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Rangeにおけるanchor

今回は中級者の方に向けて、anchor(アンカー)と呼ばれる概念を紹介しようと思います。この概念を学ぶことでGTO戦略がいかにしてレンジ全体の戦略を構築しているかをより適切に理解することができます。

レンジ全体を俯瞰した概念になるためゆっくりと読み進め確実に理解をしていってください。

anchorとは

まずは例から
UTG vs BBでBBにdonkを受けた場面を考えてみます。
pair boardでのdonkに違和感を感じる方もいるかもしれませんが、
GTO戦略は約25%の頻度でdonkを行っています。

さてあなたはこのdonkを受けた場面でQQを持っているとしましょう。
相手の7には負けていますがdonkレンジのほとんどには勝っているというハンドです。
どの程度の頻度でcallを行い、どの程度の頻度でraiseをしたいでしょうか?
少し考えてみて下さい。

call x% : raise y%の形で回答を作成してみて下さい。

では回答を

UTGはraiseを行う頻度がほとんどなくかなり多くのハンドをcallによって抵抗しています。

AAやKK、特に捲られることの多いQQといった強いハンドはraiseしても良さそうに感じますがなぜraiseを控えているのでしょうか?

この戦略を理解するのに必要な概念がanchor(アンカー)となります。

UTGのメインレンジはAhiやKhiといったカードが多いことは皆さんご存じの通りです。
off suitedはコンボ数が多いのでAToのようなハンドを持っていることも多いでしょう。
ではこの場面AToを持っていたらどうしたいでしょうか?

少しでいいので考えてみて下さい。

おそらく多くの人がcallを検討したと思います。
これらのハンドを捨ててしまえれば話は簡単ですが、切り捨てるにはあまりにEQが惜しいです。

AToのようにcallを優先したいというハンド達を大量にcallして、
QQのような強いハンドをraiseしてしまった場合callレンジがhicardだらけになってしまうのは直感的だと思います。

このようなcallを優先したいハンド(多くの場合レンジのミドル帯)を守ってあげるためにはraiseアクションを控えなくてはいけません。

すなわち

QQはcallレンジを守るためにcallする。

というのが妥当な考え方です。

これを少し視点を変えて解釈してみましょう。

レンジのミドル帯が我々を守ってくれとほかのレンジに働きかけます。

その結果

レンジのミドル帯はトップレンジへ碇(anchor)のように作用しトップレンジのアグレッシブアクションを妨げます。

このpassive action(主にcall)に拘束されたレンジ帯をanchorと呼びます。

今回の場合画像のマーク部分がanchorとして機能し、
QQのようなハンドは足を引っ張られてraiseができなくなっていたわけです。

足手まといは捨て置け?

方針としてこのようなanchorを切り捨てることも可能なはずです。
実際GTO Wizardのnode lock機能を使ってanchor達をfoldに拘束してしまいましょう。

上の画像ではラフにHicardのid帯をfoldに制限しています。
solverはそのほかのレンジを自由に調節し、最も効果的な戦略を生み出します。

このようにするとUTGは足枷の消えた残りのレンジを非常にアグレッシブにplayします
こうしてしまえれば楽ですが、上のような戦略は「anchorに引っ張られてcallする戦略」に対しEVが低くなっています。

参考
GTO戦略 UTG EV :1.57
Nodelock戦略UTG EV : 1.44
(どちらもdonkを受けた後)

GTO戦略はその都度anchorをどの程度大切にするかをレンジ全体のEVから決定したうえで戦略を構築しているわけですね。

GTO戦略がレンジのミドル帯に着目して戦略を構築することでレンジ全体のEVを高めていることが分かる良い例だと思います。

anchorの価値


別のspotをみてanchorの捉え方を深く学びましょう。
BTN vs HJの3bpを考えます。
boardはAJ9 BTNは20%のcbを選択しました。

HJであなたはJcTcを持っています。
この状況でGTOがとるアクションを考えてみて下さい。

解答を見るとJTsはpureにxrを選択しています。
この戦略は意外に感じる方が多いのではないでしょうか?
JTはturn以降で基本的にbluffを選択しているのでbluff raiseをしていると考えていただいて構いません。
(実際FlopのraiseにOOPはAをfoldします。)

JT自体がbluffをしていることはともかく、レンジ戦略を見るとHJはかなりraise or foldに近い戦略をとっていることが分かると思います。

今回のケースではanchorに該当するレンジはpocket pairになりますが、
これらのハンドのEQは非常に小さいです。
ですのでこれらのanchorを切り離してしまい残りのレンジをアグレッシブにplayすることを均衡は望んでいます。

A64のような2枚目のランクが低いボードではpocket pairを耐える価値が高いため、このアグレッションは見られません。

AJ9の状況では

BTNが3bettorレンジの圧倒的優位性を活かして広めにbet
HJがanchorを切り捨てそのbetに逆襲

という急戦風の構造になっています。

総括

ここまでanchorについていろいろなspotを基に考えてきましたが、結論を纏めておきましょう。

まず、当然のこととして

レンジのミドル帯は基本的にアグレッシブなアクションを好みません。

そのため

ミドル帯のEQが大切・大量な場合、これらのrangeはanchorとして働き残りのレンジの戦略をpassiveにします。

特に強ハンドを持っているときは守ってやるべきanchorが自分のレンジにどの程度いるのかを意識してみるとよいでしょう。

一方で3bpの例でみたようにレンジのミドル帯が捨ててもよいと判断できる場合には、anchorを切り捨てて残りのレンジをアグレッシブにアクションすることがあります。

GTO戦略でのraise頻度に関する議論を行う際には両者のレンジのanchorについて思いを馳せてみて下さい。

この概念を理解しておくと、GTO戦略を解釈する際に
「anchorがあるから」
などと理由の1つを見つけることができると思います。

余談ですが相手にanchorが多い場合にraiseを恐れずbetできるというような応用的な使い方もGTO戦略では見られます。

あとがき

ここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございます。
このanchorという概念は筆者がGTO Wizardの社内eventに行った際耳にしてそれを少し工夫したものになります。

GTO Wizardの動画内でレンジのミドル帯に言及しているものも存在しますので良ければ見てみて下さい。

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