらずスカした感じで
「何時かね?」なんて言います。


僕は、本当に腹が立ちました。もう、ためらいはありません。
真っすぐに、ボタンを押します。


「ちょうど、12時00をお知らせします。」


「……。」

僕はスマホを見たまま固まりました。


「そろそろ行こうか。」


僕の状態など気にせず、彼は僕ごと外に出ました。

もう、訳が分からないどころではありません。


引っ張られる形で歩いていたので、嫌でも彼の格好が見えます。

全身白のスーツに、白いハットを被り、翡翠色のループタイを締め、英国風と言えばいいのでしょうか、そういうようなバックを持っています。それも、やけに大きい。

(コスプレイヤー?)

そうとでも思うようにしました。


次に、街の様子がやっと目に入ってきました。

いつものように電柱があって、いつものようにカーブミラーがある。それから、家や電車やバスや自転車や店なんかがあります。

しかし、いつもと違うところが一つだけ。

それは、マンホールや店や家や、道路も、電車も、皆水浸しなこと。
というか、水が噴き出ています。


僕の隣を歩いていたお兄さんは、ペットボトルの蓋を開けました。

当然、上に噴き出します。
その水が、僕にかかりました。

「ごめんね。」

お兄さんはそう言って、去っていきました。
僕の服は、一段階色が濃くなっています。しかし、怒るとかそういう気持ちはありません。いや、なれないと言った方が正しいでしょう。

すると、彼が勢いよくこちらを見ました。

「君、水曜だってのに服の替えもないのかい?」

そう言うと、僕の腕を離しました。
それからバックを開けて、全く同じ上着を取り出し、着ていたものをバックに戻しました。

(カバンが大きいのは、そのためか)
確かに周りを見渡すと、皆大きいバックを手に持っています。しかし、彼のような英国風だけでなく、ボストンバックやリュックや風呂敷やキャリーケースなど様々です。


もう、どうにでもなれと思って、彼に質問しました。
「これから、どこへ行くんですか?」
「決まっているだろう?今日は、水曜日だぞ。」
「そうですか。」

彼の足が、一段と早くなりました。

ここまで来ると、少しワクワクする余裕も出てきました。
もしかしたら、水以外も噴き出しているのかもしれない。
そうしたら、シェイクもフラペチーノもビールも飲み放題じゃないか。

そんなことを思っていると、彼はショッピングモールに入りました。

ここなら、マックもあるし、スタバもあるし、昼飲みできる居酒屋もあります。
僕は、3DSを買ってもらった時ぐらいワクワクしました。


彼は、1階の奥の方に進んでいきました。
マックも、スタバも、昼飲みできる居酒屋も通り過ぎました。

それから、婦人服のコーナーで止まりました。

(は?)

僕は再びそう思います。
そんな僕とは対照的に、彼の目は輝いています。
辺りを見回すと、同じように目を輝かせている人たちが集まっていました。女性だけではなく、老若男女、様々な人が。

彼らの視線の先を見ると、店員さんが実演販売していました。

「本日ご紹介するのは、こちら!拭けば一瞬で乾く、タオルです!このように厄介な水滴も、タオルを使えば……ほら!」
「「おー!」」
「色は、白、黒、ピンクの三色展開です。皆さま、この機会にぜひ、お買い求めください!」


店員さんの掛け声を合図に、皆がタオルを買い始めました。
彼も買うのかななんて思っていると、僕の方を見て言いました。

「いいかい。あれは詐欺だ。だまされちゃぁ、いけないよ。」
「はあ。」

しかし彼は、僕の手を離しました。
そして、列に並び、商品を手にして帰ってきました。ご丁寧に、三色全部買っています。

もし何かの間違いでこれが競技になったら、僕は10点をつけていたと思う。そう思えるほど、綺麗な動きでした。


「帰ろう!」

彼が、言います。
それからまた僕の手を引っ張って、僕の家に帰りました。

ドアの前まで来ると、僕のポケットに手を突っ込んで鍵を開けました。

(俺の家なんだけど。)

そう思う僕など全く無視して、彼は最初に出会った時と全く同じ位置に、僕を配置しました。
それから、帽子を少しだけ上げると

「Have a ni水曜日!」

と言って、
バタン!と扉を閉めました。


……本当にもう、訳が分かりません。
訳が分からな過ぎて、訳が分かるような気さえしてきました。


とりあえず、辺りを見回してみます。

何を思ったのか知りませんが、もう一度蛇口を捻ってみました。

ジャー―。

普通に、水はシンクの方向に流れました。


「……し。もしもし!大丈夫ですか!?」

ポケットの中から、声が聞こえました。慌てて、画面を見ます。
そこには、「110」番の文字が。

「す、すみません!間違えました!!」

そう言って、電話を切りました。


16:00

再び明るくなった画面には、そう映し出されていました。


(授業、終わっちゃったな。)

僕は怖いほど冷静に、ただ、そう思いました。




ーーー




これは、何だったのでしょうか。
繰り返しますが、僕だって夢だと思っています。


でも、

でもその時、
まだ僕の後頭部には、あの感覚があったんです。





ポチャ、ポチャ、ポチャ。






ーーー天井を見ると、そこだけ一段と色が濃くなっていました。







僕が寝ている間に、雨でも降ったのでしょうか。


次の日のニュースでは、「10日連続、雨が降らない日が続いています。」と言っていましたが……。










重ねてのお願いで恐縮ですが、どう思うか、どう思いたいかは、皆さまに委ねます。