先回りし過ぎる
私の母はいつも早くに起きて、家事やら自分の支度やら、やりたい事をパンパンに詰め込んだ朝活をして、ギリギリに家を出るタイプだ。
一方、娘である私と妹は、ギリギリまで寝てギリギリに家を出るタイプ。
そして、本日の話の主役である父はと言うと、ものすごく早めに起きて、ものすごく早めに家を出るタイプだ。
先日、父はいつも通りものすごく早めに家を出て車で職場へと向かった。そこで、本来なら遭わないはずの大渋滞に遭い、遅刻した。自宅から車で30分程で着く職場に、2時間前に家を出て、大渋滞にはまり、遅刻の連絡を入れたのは始業時間1時間前だった。連絡を受けた同僚も、さぞかし困惑した事だろう。
私の父はいつも 先回りし過ぎる。
思えば私の結婚が決まり、「彼氏が挨拶に来るから空いている日教えて」と伝えた時も、父はすでに結婚式の日を想像して、リビングで目からツーーっと涙を流して泣いていた。
結婚挨拶の当日には父の涙はすっかり引っ込んでおり、彼氏(現夫)が喋りだす前に「結婚だよね?よろしくね!」と言い出し、皆を困惑させた。
結婚式を無事に終えた頃、実家ではソファを新調する話が出ていた。母は新しいソファは肘掛けに木材が使われている “木肘ソファ” にしようと、ワクワクしながらカタログやらサイトやらを見ていた。父はインテリアに一切興味がなかったし、基本的に「何でもいい」が口癖なので、母も買う前に一応報告する程度に考えていた。
しかし、母が「これにしようと思う」と “木肘ソファ” の写真を見せると、父は突然「ダメだ!」と言い始めた。
父「これじゃあ孫が来て頭をぶつけた時に、危ないじゃないか!」
私達は結婚式を終えたばかりで、まだ新婚旅行にも行っていない。妊娠の「に」文字も言わぬ新婚ホヤホヤの頃の話だ。
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父は三兄弟の次男として生まれた。
父が高校生の時、兄(伯父)が浪人をすることになった。「お金がない」「長男が浪人したからうちは大変だ」母親(祖母)の愚痴をそばで聞いていた父は、「自分も大学に行きたい」と言い出せずにいた。そして、家計の事を先回りして考えた結果、高卒で家を出て就職する事に決めた。しかし、そんな経緯を知らぬ5歳下の弟(叔父)は、当たり前のように大学進学をした。
結局祖母は大袈裟に言っていたが、父が感じていたよりも家計は何とか回っていたようだった。
“ 自分だけが兄弟の中で高卒 ” という事実と後悔は、その後も度々父を苦しめた。お酒が入ると私と妹はこの話を毎回聞かされ、「今こうして家族養ってて立派だよ!」と、娘達が慰めるというまでの流れまでが毎回セットで行なわれていた。
毎度の事なので、慰めの言葉はいつしかセリフっぽくなっていったが、私も たぶん妹も本気で思っていたと思う。自分が親からしてもらえなかった事を我が子にしてくれた父には、心から感謝している。
自身の経験から、父は「本人が望むなら娘達には大学に行かせてあげたい。お金を理由に諦める事はさせたくない。」と、母に昔から言っていたらしい。ちなみに「昔」とは、まだ私達が 大学の「だ」の字も言わぬ幼児と乳児の頃の話だ。
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「早くクリスマスにならないかなぁ」
2025/06/08 現在、長男(5歳)は半年先のクリスマスプレゼントを何にするか、毎日嬉しそうに悩んでいる。その横で私は、もうすぐやってくる父の日のプレゼントを何にするか、ギリギリになって悩んでいる。
父さん、先回りが隔世遺伝しています。

このイラストのように、酔っぱらった父に肩車を
してもらい、玄関で頭から落っことされた事があります。
3歳くらいだったけど、一生忘れません♡
#忘れられない思い出
