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【VOL.60】中古住宅は"4割の時代"。それでも建物検査の実施は37.5%|買う前に知るべき3つのリスクと対策

こんにちは、W&B companyです。

「新築は価格が高いから、中古住宅も選択肢に入れようかな」

そう考え始めた方へ、購入前に一つだけお伝えしておきたいことがあります。

日本の住宅市場は、静かに変わっている

いま日本の住宅市場は、既存(中古)住宅の流通シェアが2013年30.8%から2023年には40.4%へと伸び、"4割が中古を選ぶ時代"になっています。

(国土交通省「ストック社会の本格化に向けた住宅政策のリフレーミングの方向性」2025年4月17日)

新築至上主義から、ストック活用へ。

この流れは今後も続いていくでしょう。

ところが、この市場拡大の裏側で、見落とされがちな重要なポイントがあります。

「必要だと思うのに、やらない」という矛盾

国土交通省の住宅市場動向調査によれば、中古住宅購入経験者の多くが「建物検査は必要」と感じている一方で、戸建ての実施率は約37.5%にとどまっているのが現状です。

(国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査」)

つまり、多くの方が「やったほうがいい」と頭ではわかっていても、実際には行動に移せていない状態です。

この「意識と行動のギャップ」が、購入後の後悔につながりやすいポイントになっています。

そもそも「インスペクション(建物状況調査)」とは?

一言でいえば、家の"健康診断"のようなものです。

ただし、ここで理解しておきたいのは、現行の検査には次のような特徴があるということです。

  • 目視中心の非破壊検査が基本

  • 売主側が選定した業者で行われるケースが多い

  • 最低限のチェック項目のみ、または簡易チェックリストで済まされる場合もある

つまり、「誰が・何のために・どこまで」実施したかによって、検査の質に大きな差が生まれるのです。

「検査済み」という表記があっても、その中身が必ずしも十分とは限らない——これが、専門家として最初にお伝えしたい現実です。


どこまで見えて、どこは見えないのか

現行のインスペクションで確認できる範囲と、見えにくい部分を整理しておきましょう。

確認できる範囲:

  • 外壁や屋根の劣化状況(目視可能な部分)

  • 床や壁の傾き

  • 室内の雨漏り跡

  • 給排水設備の状態(目視範囲)

見えにくい・見えない部分:

  • 壁の内部の腐食やカビ

  • 床下の詳細なシロアリ被害

  • 配管内部の劣化

  • 構造躯体の詳細な状態

つまり、基本的な検査では「表面的な確認」が中心で、建物の深い部分まではカバーしきれないということです。

「新築なら安心」とも限らない現実

「中古は心配だけど、新築なら大丈夫なのでは?」

そう思われる方も多いでしょう。

しかし、ある調査では、新築工事中の検査を実施した結果、82%以上の住宅で何らかの施工不良が発見されたという報告があります。

(さくら事務所「新築工事中ホームインスペクション調査」約100件、2019-2020年実施、2024年8月28日発表)

新築でさえこのような状況であるなら、経年劣化や改修履歴にばらつきがある中古住宅では、より慎重な確認が必要と考えるのが自然です。

建物検査を省くと起きやすい「3つのリスク」


リスク①:想定外の修繕費(数十万円〜数百万円規模)

購入後に雨漏り、シロアリ被害、配管の劣化などが発覚した場合、修繕には相応の費用がかかります。

実例として:

  • 壁紙の下で進行していた雨漏りで、内装の全面やり直し

  • 床下のシロアリ被害で、構造補強に200万円以上

  • 見えない場所の配管劣化で、全面交換が必要に

数万円の検査費用を惜しんだ結果、数百万円の負担が生じる——これは避けたい事態です。

リスク②:売主・仲介会社とのトラブル

契約締結後に重大な欠陥が判明しても、交渉のハードルは格段に上がります。

「そんな問題があるとは聞いていなかった」と感じても、契約前の情報確認が不十分だったとされれば、買主側の立場は弱くなります。

トラブルを避けるには、契約前の段階で情報を整理しておくことが重要です。

リスク③:将来の資産価値が想定より下がる

今後、中古住宅市場では「管理され、履歴が明確な物件」が評価される時代になっていきます。

建物の状態が不透明な物件は、将来売却する際に想定より低い評価を受ける可能性があります。

購入時から記録を残しておく前提で動くことが、長期的な資産価値の保全につながります。

後悔しないための「自衛策」3つ

自衛策①:買主が選んだ第三者に依頼する(最重要)

最も大切なのは、売主側が用意した検査結果を参考にしつつ、買主主導で独立した第三者に依頼するという考え方です。

具体的な進め方:

  1. 契約前に「検査実施」を条件として明記する

  2. 不動産会社の紹介ではなく、自分で選定した専門家に依頼する

  3. 検査費用(5〜10万円程度)は「将来の損失回避のための投資」と捉える

  4. 検査結果を確認してから、最終的な購入判断をする

この費用は、購入価格全体の0.1〜0.2%程度です。

この小さな先行投資が、後々の大きなリスクを回避する可能性を高めます。

自衛策②:「実績」と「中立性」で選ぶ

検査業者を選ぶ際の基準は、「価格の安さ」よりも「質と信頼性」です。

確認すべきポイント:

  • ✓ 建築士資格を保有している

  • ✓ 既存住宅調査の実績が豊富(年間100件以上が一つの目安)

  • ✓ 不動産会社と利害関係がない、完全に独立した立場

  • ✓ 詳細な写真付き報告書を作成している

  • ✓ 具体的な改善提案や追加調査のオプションがある

「説明責任を果たせるか」という視点で選ぶことをおすすめします。


自衛策③:リフォーム予定なら、検査を"戦略"として活用する

購入と同時にリフォームやリノベーションを予定している場合、インスペクションを戦略的に活用できます。

効果的なアプローチ:

  • 検査結果をリフォーム計画に直結させる

  • 見た目の改修より、性能向上(耐震・断熱)を優先する

  • リフォーム予算の10〜15%程度を性能向上に充てる

  • 解体のタイミングで、壁や床下の詳細確認を行う

表面的な美しさだけでなく、建物の本質的な性能を高めることが、長期的な満足度につながります。

先にチェック:3つ以上当てはまるなら「購入前の整理」が安心

次の項目のうち、3つ以上に該当する場合は、購入前に専門家への相談を検討されることをおすすめします。

□ 築年数が古い(築20年以上)
□ リフォームや修繕の履歴が不明
□ 構造の劣化や耐震性に不安がある
□ 法規制への適合状況が確認できていない
□ 購入後のリフォーム費用が読めない

早めの情報整理が、後々の安心につながります。

まとめ

中古住宅は"4割の時代"に入りました。

市場は拡大していますが、建物検査の実施率は約37.5%にとどまっているのが現状です。

だからこそ、次の3点を押さえることが大切です。

  1. 「検査済み」の中身を確認する

    • 誰が、何のために、どこまで実施したかを把握する

  2. 買主主導で第三者に依頼する

    • 独立した専門家の視点を入れる

  3. 記録を残して資産価値を守る

    • 検査報告書や修繕履歴は、将来の資産価値の証明になる

正しい知識と適切な対策があれば、後悔の確率は大きく下げられます。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

W&B companyでは、住まいに関する不安を「設計・施工・資金計画」の視点から整理するお手伝いをしています。

「中古物件の購入前チェック(契約前・内覧後)」も、ご相談の多いテーマです。

気になることがあれば、お気軽にお声がけください。

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