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減塩生活 with nosh

 エッセイ

 ベージュ色のトレイに載ったオニオングリルハンバーグを食す。醤油風味の甘じょっぱいソースは、さぁ白飯を食えと言わんばかりだ。人気ナンバーワンメニューだけあって、添え物のほうれん草に青豆やコーンが、ふっくらした肉を上手に引き立てている。これで塩分相当量2.4グラムとは嬉しい。
 この他にも、鶏もも肉の炭火焼き~極~は、塩分相当量2.2グラムだがビールとの相性がバツグンだっし、鯛のつみれ生姜あんは、本格和風料理といった感じだったが、塩分相当量はたったの2.5グラムである。

 インターネットで注文して、2週間に1度届くようにした。1食700円ほどするので、スーパーのお惣菜と比べると決して安くはないが、カロリーも塩分も減らしたい人には、値段相当の価値はある。

 本格的に減塩を心掛けるようになったのは、今年1月中旬に受けた健康診断がきっかけである。
 1か月程して結果が届き、書類を見て不審に思う。体重は減少し、臓器も概ね良好になっていた。しかし、血圧だけは高いままだ。

 もとより、お酒もしょぱい物も好きだから、仕事を終えて、夜な夜なビールやワイン合わせてスナック菓子で晩酌するのが楽しみであった。
 社会人になりたての頃から、そんなことをしていたのだ。
 でも、年齢が上がり、健康診断を受けるにつけ、結果は悪化の一途をたどっていった。
 近年では、なるべく醤油やソースを使わずに食事をするなど、体に気づかってみたが、焼け石に水のようなものだったのか。

 年々、下降線をたどった私の体は、ここ数年は下げ止まりのような状況が続いていた。相変わらず悪いが、それ以下にもならなかった。

 改善の転機となったのは、昨年の夏、我が家に襲い掛かった出来事だ。母が難病を患い在宅介護が必要になった。母と二人暮らしのため、私がケアラーとなる。この精神的な負担が大きかった。時を同じくして、私の肉体が激痛に耐えることになる。歯の神経が腐食し排膿していたのだ。それからは、慣れない介護と歯の根尖の治療の日々が続いた。

 母は足が日に日に悪くなり、自宅で転倒を繰り返す。私は歯医者から、お酒と運動、湯船に浸かることを禁止される。私の歯痛は根本的な原因がなかなか判らず、歯医者が驚くほど排膿を繰り返した。

 お役所で介護保険や難病の申請、母の通院に付き添い、それが終わると歯医者へ行く。そんなことで休日は終わり、仕事帰りにも大好きなお酒が飲めない日々が続き、ビールの代わりに烏龍茶を飲みながら、YOUTUBEを見ていた。
 仕事が平日休みのため、お役所の手続きや通院がスムーズに出来たことが唯一の救いだった気がする。

 苦しい生活に終わりが来たのは、昨年末である。母の更に容態が悪化し、施設に入所することになった。年明けには、私の歯も完治した。あの脳まで響く激痛とお分けれ出来たのだ。

 このあと健康診断を受診して、結果は、体重が6キロ減少し、以前は悪かった臓器も概ね良好になった。排膿は痛かったけど、怪我の功名と言えば良いのか、体は驚くほど改善した。でも、どうしてだろう相変わらず血圧だけは高いままだ。

 血圧なんて簡単に下がると思っていた。体重に比例して下がるものだと勝手に思っていた。
 とにかく無気味で仕方なかった。折しも母の難病を介護したばかりだから、健康には敏感になっていたころだ。
 会社で、上司や同僚に打ち明けたら生活改善が必要だと言われた。塩分は、1日に6.0グラム以下に抑えると良いらしい。あと、家庭血圧も測ることにした。

 1日の摂取量が6.0グラム以下ならば、かなり意識的に減らさなければならない。家で食事を作ってくれる母は、施設に入ってしまい不在だ。
 会社勤めもしているので、自炊に時間を大幅に割くこともできない。更に自炊イコール減塩でもないだろう。私のうっかりミスで塩分の濃いものが出来上がる可能性もあるのだ。それか、塩分を減らしすぎて、全く食のすすまない物が出来あがる場合もあるだろう。

 普段はスーパーやコンビニでお弁当やお惣菜を買うことが多いので、成分教示のシールをよく見るようになった。塩分相当量は必見だ。朝ご飯に0.5グラムのパンを食べたとして、お昼のお弁当に4.0グラムのものを食べたら、晩ご飯は、1.5グラム以下にしなければならない。お茶菓子やスイーツにも塩分は使われているから注意が必要だ。ならば、昼は3グラムぐらいの物を見つけなければ。うちの会社には、社員食堂がないため、お弁当やパン、おにぎりを買ってから出勤している。

 私の場合、健康診断よりも、家庭血圧は高く出た。
 医療機関では、上が130下が80を超えると高血圧としている。
 特に上の数値には注意が必要だという。
 私の血圧は、150台後半から160台が多く、高いときは170台に突入してしまう。酷いときには185が出たので、そのときは、見なかったことにしようと現実逃避した。

 会社の通勤路にコンビニやスーパーは数件あるが、低塩分の物を探すと思ったよりもない。毎日食べる物がマンネリ化してくる。そんな状況がしならく続いた。

 あるとき、コンビニで大盛パスタを買って帰り、塩分相当量を見てみたら6.8グラムとあった。お腹が減って焦っていたのか、成分表示シールを見落としていた。1日の塩分摂取量をこの1食で越えてしまうので、もったいないが食べずに捨てることにした。

 このままでは、いけないと思った。
 しっかりと治療する必要があると思い、病院を受診した。すると本体性の高血圧と診断された。どうやら私の高血圧は遺伝のようだ。減塩を心がけたぐらいで治るものではなかったのだ。それ以降は、降圧剤を服用することになった。
 食事生活も見直すことにした。塩分低めのお弁当だけでは、飽きてしまったので、YOUTUBEのCMでよく流れているnoshを注文してみることにした。

 簡単に治ると思っていた高血圧は、本当はすごく手強い。それを知ったうえで10年、20年、あるいはその先のリスクに備えなければならない。降圧剤を飲んでも数値が安定するまでは、塩分は控える必要があった。

 うちの母は、料理好きで施設に入所する数日前まで夕食を作っており、昔から薄味の物が多かった。
 noshは、母の代わりをしてくれているようだ。豊富なメニューに2.5グラム以下の塩分控えめなものばかり。薄味な料理は素朴で優しい味がする。
 ネットで公式サイトから注文すると、クール便で届き、冷凍庫で保存するだけ。ご飯さえ炊いておけば、いやなくてもパックご飯があれば、レンジでチンして食べるだけ。
 メイン料理は、魚、牛肉、豚肉、鶏肉、なんでも御座れで、添え物も菜っ葉の煮びたしやアサリの煮つけなど、自分では作らないものが多い。
 これだけ塩分が低ければ、朝と昼のご飯選びにも余裕が出てきた。

 ときどき、動画でnoshはまずいと批判する人見かける。確かに食の好き嫌い、味の良し悪しは人それぞれであるが、あの低塩分、低カロリーであれだけの味が表現が出来ることを忘れてはいけない。どうやら、専属のシェフと管理栄養士がいるようなのだが。

 まだ利用をはじめて3か月ほどだが、noshの姿は何かに似ている気がしてならない。
 私は、今こうして、noteを書きながらも、減塩生活を続け、noshを食している。 
 窓の外には、はしり梅雨のどんよりとした空が広がる。最近は、こんな空が多いから、真冬の空気の澄んだ清々しい空が懐かしく感じる。
 今冬は、ミラノコルティナオリンピックが開かれ、日本人女子選手の活躍が目立った。
 女子のスポーツは、男子よりも瞬発力や筋力でが下回ると言われる。しかし、女子のポテンシャルを存分に発揮せんと日々の鍛錬を繰り返し、結実させる姿は見る者の心を打つ。そして、女子ならではの華やかさもある。

 noshはこれに似ている。
 低塩分、低カロリーで、出来る美味さを発揮しているのだから。
 たまに肩透かしをくらうメニューもあるけど、それもまた家庭料理とにている。

 パッケージもオシャレだか、見た目だけでなく、サトウキビの搾りカスを利用し、サスティナブルなものになっている。
 現代では、こういうスマートなところも含めて、華といえるだろう。

 最近では、降圧剤の治療もあって上の血圧が110以下に収まってきた。
 とはいえ、油断は禁物だ。冷奴やサラダのは醤油もドレッシングもかけずに食べていことにしよう。

 母の不在と減塩生活がきっかけで始まったnoshを活用した食生活は、これからも続いていきそうだ。



#創作大賞2026 #エッセイ部門

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