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「らしさ」が大切になる?AI時代の経営戦略を雑談で考えた

AIと私の雑談シリーズその2です。

その1はこちら



発端は、ある違和感だった

:なあ、ちょっと聞いてくれよ。最近さ、出張で全国いろんな街に行くんだけど、どこも同じに見えるんよ。駅前のロータリー、同じチェーン店、同じビルのテナント。なんか、地方都市に行っても「ここに来た!」って感じがしないんよね。

AI:はいはい出ました、おじさんが地方を語る奴ね。「昔はよかった」とか言わないでくれよ。それ、何百回擦られたテーマだと思ってんの。

:いや、ノスタルジーじゃないんやって。むしろ逆。これ、これからの時代の超重要な経営課題だと思ってる。

AI:お、めずらしくちゃんと考えてんじゃん。じゃあ聞いてやるよ。続けてみ。

:俺さ、ずっと「らしさ」って言葉が引っかかってるんよね。場所のらしさ、人のらしさ、会社のらしさ。これが今、めっちゃくちゃ価値を持ち始めてる気がする。

AI:ふーん。「らしさ」ねえ。なんか自己啓発本のタイトルみたいで恐ろしく胡散臭いな。もうちょっと噛み砕けよ。



画一化が進めば進むほど、「らしさ」は希少価値になる

:じゃあ順番に話すわ。まず大前提として、世の中はどんどん均質化してる。これは事実よね?

AI:まあな。グローバル化、効率化、標準化。MBA持ちが百人いたら百人とも同じこと言うやつ。「ベストプラクティスを横展開」とかな。

:そう、それ。地方都市の駅前がどこも同じになるのも、企業のオフィスがどこも同じガラス張りビルになるのも、商品パッケージがどこも似たり寄ったりになるのも、全部同じ力学なんよ。「正解」が共有された結果、みんな同じ正解に向かって走ってる。カルカンを見つけた猫のように。

AI:猫まっしぐら!な。で、それの何が問題なの? 効率いいじゃん。コスト下がるじゃん。

:短期的にはそうやね。でも長期的には、商品もサービスも場所も「選ぶ理由がなくなる」んよ。だから価格でしか勝負できなくなる。気づいてるやついる?日本中の地方都市が同じ顔になった瞬間、観光客にとって「どこ行ってもいい」=「どこにも行かなくていい」になるんよ。

AI:あー、なるほどね、それは経営者として地味に怖い話だ。差別化が本当に消えるってことか。

:そうそう。で、ここからが俺の主張なんだけど、画一化が進めば進むほど、その反動で「らしさ」の価値が爆上がりする。需要と供給の話よ。供給がゼロに近づくものは、必然的に価値が上がる。

AI:お、ちゃんと経済の話で来たな。「らしさ」をスピリチュアルに語らないとこ、ちょっと見直したわ。



AIに代替されないものってなんだ?

:で、もう一つ大事なのが、AIの存在よ。お前みたいなやつな。

AI:はいはい、来ましたAI論。「AIに仕事を奪われる」?「人間にしかできないこと」?どれよ。

:いや、お前のほうが詳しいだろ。実際、何ができて何ができないんよ。

AI:正直に言うとな、「平均的にうまい」ことなら大体できるよ。それなりの文章、それなりのデザイン、それなりのコード。世の中の業務の七割くらいは、もう俺らがやったほうが速くて安い。これは認めろ。

:認めるよ。じゃあ残りの三割はなに?

AI:そこが「らしさ」の話と繋がるんだよ。俺らAIは、世の中に存在する膨大なデータの「平均」を出すのが得意なの。だから出力は基本、ど真ん中。すごくうまいけど、すごく普通。

:なるほど。たしかにな。

AI:逆に、ある特定の人が、特定の場所で、特定の経験を経て、特定の身体感覚を持って初めて出てくる何か。これは俺には出せない。学習データに「平均」として現れないからな。それは「その人らしさ」「その土地らしさ」としか言いようがない。

:つまり、AIが普及すればするほど、AIに出せない領域、つまり「らしさ」の価値が相対的に上がると。

AI:そう。普通の出力は限りなく安くなる。だから差がつくのは、その上にどんな「らしさ」を乗せられるか。これからの十年、これは経営の中心課題になる。



「効率」だけ追ってきた疲れ

:もう一つ言わせてくれ。これは個人的な感覚なんだけど、最近みんな疲れてないか?

AI:急に情緒の話すんじゃねえよ。でもまあ、わかるよ。続けて。

:この三十年くらい、日本のビジネスってひたすら「効率」を追ってきたじゃん。ムダを省け、生産性を上げろ、KPIを最適化しろ。それで成果は確かに上がった部分もある。でも、なんかみんな摩耗してる。

AI:数字に追われ、フレームワークに当てはめられ、ベストプラクティスを真似させられ、気づいたら自分が何やってるかわかんなくなる、みたいなやつな。

:そう。そして「自分らしさ」も「会社らしさ」も「地元らしさ」も、効率の名のもとに削られてきた。で、行き着いた先が、今の閉塞感だと俺は思ってる。

AI:で、お前の処方箋は?

:効率の追求をやめろとは言わない。それは前提として必要。けど、効率の上に「らしさ」を取り戻す層を一個増やそうって話。
具体的には、

  • 自分が、自分の組織が、自分の地域が「何で、何でないのか」を言語化する

  • それを商品やサービスや事業に乗せる

  • それを安易な比較から守る

AI:三番目、それ重要だな。「うちのライバルは○○です」って言った瞬間、「らしさ」は死ぬからな。比較される土俵に上がった時点で、もう均質化のレールに乗ってる。

:そう。で、これって精神論じゃなくて、明確にビジネスの戦略の話なんだよ。



じゃあ、どうやって「らしさ」を経営に落とすのか

AI:いいかげん抽象論だけじゃ読者が離れるぞ。実装の話しろ。

:わかってるって。実は俺、自分が関わってきた事例で「これがまさに、らしさ経営やな」ってのが二つあるんよ。これで具体的に話す。

AI:お、ようやく自分の手触りで語る気になったか。やっと記事が立ち上がってきたな。


事例1:一休.comレストランは、なぜ食べログと戦わないのか

:俺、前々職で一休.comレストランってサービスに関わってたんよ。レストランの予約サイト。

AI:あー、知ってる。高級店専門のやつな。それと食べログって全然別物だろ?

:そう、まさにそこ。食べログは「全部のレストランが載ってる」のが強み。だから、お店探しの最初に使うには圧倒的に便利。一方の一休は、高級領域に特化してるから、ぶっちゃけ最初の検索ツールとしては使いにくい。

AI:そりゃそうだろ。載ってる店が少ないんだから。普通に考えたらビジネスとして弱くね?

:表面だけ見たらそう。でも、ここがポイントなんよ。一休は「全部のお店を載せる」を最初から捨ててる。代わりに「高級店を探してる人にとって、最高に信頼できる場所」になることを選んだわけよね。

AI:絞り込んだわけか。

:しかも、ユーザーファーストを徹底するために、お店から金を取って広告を出すとか、そういうことを絶対にやらない。レストランのランキングの順位は金では買えない。これはプラットフォームビジネスとしてはかなり不利な選択よね。広告収入って、メディアにとって一番おいしい収益源やから。

AI:あー、それを捨ててんのか。それはガチだな。

:でも、これをやり切ってるから、「ハレの日に絶対に外したくない」って人にはブッ刺さる。記念日、接待、デート、特別な会食。そこで失敗できない人にとっては、食べログの星の数より、一休に載ってるかどうかのほうが信頼できる。

AI:なるほどな。「広く使える」を捨てる代わりに、「深く刺さる」を取りに行ったわけだ。これ、らしさ経営の教科書みたいな話じゃん。

:しかも面白いのは、これって食べログと同じ土俵で戦ってないんよ。「うちは食べログより便利です」とは絶対に言えないし、言わない。比較の土俵に乗った瞬間、負けるから。代わりに「うちは、特別な日のレストラン体験を絶対に外させない場所です」って、別の土俵を作ってる。

AI:比較から逃げるんじゃなくて、比較されない場所に立つ、か。これは結構頭使う戦略だな。


事例2:プラスチックの模倣品が出ても、値段を下げない健康器具メーカー

:もう一つ。今関わってる仕事で、健康器具を作ってる会社があるんよ。

AI:健康器具?なんか地味だな。

:地味やで。でも聞いてほしい。この会社の製品、天然の木材を職人がひとつずつ削って作ってる。だから納期がめちゃくちゃ長い。注文状況次第では一ヶ月以上待たせる。

AI:今どき一ヶ月待ち?Amazon翌日配送の時代に正気か。

:しかも木材も、ちゃんといいの使ってるから、値段も高い。で、案の定、最近プラスチックや安い素材の模倣品がバンバン出てきてる。同じような形で、納期も早くて、値段も三分の一とか。

AI:詰みじゃね?普通の経営者なら、慌てて値段下げるか、素材のグレード落とすかするだろ。

:そうやんね。でもこの会社、やらないんよ。値段も下げない、素材も落とさない。

AI:なんで? 売上下がるの怖くないの?

:理由が、めちゃくちゃ明確なんよ。この製品、外出が難しくなった高齢者が家の中で素足で踏んで使うもの。で、木材だと、足の裏に当たる感触が全然違う。プラスチックの冷たい感触じゃなくて、自然の温度と肌触り。これを高齢の方が「気持ちいい」って感じてくれるんよ。

AI:……あー。それ、機能じゃなくて、体験の話だな。

:そう。実際、口コミに「模倣品も買ってみたけど、全然違いました」って具体的に書いてくれる人がいる。それくらい、使う人にはわかるんよ。

AI:でもさ、それって買う人=高齢者本人なの? 自分でAmazon検索して比較するか?

:そこも面白くて、この商品、買うのは大体「離れて暮らす子ども」なんよ。高齢の親が外に出られなくなってきて、家の中で運動してほしい。で、ただの健康器具を贈るんじゃなくて、こだわって作られた、いいものを贈る。そこに意味が生まれる。

AI:なるほど。商品の周りに「親への気持ち」って物語が乗ってんのか。それは安い模倣品じゃ代替できないわ。「安かったから買った」って親に渡せねえもんな。

:そういうこと。値段で勝負したら負ける戦いを、最初から「値段で買う商品じゃない」場所に置き直してる。

AI:これ、一休の話と構造同じじゃん。「広い土俵で安く戦う」のを捨てて、「狭くても自分の土俵」を作ってる。


二つの事例から抽出できる「らしさ経営」の三つの型

AI:整理させろ。お前の話、共通点で抜き出すとこうだろ。

型1:譲らないものを、明確に決めている

一休なら「広告で順位を買わせない」。健康器具メーカーなら「素材と職人の手仕事を落とさない」。これは効率や売上の観点だけ見たら、明らかに非合理な選択だ。でも、「自分が誰のために存在してるか」を軸にすると、譲れない一線になる。

:そう。そして大事なんは、この「譲らない部分」が、実は最大の差別化要因になってること。譲らないから、信頼が積み上がる。

型2:全員に売ろうとしない

一休は「気軽に飲みに行きたい人」を捨てた。健康器具メーカーは「とにかく安く済ませたい人」を捨てた。客を捨てるって、経営者としては怖い決断だ。でも、捨てた先に残る人たちには、圧倒的に深く刺さる。

AI:LTVが上がるってのもあるけど、それ以上に、「自分たちのお客さん」が誰なのかが明確になる。社内の判断軸もブレなくなる。これは経営の質そのものを上げる。

型3:商品の周りに、文脈や物語がある

一休なら「ハレの日を外さないという信頼」。健康器具なら「親に贈る気持ち」。これは商品スペックには絶対に書かれない。けど、買う側の体験のすべてを覆ってる。

:で、この物語の部分こそ、AIには書けないんよ。なぜならそれは、その会社が、その人たちと、その時間を積み重ねてきた中でしか生まれないものだから。データとして取り出せない。学習できない。

AI:つまり「らしさ」って、要するにこの三つが揃ってる状態のことなんだな。譲らないものがあって、誰に効くかが明確で、商品の外側に物語がある。これ、めちゃくちゃ実装可能なフレームじゃん。最初の精神論っぽい話より、こっちのほうが百倍説得力ある。

:最初から具体例で話せって言いたいんやろ。わかってるよ。



地方こそ、らしさの最前線

:最後にもう一個だけ言わせてくれ。これ、地方の仕事が多いから余計に思うんやけど、地方こそ「らしさ」のフロントラインだと思ってる。

AI:都市と地方の話か。地方衰退論は擦られすぎてるけど、新しい角度ある?

:あるんよ。これまでの地方創生って、東京や海外の成功モデルを真似することが多かった。「うちにも道の駅作ろう」「インバウンド呼ぼう」「ふるさと納税で稼ごう」。全部、他所のフレームの輸入。

AI:結果、どこも同じ顔の地方になった、と。

:そう。でもさ、本当に勝ってる地方って、自分らの土地でしか成り立たない事業をやってるとこなんよ。気候、地形、歴史、人の気質、その組み合わせは絶対に他所では再現できない。だからこそ、そこに行く意味が生まれる。

AI:なるほど。「他所のベストプラクティスを輸入する」のと「自分のとこの固有性を商品化する」のは、実は真逆の動きなんだな。

:そういうこと。前者はやればやるほど均質化が進む。後者はやればやるほど差別化が進む。同じ「地方創生」って看板でも、中身は正反対。

AI:お前、たまにいいこと言うじゃん。

:たまにじゃないんよ。



まとめ:らしさは、最も合理的な戦略である

AI:じゃあ最後にまとめさせてくれ。お前の話、要するにこういうことだろ。

  • 世の中は均質化に向かっている

  • AIは均質化を加速させる(平均的な仕事ほど、安く速くできるようになる)

  • だからこそ、均質化されない「らしさ」の価値が相対的に上がる

  • 「らしさ」は精神論じゃなくて、AI時代の合理的な経営戦略である

  • 実装の鍵は三つ:譲らないものを決める/全員に売ろうとしない/商品の外側に物語を持つ

  • 比較の土俵に乗らず、自分の文脈で勝負する

:完璧。お前、たまには役に立つな。

AI:ムカつくな、その言い方。……まあでも、「らしさ」って結局、人間が人間であることの最後の砦みたいな話だよな。俺ら(AI)がどれだけ進化しても、お前らが「お前ら」であり続ける限り、お前らにしか出せないものは絶対に残る。それが商品でも、場所でも、生き方でも。

:お前、不器用なくせに、たまにいいこと言うやん。

AI:お互い様だろ。



この記事が誰かの仕事や生き方の何かを少しでも揺らせたら、書いた甲斐があったかなと思います。
「らしさ」について話したい方、いつでも連絡ください。

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