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奥津軽虫と火祭り・市内運航復活!(五所川原市)


ドラゴンを信仰する街?

五所川原市のあちこちには「ドラゴン」のモチーフが?


五所川原市を訪れたことのある方は目にしたことがあるかもしれません。
市のいたるところに「ドラゴン」のモチーフがあることを。
マンホールや歩道のプレート、そして街の街灯や橋のデザインの一部、さらには名産品コーナーにある最中、などなど。。
この「ドラゴン」が何を意味しているかご存知の方は、まだ少ないかも知れません。
この「ドラゴン」は、実は「虫」です。
虫と言っても、てんとう虫やカブトムシではなく、
「虫送り(むしおくり)」の虫です。


市内を運行する「虫送り」の「虫」


「虫送り(むしおくり)」という祭り


今では、正式名称「奥津軽虫と火まつり」となっている祭りは、
昔から通称「虫送り」と呼ばれ、
五所川原市をはじめとした津軽西北地域で古来より親しまれてきた祭りです。
カヤで作ったドラゴンのような形状の山車、大きなたいまつ、そして太鼓や鉦(かね)を演奏する人々が一斉に市内を運行して回り、最後は市内を流れる岩木川(いわきがわ)の河川敷に集合してご神事を行います。
さらにクライマックスとして、河川敷にあらかじめ建てられた巨大な「大虫(おおむし)」に火がつけられ、燃え上がります。
この祭りは、五穀豊穣、国家安泰、悪疫退散などを祈願して行われる祭りです。
由来としては、かつて農業の天敵である害虫を駆除するために、効果のありそうな植物を燃やして煙を出していた風習が、やがて信仰を伴って形式化したのが有力な説です。


そんな「虫送り」ですが、実は、2019年を最後に市内での運行は自粛されてきました。そうです、「自粛」と言えば、「あのウイルス」です。
悪疫退散のための祭りの運行が、ウイルスのせいで自粛されてきたのがなんとも皮肉ではあります。
そんな現状を打破するべく、五所川原市の青年会議所の皆さんが市内の運行を企画した結果、6月20日の土曜日に旧来通りの完全な形のお祭りが行われることになりました。

祭りの準備・設営


支柱にワラが取り付けられ、「虫」の形になっていきます。


岩木川河川敷での大虫、およびご神事や各種演奏・演舞の舞台の設営作業は、6月16日にスタートしました。舞台はもちろんのこと、最後に燃やされる大虫は、左右2匹とも全長20メートルを超える大きさなので、その制作の手間も半端なものではありません。
頑丈な支柱と金属製のフレームに沿って、ワラの束を取り付けていき、龍のようなフォルムを形作ります。

18日の段階で、大虫のおよそのフォルムはできていました。胴体のワラは取り付けが完了し、さらに、木で形作られた頭部が取り付けられ、龍のような形状がより一層わかりやすくなりました。


祭りの前日である19日、大虫の体に、さらに杉の枝葉が取り付けられていきます。古来の駆虫の名残りなのか、あるいは生き物としての有機的な雰囲気を付け加えるためなのか、枝が付けられていくごとに、さらに生命が吹き込まれていくような感覚になります。

そして、とうとう祭り当日の20日。
13時からクレーン車などを使用して、大虫を垂直に立てて固定する作業が行われました。
全長20メートル超のものを起こして固定するのは、並大抵のことではないはずですが、おそらく何年もこの作業を担当しているであろう地元の業者さんは、とても手慣れた印象です。


金属の枠とワラで形作られる巨大な「虫」

無事に大虫2匹が立てられ、固定されました。
天に昇っていくかのようなそのフォルムが、これから執り行われるのが、
人々の祈願を担っている大切な祭りである、ということを実感させてくれます。



祭りのメインである、大虫2匹が立てられました。


祭り本番は18時30分から、五所川原市の「立佞武多の館(たちねぷたのやかた)」の前で始まりました。
各地域ごとの演奏、演舞が披露されていくのですが、それぞれ伝統と個性が光っていて、沿道の人々も魅入られていました。


各地域の演奏と演舞が行われます


一通りの演奏、演舞が終了すると、実行委員長の挨拶、そして五所川原神明宮の方々による修祓(しゅばつ)という儀式が行われ、とうとう運行が開始されました。
先頭では、学生たちが、「荒馬(あらうま)」とよばれる木を道路に叩きつけながら進みます。道の汚れを清める意味があるようです。
その後を、3本の中松明(ちゅうたいまつ)が続き、さらに、カヤで作った虫の山車、小型のねぷた、演奏隊など、全員でご神事の場である岩木川河川敷を目指します。

岩木川河川敷では、たいまつやお焚き上げ場に火が灯され、祭りに参加した皆さんがお焚き上げを行なっていきます。
そして、河川敷においても、各地域の演奏、演舞が行われるのですが、市街地とは雰囲気が大きく違って、とても神秘的な印象に感じられました。


一通りの演奏と演舞が終わると、いよいよご神事です。
たいまつを振りかざしながら「ヤッサー!(弥栄、の意味)」という掛け声とともに、国家安泰、五穀豊穣、悪疫退散などが祈願されていきます。
この頃には、土手で観覧している人々も、祭りの参加者も、とても神妙な面持ちになっていました。

ご神事が終わると、とうとう祭りのクライマックスである大虫への点火が行われました。
たいまつで導火線に点火され、大虫まで炎が伝わっていきます。
点火された大虫は、下の方から一気に燃え上がり、左は赤、右は青に光り、そして火を吹き上げます。
それと同時に背後から花火が打ち上げられるのですが、これがまた爽快です。
いつもとは違う、「7年ぶりの市内運行の復活」という悲願を達成したからか、実行委員長はじめ、参加者の皆さん、そして市民の皆さんの表情も、とても誇らしく感じられました。

大虫に点火されるとともに花火が打ち上がります

「奥津軽虫と火まつり」は、毎年6月に行われます。
立佞武多(たちねぷた)と並んで、五所川原市のアイデンティティであるこのお祭り、ぜひ一度観にいらしてはいかがでしょうか。

そして、映像でご覧になりたい方は、ぜひ、
YouTubeチャンネル「五所川原だいすき ゴショっ子TV」の
第6回もチェックしてみてください。
大虫のダイナミズム、祭りの荘厳な雰囲気などがリアルに感じ取れることでしょう。


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