部活動の行方は?吹奏楽東関東大会出場を経験して
Yahoo!ニュースでたまたま『「超ブラックでも金賞で美談に」吹奏楽の「強豪校」が休日なし、終日練習の実態。』なるニュースが目に留まった。
「ウンウン、よくわかるよ。」とぽつりとつぶやいた筆者。
全員ではないですが、一部疲弊しきった生徒は日中の授業中がもはや休憩時間に。(なんのために高校進学したんかい?)
授業の内容は身に付かず、このあとやってくる放課後にさらなる練習が待っている緊迫感。いったいどんな気持ちで一日過ごしていたのだろう。筆者の授業中にパート譜を読んでいた生徒にはもう、たっぷりとお説教させていただきました。(授業担当者に対する非礼、そしてそこまでして演奏しても決してよい演奏にはならない。コンコンと説き伏せましたヨ、あー疲れた。)

しかし、ふり返ればこの現象はなにも吹奏楽に限った話ではない。運動部とくに活動強化クラブの生徒はみんなヘバッていた気がする。そこは私も一人の人間。やみくもにたたき起こしたり、譜面を取り上げたり、強固なやり方はしなかった。ただ落ち着いてゆっくりと本人にいまやったことへの間違いを指摘していく作業だった。(本人にとっては馬耳東風だったでしょうが。)
たとえあなたが取るに足らない教科だと思っても、不必要な授業などないんです。それを判断するのはあなたじゃない。いつも信念をもって教壇に上がり続けていた。
わが吹奏楽部が東関東大会まで駒を進めたとき、部員はもちろん、保護者、学校関係者は皆さん喜んでくださった。けどさ、実は嬉しい反面、筆者の心はチャコールグレーな気分だった。

なにしろ、大会会場までこの子たちを連れていくまでに、膨大な手配をせねばならないんだから。当然、相当な金額が動きます。
覚えているだけでも、
・行き帰りのバスチャーター(大会会場は自分たちの住む街どころか県でもなく、他県。手伝い生徒を含めた約40名+顧問+荷物をバラバラに電車に乗せるなどできない)
・大会会場近くに本番まで練習させてもらえる学校をさがす。(ここはもうツテです。顧問同士の横のつながりで当日学校に入れていただき、合奏室をお借りする)千葉県のT高等学校様、本当にお世話になりました。顧問の先生のしつけが行き届いており、部員の皆さんが校門までバスを迎えに来てくださり、校内まで誘導、合奏室の使用方法まで細かく教えてくださいました。(肝心の顧問先生は、すでに会場入りしてステージ脇で幹部のお仕事をなさっていました。)
・夕飯弁当とお茶の手配(昼食は持参弁当ですが、ステージ後の審査発表が18時ごろ。それを聞いてから帰宅までの夕食がないのは困るので、会場近くの弁当屋さんを探し、会場まで40個近く配達してもらう手配をした。時間通りに配達してくださり無事にみんなでおなかを満たせました。お弁当屋さんありがとう。)
まだまだあります!
・打楽器運搬車の手配(これは地区大会、県大会と同様でなじみのトラック業者がありますが、都合よく出張してくれるとは限らない。事前の手配が必須)
・コーチ陣の先生方の出張手配。(交通費など申請をせねば先生方を招集できない。こういうのも私たち教員がきめ細やかに手配します。指揮を振るだけじゃぁないんだぜ!)
今回は、演奏以外で生徒を手伝いに出す必要がなかったが、場合によっては顧問や生徒が運営のお手伝い側に回ることもある。自分の学校のクルーを離れてひと仕事は結構負担。
忘れてはいけないのが、これはコンクール。極度の緊張や急な楽器の不調、そして演奏者本人の体調不良など、不慮の出来事が五月雨式におこるんです。そのたびに、千手観音さまのごとく指示をだしていきます。迷っている暇はありません。(コンクール会場裏は、分刻みでピリピリと動いているんです)

やっとの思いで、リハ室まで通され、定刻で舞台袖まで誘導されて緊張する生徒を落ち着かせ、本番。
は~ 終わった終わった。

個人楽器をしまって、大型楽器をトラックに詰め込む。(ここに人数を割き、きびきびと退出準備をしないといけない。どんどん次の学校が押し迫ってくるから。)
通路でもたついたり、リハ室をもたもた出なかったりすると、マジで怒られる。いい大人も怒られる。だからまだまだ緊張感が漂うのです。てか一日中どこかしらで誰かになにか言われないかレーダーを張り続ける日なんです。
それをね、「関東大会に出られるの~?すごいわねぇ~吹奏楽部は~。」とか軽く言わないでくれ~

ちなみに、コンクールの演奏って、演奏時間が決まっているんです。課題曲と自由曲を演奏する場合は12分以内。自由曲のみの部門は7分以内。この演奏時間が 超過した場合は失格として審査の対象としないという鉄の掟がある。だから各校はあの手この手で時間を厳守し、曲によってはカット(短縮)したり、巧妙なテンポアップをしたりと対策を練ってくる。
つまり、「舞台に乗ったらこっちのものよ~オホホ~。あとは私たちのことを見てぇ~!」といったお花畑ではないのです。

もう、胃に悪いです。ラッパとトロンボーンあたりをとくに注視していた筆者としては、トロンボーンのミュートが演奏中に転がり落ちた時点でもうオワタ・・とか思ってしまったり。(これ自体が大減点ではないが)

とにもかくにも、審査発表を終えて(全国行きには届かず残念)、みんなお疲れさん~と帰路のバスに乗るころにはもう憔悴しきっているのである。ぼろ雑巾である。もう原型をとどめない、カッスカスの雑巾を想像してください。あれが筆者です。(うっっ泣)
遠足バスじゃないんです、生徒と楽器を無事にまず学校まで戻し、そこから各自帰宅させるまでは重大な責任下。顧問陣が帰宅するころには、お空のお星さまとお月様はすっかり夜空に定着している時刻でございます。

それでも、それでも、顧問の負担をこれ以上増やすのですか。全国大会に出場できないのは私たちのせいなんですか?(会場では温かい本校保護者様の応援をいただきました)
明日はすぐにやってきて、今日の反省ミーティングがある。そして、なにより月曜日から通常業務なんです、私たち教員は。いつ休むんですか?
部活動を通じた人間教育といった面では筆者は吹奏楽部を通じて生徒と関わりあうのが好きだ。けれど、熱血すぎるのも考えモノ。
きちんと周囲に感謝ができたり、自分たちで自治できることはなるべく遂行し、運営していく。そして保護者様も預けっぱなしではなくて、運営の手助けをいただけると助かります。

吹奏楽でも人気曲セルゲイ・プロコフィエフ作曲 組曲「ロミオとジュリエット」の有名なモンタギュー家とキャピュレット家のフレーズが耳に入ってくる。プロコフィエフの曲はほかにも好きなものが多数あるが、とりわけ背筋がピリリとなるのがこの組曲だった。。
秋の夜長(秋の感じがないけど)。
筆者の旅はまだまだ続く。
お読みくださり、ありがとうございました。
