それは宇宙船に乗るようなもの
従来の紙の保険証から、マイナ保険証に切り替わった。
それ自体、私は賛成でも反対でもない。いずれはそのような時代が来ると思っているし、移行期には様々な問題も賛否両論もあるだろう。
先日、コンタクトレンズの処方箋を書いていただくために検診を受けた。
その時に、初めてマイナ保険証を使用したが、車椅子ユーザーの高さでは顔認証に届かず、暗証番号入れようにもコードが短くてデバイスが届かない。ならば医療機関の人にやっていただこうとお願いをしても、「個人情報だから」と断られる。
私の場合はヘルパーさんがついてくださるのでお願いすれば良いが、今の時台、車椅子であっても単独行動の人は珍しくない。そんな中で、医療機関でさえもバリアがある世の中とはどうだろうなどと思ってしまった。
コロナ以降、人手不足もあって、飲食店ではタブレット注文、店舗ではセルフレジなど自分でIT機器を操作する機会が増えた。聞くところによると、今やパチンコ屋でさえセルフなのだそうだ。味気ない世の中になった。
これによって、おいていかれるのは障害者や高齢者である。
それについての云々はもちろんあるが、それよりも私が気になっているのは、特に高齢者に「努力しろ」という人がいることである。
私の母はスマホどころか携帯電話も使えなかった。
当然、セルフレジも最初はうまく使えないし、機械が変わるとやはり戸惑ってしまう。
クレジットカードの暗証番号デバイスが届かなくて母に頼んだ時も、母はうまくボタンを押せなかった。
高齢者の中には、ITデバイスに抵抗感のない人もいるし、頑張って覚えようとする人もいる。私も高齢者がすべて一律にできないとは思わないし、ある程度この世の中の流れに慣れてもらうしかないとは思っている。
しかし高齢者の立場からしたら、一般人が突然ポンと宇宙船に乗せられて、大気圏を出て地球を何周かして、自力で戻ってこいと言われるようなものかもしれない。
いくら適当に押しても大丈夫だからと言われても、どれかのボタン押すとシートベルトが外れて宇宙空間に放り出されてしまうのではないかというくらいの恐怖感があるのではないかと思う。
私の友人(もしかすると軽い学習障害があるかもしれない)はクレジットカードを使ってオンラインショッピングができない。もしも番号を間違えて入力したら赤の他人に請求がいってしまうのではないか心配だと言うのである。できない人にとっては、そんな突拍子もない発想が出てくるぐらい恐ろしいものなのだろう。
世の中の変わり目についていけない人が一定数いるのは仕方がないことだ。
それをカバーする方法も必要であるが、その前提として、世の中には努力しても適応することが難しい人への理解だ。
そういうことは身近に高齢者がいればわかるはずなのだが、どうも昨今の世の中はそうなっていないらしい。
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