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前編:「ダメ男」の正体

 「あんな男、やめておきなよ」——周りの誰もがそう言うのに、なぜか離れられない。約束は破るし、お金にもルーズ。けれど、ふとした瞬間に魅せる底抜けの優しさと儚さ。女を沼に落とす「ダメ男」の正体とは、一体何なのだろうか。

 結論から言えば、ダメ男の正体は「終わらない夢を魅せる天才」である。彼は未来を約束しない代わりに、途方もなく甘い「今」だけを差し出す。頼りなく、どこか欠落した彼の姿は、女の中に眠る母性や「私が彼を変えられるかもしれない」という万能感を激しく刺激するのだ。彼に惹かれているとき、女が愛しているのは彼自身ではなく、「彼を救おうとしている健気な自分」なのかもしれない。

 だが、この恋の恐ろしさは、暴力や暴言といった分かりやすい悪意がないことだ。彼はあなたを傷つけようとしてダメなのではない。ただひたすらに「自分を愛すること」で精一杯なのだ。彼と過ごす時間は、優しく甘い麻薬のように、あなたの貴重な若さ、時間、そして自己肯定感を少しずつ、確実に奪い去っていく。

 ダメ男とは、女の「愛したい欲求」を甘やかし、現実から引き剥がす幻想の影だ。傷つくことよりも虚しいのは、自分の人生の主役を他人に譲ってしまうこと。彼を救う前に、まず救うべきは、甘い夢に逃げ込もうとしている自分自身なのだろう。

#恋愛 #エッセイ #ダメ男 #自己肯定感 #noteコラム

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