寄生から帰省へ
中学だったか高校だったか、どちらで見たかは忘れたが、社会科の教科書に“パラサイトシングル”というパワーワードが載っていた。
パラサイト・シングル
学校卒業後も親と同居して、経済や精神面で自立していない未婚者を指します。親を宿主として寄生(パラサイト)しいるように見えることからこの言葉が用いられています。
当時の私は、“寄生”という文字に強烈な印象を受けたのを覚えている。
それから数年後、私は地元の企業に就職➤実家に寄生。結婚して実家を出る事になるギリギリまで、“パラサイトシングル”を謳歌した。
今思えば両親と共に過ごせたあの日々は、とても貴重だったと思う。
私には3つ年下の妹がいるが、彼女は高校卒業後1年の浪人生活を経て東京へと旅立ち、そのまま就職し結婚。マイホームも建てたので、もう地元に戻ってくる事はないだろう。
一方、姉である私は転勤族である夫と結婚。これからも全国を転々とする予定なので、同じく地元に戻る事はない。
〚あと何回両親に会えるかな〛
長男の幼稚園が長期の休みに入ると、毎回考える。
*
「娘さんがしょっちゅう子連れで実家に来てて、〇〇さん孫のお世話で大変なんだって。」
前回実家に帰った際に、母が笑いながら、でも少し寂しそうに、職場の人の話をしていた。
今後、母が“そんな体験”をする事はない。
もし近くに住んでいたら、きっと私達姉妹は実家に甘えまくるだろうから、〇〇さんのように職場で愚痴を言う事になっていたのは間違いないだろう。
〚一緒になって愚痴を言わせてあげたかったな〛
父は毎日孫の写真や動画を観ているようで、会ったことのない長男のお友達の名前まで答えられる。
帰省中、夜勤明けで疲れていてすぐに寝たいであろう日も、孫がいる時は帰宅後しばらく遊んでくれた。顔を見上げると、ものすごく疲れていて、劇画タッチの父がいた。寿命を縮めてしまったのではと少しドキドキした。
*
話は変わるが、ビエネッタが今月末で販売終了になるそうだ。
子供の頃、ちょっと豪華なアイスとして特別な存在だったビエネッタ。
夜中の布団の中にてネットニュースで見て知った。隣でウトウト眠りにつく寸前の夫を「ビエネッタ終わるって!」と、私は“勝訴!”くらいの勢いで叩き起こして報告した。
翌日、早速近所のスーパーをハシゴするも、ビエネッタを見つけることはできなかった。
“X”とやらでも始めたら、誰かのつぶやきから、ビエネッタ最新情報を得ることができるだろうか。
私の中の“プロジェクトX”が動き始めようかとしたその時、家族LINEに母から写真とメッセージが届いた。

3月の帰省、皆で味わって食べましょう。
バニラ味、今後も探し続けます。
母さん!!!最高かよッ!!!!!!
あぁ、私はやっぱりこの人の娘なのだと感じた。
自分自身も年を重ね、“親の老い”も感じるようになった。
人間オムツに始まりオムツで終わる
両親には、やってもらった事は精一杯返したいと思っている一方で、まだまだ元気でいてもらいたいとも強く想う。
そして、まだ娘という立場で甘えていたいというのも本音。
もうすぐ春休みがやってくる。
孫という名の体力モンスター1号(長男)と2号(次男)を連れて、私は実家へと向かう。
父からの「いつ帰ってくる?」と
母からの「何食べたい?」に返信して、
まだまだ私は寄生する予定だ。
