韓国名物
韓国の非常戒厳のニュースにはかなり驚いた。国内での政治対立はあるにしても今の時代に戒厳令とはものものしい。BBCでは「韓国の民主主義は常に安定(stable)しているが危険(dangerous)だ」と報道している。危険。ぎょうてんの目から見ると韓国ではデモが盛んに行われていて政治活動に熱心な印象を受ける。パク・クネ大統領退陣要求の時も日韓関係で揉めている時もデモが盛んだ。ぎょうてんの中ではもはや「韓国名物」の域にまで達していて韓国出張時には「ぜひとも見たい」と熱く胸をときめかす状態にまで至っていた。ちょうどパク・クネ大統領退陣要求のデモが盛んな時にソウルに行き、江南のかなり外れにあるホテルで夜ニュースを見ていると大規模デモの様子が報じられた。おぉ!
しかし、しかしである、ハングルが読めないため悔しいことに正確な位置情報がわからない。タクシーと地下鉄を乗り継いでまでソウル市内へはさすがにいけない。(一応上司に同行する出張中の身の上であった。) NHKのニュースを見ると「今夜ソウルで最大規模のデモ」と報じられているではないか。悔しさ極まりない。ショックのあまり倒れるかと思った。日本にいた同僚もすぐにぎょうてんの顔が浮かんだらしい。
翌日の朝食の席ではこちらが何も言わないうちから、皆「これまでで最大規模のデモ」をぎょうてんが生で見られなかったことを気の毒がってくれた。なまじソウル近郊にいたことが悔しさを倍増させたこともある。パリでエッフェル塔を、ロンドンでタワーオブブリッジを、シンガポールでマーライオンを見られないことに匹敵するほどのショックだった。
今年の総選挙では自民党が大敗して石破首相の進退がどうなるか注目されたけれど直接選挙の韓国や台湾では選挙がどのような様相になるのか見ていこう。
韓国の大統領選挙
韓国に関心を持つようになったのは1987年の大統領選挙がきっかけだった。
ニュースを見ていたら初の民主的な選挙とかで盧泰愚、金大中、金詠三候補の選挙運動が報道されていた。特に印象的だったのは金詠三氏がライバル陣営の本拠地に行った時の映像で、何万と集まった人々から石礫が文字通り雨あられのごとく同氏に投げつけられていたのである。護衛の人も盾を使って守ろうとしているがとても追いつかない様子を見て仰天してしまった。今の時代に?お隣の国で?あれほどの石をどこから集めた?国情を知らないぎょうてんは頭の中が「???」でいっぱいになってしまった。
(当時の映像はこちら)
台湾の総統選挙
こちらも過激になりやすい。なにしろ総統を選ぶ直接選挙自体始まったのが1996年。選挙もそれは一大イベントになって当然だろう。2000年の総統選挙では支持基盤の南部で陳水扁氏がパレードをすると沿道に詰めかけた人々から陳氏の愛称である「阿扁!阿扁!」の大合唱と共に大量の爆竹が炸裂し煙が立ち込めていた。繰り返すが“爆竹”である。最初に見た時にぎょうてんは同氏への嫌がらせかと勘違いしたけれど、報道によると歓迎の印とのことで文化の違いを深く感じたのであった。日本やアメリカだったらSPが騒いで大変なことになるだろうなーと思っているうちに陳さんは実際に狙撃されてしまった。で、当然ながら爆竹の音に紛れて最初は撃たれたことにご本人も気づかなかったらしい。
韓国はデモが政治に影響を与えられると国民が考え行動する国だ。時に「動くゴールポスト」「ゴールが見えない」(moving goalpost)ともいわれるような外交にもなっているけれど今回の戒厳令に抗する姿は頼もしかった。投石や爆竹が良いとはいわないけれど、デモに参加すると今や「特殊な人」扱いになる日本からすると羨ましい政治に参加する側面もそこにはある。
