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シン世界を写真と言葉で旅する   「辺境への旅」 


「辺境への旅」

もしかしたら辺境かもしれない



ある惑星のある空間を移動している



そこでバスと呼ばれる乗り物で



ふと、そんな言葉が僕に降りて来た



地球を見下ろしている誰かが、僕にそうつぶやかせた



今日、四方を山に囲まれたこの街から東の海岸を目指す



バスを乗り継いで、東の果ての白い灯台のある半島を訪れるために



昨夜は旅前夜の高揚感で一睡もできなかった



そのせいか、脳が異常をきたし意識のどこかが拡大している



バスから見る外の景色に違和感を覚える



毎日見ている当たり前の風景が、初めて訪れた場所のようだ




まるで古いモノクロ映画のワンシーンを見ているように




ここはどこ



ここは



ここも




何十年も住み続けている見慣れた街の界隈が、遠い世界に感じる




本当は、いったいここはどこなんだろう




またもや地球の外から見下ろしている誰かが、僕にそう言わせている




全身を違和感に襲われながら空を見上げる、その誰かを探すために



朝の曇り空で見えないが、その空の奥には数えきれない星がひしめいている




そしてそこには、人の頭ではとらえきれない広大な宇宙空間が広がっている



数えきれない星の数、とらえきれない広大な宇宙空間
そのたった二つの事実を自分の目の前に並べて眺めただけでも
ここは間違いなく宇宙の片隅、辺境の星でしかない



辺境の星のさらに片隅にある、ある空間をバスで移動している




僕は、なぜ今この惑星にいるのだろう
また宇宙の誰かが、僕にそう言わせている



何か大切なことを思い出せないでいるような



バスは東へ進む



空が晴れ上がった、バスの窓から見える空はどこまでも青くなった



青い空をじっと見つめていると、
さらに著名なSF作家の随筆の一説を思い出した



光が届かないだけで肉眼では見えないが、
空は星で埋め尽くされている



空のはじからはじまで隙間なく星で埋まる



改めてその一説を脳裏に浮かべた瞬間
空全体が輝きだした
空が隙間なく星の輝きで埋め尽くされた
ように見えた



同時に自分の体の中にゴーという轟音とともに巨大な感情が現れた




はかりしれない宇宙の長大な時間軸と無限の宇宙空間が自分の体を貫き通し
何か大きな大きな深遠な宇宙の本質に包まれた




間もなくまたあの誰かの声が聞こえてきた

自分は遥か遥か昔に、遠い遠い星の住人だった
今と全く違う姿、言語、テクノロジー、自然環境の中にいた



そして今
とてもとても遠いところにいる
時間も空間もはかり知れないところにいる



前世の記憶がよみがえったのか、宇宙の誰かが僕と一体化する




そして語り始める




少しづつ周りに違和感を覚え始めている
バスの中の人々が遠い星の異星人に見える



会話がなぜか乱暴で原始的に聞こえ
目に入る皮膚のしわ、髪の毛、ひげが獣じみて見える




道を歩く二足歩行の人々が何か窮屈そうで弱々しく見える




いったいここはどこなんだろう




そして僕はいったい誰なんだ




どうやってこの星に来たんだろう



思い出せない




違和感に襲われ続ける




ここは一体………




ここはやはり宇宙の果て、辺境の地




遥か彼方、遠い遠い世界である




そして僕は何度も生まれ変わりながら、帰り道のない人生の辺境の旅をし続けている
それをはっきりと確信する




そしてそれは、みんな同じなんだ
バスに乗り合わせた人たちもみんなそうだったんだ
みんな何度も生まれ変わりながら虚空を彷徨う孤独な魂の持ち主なんだ



お互いけなげに懸命に生きてる同士のような存在なんだ
お互いをそんな風に温かいまなざしで認め合うべきなんだ



それにしても
とてもとても遠いところまで来てしまった




宇宙の果ての果てまで来てしまったようだ




この果てしない私の旅はいつまで続くのだろうか





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