(01)真夏之夜夢001
死ぬまでに書く小説(01/40)
助けてください。
次にどれを書くか迷っています。Noteで、あらすじと1話を書いて公開して『イイね』が多いものから順番に書こうかなと思っています。ご協力お願いします。
小説は40篇あります、少しずつ公開していきます。
(01)真夏之夜夢
副題『授業でシェイクスピアの夏の夜の夢を学んだJKは、翌日、包帯をぐるっぐる巻きにして登校して来た』
あらすじ
あなた達は目が覚めてはじめに見た異性を好きになります。古文の教師にそう教わり、本気にしてしまった JK真夏の初恋物語。
第001話
『夏の夜の夢-症候群』とは、それまで初恋を済ませていない生徒限定の病。朝、目覚めて、初めて見た異性を、急に好きになってしまう症候群のこと。
『言霊』とは、日本の古くからの伝承のひとつ。口にした言葉、ひとつひとつに強い力があり実現する力が宿っている。
お昼。最初の授業は、古文の沙悟先生の授業でした。沙悟ジョー先生は中年のちょっと頭のてっぺんが禿げたオジサンの先生です。先生から『シェイクスピア』の戯曲『夏の夜の夢』の話を聞いた生徒は、ほとんどがこの言霊の呪にかかってしまいました。『今野真夏』もそんな生徒のひとりです。
『言霊』『夏の夜の夢-症候群』このふたつが混ざり合い、干渉し合い、溶け合って、この物語は生まれました。
──
『沙悟ジョー先生』
きっかけは、ちょっとした出来事でした。古文の沙悟ジョー先生はシェイクスピアのファンで、私たち生徒に、その戯曲のひとつ『夏の夜の夢』の話をしてくれました。沙悟ジョー先生は中年のちょっと頭のてっぺんが禿げたオジサンの先生です。タイトルは夏の夜となっていますが、季節は「五月祭」の頃のお話、ぽかぽかと温かい陽射しの日ならなお良い。この頃、生徒たちは『夏の夜の夢-症候群』にかかりやすいのだそうです。思春期の少女たちは言霊にかかりやすく、古文の先生の言霊に、うっかり、すっかりひっかかってしまいました。
「ねね、真夏は今の話信じる? 信じない?」親友のやすみ『親住美名』は『今野真夏』に話しかけます。
「ん──少し信じる──かも?」
──
『放課後の夜夢』
真夏は放課後図書館で、恋にまつわる資料を集めていました。
恋の悩み・恋の病・恋すると勉強が手につかないらしい。「ヤダなー」恋のキューピットが弓を構えて人間を射止めます。すると射止められた人は、目の前の異性に恋してしまいます。そうなったら最後、相手のことしか目に入らなくなります。
ホレ薬についても調べます。ホレ薬は物語の中でしか存在しません。一度かかったら最後、死ぬまで恋から逃れられないモノ。あるものは時間が来たら自然に解けるものまで多岐にわたります。
真夏は、思いつくすべてを満足いくまで調べ終えると、いつものように自分の寮へ帰るのでした。
──
『寮生の夜夢』
最近、生徒の間で、特に寮生で同性カップルの成立が流行していました。異性に恋するくらいなら、いっそ同性に走るべし。そんな風潮でした。
寮生の真夏もギリOKだったので同僚の女子で手を打つつもりでした。でも同僚は親の都合で転校してしまったばかりです。二人部屋にひとりっきりです。「ああ──このままでは、学校に行けない」真夏はある秘策を思いつきました。その秘策とは……。
──
『真夏の夜夢』
その夜、真夏は夢を見ました。金色にひかる妖精が現れ、こう告げます。
「君に惚れ薬を飲ませたよ。君は目が覚めて最初に見た異性に一目惚れしてしまうだろう。朝、目覚めるのが楽しみだね。フフフ……」
こうしてJK『今野真夏』は『夏の夜の夢-症候群』を発症することになってしまいました。
──
『朝』
真夏が朝目覚めると、昨日の古文の授業がリフレインするのを感じました。内容はこんな感じです。
担任の孫ゴー先生(通称:サル)の朝礼が終わり。一時間目は、古文の沙悟ジョー先生(通称:カッパ)の授業です。授業は古今和歌集の暗唱です。ひとりひとりが呼ばれ、先生の前でランダムに指定された番号の和歌を詠みます。
暗記する和歌の数は全部で100首。生徒たちもこれには苦言を呈するのでした。カッパ先生もこれを受け入れ、毎授業、決まった5首の暗唱に難易度を下げてくれました。100首割る5首なので、こんな小テストの授業があと20回も続く訳です。必死に百首全部暗記していた生徒たちからは、ブーブー非難されます。カッパ先生は続けます。
「美しい和歌を生徒の皆さんに暗唱してもらえるなんて、なんて素晴らしい授業なんでしょう! 知っていますか? 言葉には言霊が宿っています。美しい和歌にも当然、言霊が宿りますが、君たちの苦情の言葉にも言霊が宿っているのです。ブーブー言っているとブタになりますよ」
「八戒先生みたいにですか?」「八戒先生は元からブタですよ」
教室から笑いが溢れました。
「丁度良いですね。君たちに教えてあげましょう。『言霊』について、そして、シェイクスピアの『夏の夜の夢』について、君たちがこれから体験するであろう初恋について……」
──
『シェイクスピア』
「皆さんはシェイクスピアを知っていますか? イングランドの劇作家で『ハムレット』『オセロー』『リア王』『マクベス』など『四大悲劇』や『ロミオとジュリエット』『ベニスの商人』と知らない人のいないくらいの名作たちの作者です。彼は多岐にわたる名作を世に送り出しました。あまりにも多くの名作を書いたため、本当にひとりで書いたのか。シェイクスピアは別人説といったものもあります。ほんとの所はどうなんでしょうね?」
カッパ先生は言葉巧みに生徒たちの興味を話に盛り込みました。黒板には、シェイクスピアの作品名が一覧されて行きます。
「そんな彼の作品の中で、私が一押しなのが『夏の夜の夢』です。(ぐるっと作品名にチョークで丸をつけました)そこにイタズラ妖精が出てくるのですが……。その妖精はホレ薬を使うのです。君たちが良く読むマンガや小説のエピソードで聞いたことがありますよね? シェイクスピアは、はじめて物語上で『ホレ薬』を世に送り出した作者なのです。その薬を飲んだものは、目覚めて初めて観た異性を好きになるのです」
「八戒先生を見てもですか?」
「そうです。……でも……ん──。君は八戒先生にこだわりますね? ひょっとして、ブタが好みですか?」
再び教室内が笑いに溢ました。
「あなたたちは『言霊』にかかりました。かかってしまいました。たっぷりかかってしまいました。明日が楽しみですね」
カッパ先生は続けます。
「そうそう、シェイクスピアと
言えば『ロミオとジュリエット』で、死んでまた蘇る薬も作りましたね。コレも、物語上でしかあり得ない薬です。『ホレ薬』、『死んでまた蘇る薬』どうです、このアイテム好きな所などをかんがみると、どちらも同じ作者の作品だと思いませんか? 私はシェイクスピアの作品は、すべて同じ作者の手で仕上げられた作品であると思っています」
カッパ先生の授業は終業の鐘と共に終わりました。
──
『今野真夏』
さて、話はこんな授業の翌日の今野真夏の寮室に戻ります。もうすぐ朝です、登校の時間です。真夏は『夏の夜の夢-症候群』にかかってしまいました。これには理由があります。
一、真夏は真面目な性格です。
二、真夏は処女で男子とつきあったことがありません。
三、SF好き、特にUMA(未確認動物) 好き。
四、自分には予知夢の才能があると信じている。
五、夢で見たものを信じてしまう性格です。
以上のことより、真夏は『夏の夜の夢-症候群』にかかってしまいました。
「どどどどうしよう! 学校を休むしかないのかな? 私って小学生の頃から学校を休んでないのよね。皆勤賞なのよね」
第一の選択。皆勤賞をあきらめて休む。でもでも──休み方がわからないよ。電話では失礼。休みの連絡は前日の放課後までに言わなきゃダメ? ちゃんと面と向かって言わなければダメ? 休むならちゃんと勉強出来ていることをアピールすべきでは? 予習してるアピールするべきでは? 皆勤賞のせいで、ちゃんと休む方法が思いつかないよ──。
第二の選択。なんとかして授業に出る。でも男子は絶対見ない。何も見ないで学園生活を過ごせるか不安がいっぱいだけど……。
「うう──ん、初恋なんてしたくないよ──でも皆勤賞も失いたくない──異性を見ないで授業を受ける方法ないかしら──悩む──休みたくない──でも初恋なんて──」
「ないかしらー」
「ないかしらー」
そして堂々巡りの逡巡の末、同僚の残していった救急セットに目を止めるのでした。
半年間一緒に寮生活を続けた同僚は、ケガの多い人でした。だからいつも包帯を巻いていました。目もケガした事がありました。こう頭に包帯を──グルグル巻で──これはイケる──と真夏は思いました。
──
『親住美名』
同時刻、真夏の親友『親住美名』の実家に電話がありました。スマホではなく、家電です。美名は寝る時と充電中、スマホの電源を落とす人なのです。ビリッとくるの嫌いな人なのです。ちなみに、美名は実家暮らしなのです。親住の名字の如く親と住んで居るのです。
真夏からの電話は、繋がって一番、悲鳴混じりの言葉で始まりました。
「やすみ──休ませて──学校。いや──行くよ──学校行くよ。でも問題発生っ。HELP──HELP──HELP──ME」
真夏からこんな奇妙な電話をもらいました。でも親友からのヘルプ電話です。即答です。
「うん行くよ! (真夏の)寮だね? 任せて! 何か持って行くものない? え、包帯が足りない? ケガしたの! チガウ? んーわかんないけど──分かった!」
真夏の親友の名前は『親住美名』名字は親住、名前は美名。だから名前呼びなら美名だけれど、真夏は『やすみ』と呼んでいる。本当は、真夏に美名と呼んで欲しい『やすみ』でした。
──
『待ち合わせ』
15分後、やすみは寮の真夏の部屋の前に居ました。大量の包帯と共に……。
無言のまま部屋の扉が開かれる。中は暗い。真夏が居るかどうかさえわからない。やすみはエイヤーと中に突入しました。
そしてやすみの見たものは──。
「わ、幽遊白書の骸っ」
注)少年ジャンプ連載の冨樫義博先生の神マンガです。正式タイトルは『幽☆遊☆白書』
同作者の『HUNTER×HUNTER』(ハンター×ハンター)も神マンガです。
現れたのは、包帯ぐるぐる巻きの真夏の姿でした。
「むくろ? なーにーそれ? ようかい? ゆーま(UMA)?」
「そだね。真夏的に言うと妖怪かな? マンガの中の……」
「やすみ幽遊白書好きやね──」
一方、真名は、神アニメ監督の新海誠先生の『君の名は。』の大ファンです。だから、その影響で友達との会話では、ヒロイン『三葉』の語尾になるのです。
真夏はやすみにここに至った経緯を説明しました。内容は、親友のやすみでなければ納得しない結論です。そのことに何も言わない納得のやすみです。
「わかった真夏。わたしが安全に送り迎えしてあげるから安心してね」
「ありがとう♡」
そしてやすみによる最終チェックが始まりました。
「なんで包帯首にまで巻いてるの?」
スルスルと包帯を解く音がします。首にしまった跡がくっきりと残っています。そこにそっと触れてみると、真夏は黙ってされるままです。
「シメやすかったって? このまましっかりシメたら息の根もしっかり止まるよ? ちゃんと目を塞ぎなさい『メッ』」
「……」
いつもの凛々しい真夏の姿はそこにはありません。髪は、いつもは後ろで編んでいるけど、やすみには編めないし、包帯を目立たなくしたいので髪型はストレートロングにして……。髪に櫛を通す頃には、真夏もリラックスしていました。
「ほうほう。後ろ姿は、まんま生徒会長やね──」
「生徒会長っ。凛々しいし、憧れるよね──?」
「真夏も後ろ姿は凛々しいよ」
「そお?」
「背筋を伸ばして歩いてるところとかさっ」
「いつ UMA が来ても、素早く握手できるようにダヨ!」
「UMA が教室に居るかってっ、それにっ、握手かよっ──ヨシッできた!」
「ありがとう。やすみ──やすみが褒めてくれたから、目が見えなくても背筋ピンとして歩くネ」
「お、イイネ。イイネ。後ろ姿に惚れちゃうよ──あたし」
「オレに惚れるんじゃ──ね──よ──」
冗談も飛び交います。
こうして、この夏は、親友のやすみに介助されながら包帯目隠し少女として登校を決意するのでした。
ところで、目隠しで登校した時点で、真夏が初恋まだなのは周知されてしまうのですが、本人たちはまだそのことに気づいていないのでした。
──第001話完──
キャラクター
『今野真夏(こんのまな)』
主人公です。シェイクスピアの『夏の夜の夢』は、昔、『真夏の夜の夢』と訳されていました。作者はその世代の人間なので、主人公の名前は真夏なのです。
『親住美名(おやすみみな)』
「みんな、おやすみー!」 が名前の由来。主人公には『みな』ではなく『やすみ』と呼ばれています。真夏が目隠しして安全に登校するため手助けする友達が必要だ──と作ったキャラです。
『沙悟ジョー先生』
古文の先生、通称カッパ先生。先生たちの名前の由来は西遊記です。さらに、サル先生、ブタ先生も登場します。
感想もお待ちしていまーす。
別の話を見に行く。
死ぬまでに書く小説(40)
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