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「テキサス1の赤いバラ」(1982/未公開) 愛と追憶の未公開シネマ#4

コリン・ヒギンスという監督・脚本家を覚えていますか?

彼は1988年、47歳という若さでエイズのために他界しました。
監督作はわずか3作。
しかし監督デビュー前に脚本を手がけた『大陸横断超特急』(76)も含め、そのどれもが一級の仕上がりのコメディです。

監督第1作『ファール・プレイ』(78)ではゴールディ・ホーンを主演に迎え、共演にはチェビー・チェイスを起用。

第2作『9時から5時まで』(80)ではリリー・トムリンとジェーン・フォンダというコメディの達人とカントリーシンガーのドリー・パートン。

そして、その『9時から5時まで』でコメディエンヌとしての資質を覗かせたパートンを主演に迎えたのが、ヒギンス最後の監督作『テキサス1の赤いバラ』(82・未公開)でした。

ということで、今日は『愛と追憶の未公開コメディ』第4弾です。


当時、主演のバート・レイノルズはアメリカではドル箱スターでしたが、日本ではマッチョなイメージが今ひとつ受けにくい時代でした。
そしてドリー・パートンも映画界ではまだほぼ無名。
さらに、日本ではファンの少ないカントリー音楽を全面に押し出したミュージカル映画となれば、未公開もやむを得ないところでしょう。


映画のストーリーはというと、原題 The Best Little Whorehouse in Texas(=テキサス1の小さな売春宿)の通り、テキサスの老舗売春宿(通称「ニワトリ牧場」)を舞台にしたラブロマンス。

女主人を演じるドリー・パートンと、彼女と恋仲の保安官バート・レイノルズが、インチキTV宣教師(ドム・デルイズ)による取り壊し計画から「ニワトリ牧場」を守ろうと奮闘するというお話。


この映画を一級のコメディにしているのは、やはり出演者たちの好演と怪演です。

ドリー・パートンは自らのホームグラウンドであるカントリー・ソングの世界でのびのびとその歌声を披露し、レイノルズとのデュエットも聴かせてくれます。

『9時から5時まで』では「陽気なグラマー女優」という印象でしたが、本作では、それに加えて貫禄とチャーミングさが大幅アップしてます。
彼女の高い声で笑う、笑い声が可愛いんですよね。

レイノルズも自分の個性にピッタリの役どころで、生き生きとして好調。

そして何より圧巻なのが、ドム・デルイズとチャールズ・ダーニングの脇役二人の怪演です。

デルイズは数多くのコメディで活躍した芸達者。
ここでもヅラを振り回し、ピチピチ衣装のインチキ宣教師を熱演して大笑いさせてくれます。

ダーニングはと言えば、シリアスもコメディもどちらも自在にこなす名脇役です。

『トッツィー』でジェシカ・ラングの父親役を演じたのも彼。
女装をしたダスティン・ホフマンに惚れてしまい、正体がバレた後のバツの悪さがなんとも言えない可笑しさでした。

ダーニングは、この『テキサス…』と翌年の『メル・ブルックスの大脱走』(83)で2年連続アカデミー助演男優賞ノミネート
本作では市長役として軽快なステップで歌い踊る楽曲”Side Step"が絶品です。

ヒギンスは『ファール・プレイ』のダドリー・ムーア、『9時から5時まで』のダブニー・コールマン、そしてこの映画のダーニングといい、決してコメディアンじゃない“おじさん俳優で爆笑を生む”名手だったことを、ここでも証明しています。


最後は主題曲のことを。
この映画の主題歌はドリー・パートン自身が作詞作曲した名曲
“I Will Always Love You”

後に『ボディガード』(92)でホイットニー・ヒューストンが歌い大ヒットした、あの曲です。
ホイットニーが『アンダ~~イ~ア~ッ』って、気持ち良さげに歌ってたサビを、パートン版はカントリー特有の節回しで、さらりと、しかし味わい深く歌い上げています。

この曲が「ボディガード」で使われた理由は、どうやらカントリー好きのケヴィン・コスナーの強い推しで採用されたとか。

「テキサス1の赤いバラ」VHS

コリン・ヒギンスって、やっぱりいいコメディを作る人だったなあ。
監督作わずか3作だけというのが本当に残念でならない。


※この記事はブログ「5011 cinema note」の2006年3月の記事を基に加筆・再構成しています。

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