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先見の明

「東京03は絶対くる」
私がまだ高校生だった頃、雑誌“お笑いポポロ”を小脇に抱えた友人が自信満々に言った。
私はお笑いが好きだったので、かろうじて東京03という名前は聞いたことがあったが、一緒に聞いていたクラスメイトはポカンとした顔をしていたのを覚えている。

彼らがキングオブコントという大会で優勝する何年も前の話だ。

*

時は流れ、社会人になると友人に結成したての推しができた。
「来月〇〇っていうグループのライブに行ってくる♪」と報告を受けた。
聞いたことのないグループ名だったが、楽しそうに語る友人を見るのは私も嬉しい。

数年後、かつて友人が推していたグループは、ランニングマンのダンスと共に「R.Y.U.S.E.I.」(リュウセイ)が大ヒット。

あの“三代目 J Soul Brothers ”だった。

*

彼女には“先見の明”があった。

せんけん‐の‐めい【先見の明】
物事が起こる以前に見抜く見識。将来のことを見通すかしこさ。

精選版 日本国語大辞典 より


もはや早くに見抜き過ぎて、いつも周りはピンとこないくらい友人は遥か先の将来にいた。

そして友人は推しが売れ始め、周りがやっと魅力に気づく頃には、もう別の推しへとシフトしていった。



【(たい焼きの)頭と尻尾はくれてやれ】

有名な株式投資の相場格言だそうだ。

「一番安いところで買うのも、一番高いところで売るのもあきらめて、ほどほどの利益を確保する方がいいよ」という意味らしい。

この言葉を知り、私は〚友人はものすごい投資家になれるのでは?〛と思い始めた。

昨年家計管理を見直して、我が家もついに新NISAを始めた。

今度会った時「新NISAやってる?成長投資枠で個別株買ったら?」と具体的に提案してみようか、、、。
いや、“貯蓄から投資へ”と言われるこの時代。
彼女はもう今さら新NISAを推さないかもしれない。

一方の私は、“推し始めたバンドは皆解散する”というトラウマと日々闘っており、たい焼きでいうところの“餡のない尻尾”を選び続けている。

地道にコツコツ長期戦。

我が家は毎月の積立投資を細く長く続けようと思う。

私には“先見の明”がないのだから。



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