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【小説】『ココロ走る』第11話 復活

2021年5月。

 新緑の若葉がまぶしい季節。
長かった右膝のリハビリが、ついに終わった。

思うように体が動かせなかった日々。
歩くことすら一苦労だったあの頃から、ようやく——走れるようになった。
山口先生から「もう走っても大丈夫ですよ」とお墨付きももらっている。
本当にお世話になった。感謝しかない。

 さあ、聖地巡礼。大阪城に戻ってきた。
久しぶりに、厚底のランニングシューズを履く。
久しぶりに、地面を蹴る。それだけで、最高だった。

走ってわかったこと——思った以上に、体力が落ちていた。
思わず、笑ってしまった。

「あれ、こんなにキツかったっけ?」

走ったのは、ほんの数百メートル。
でも、その一歩が、嬉しかった。
自分が——戻ってきた気がした。

———

 それからは、嬉しくて。
走れる日は、毎日走った。
早朝に起きて走り、それから会社へ。
夏の炎天下は熱中症が怖いので、近くの公共ジムへ行き、トレッドミルで走った。
逆に、筋トレはほとんどしない。

 そこには、爽やかなイケメントレーナーがいる。だれか見てもイケメンB'zの稲葉さんに少し似ている顔。
私がトレーニングするたびに書くカルテがあり、
「腹筋何回」「ランニング何分」など、記録をつけるようになっていた。

その稲葉さん似のトレーナーは、毎回そこにコメントを添えて返してくれる。
走る私を知っていて、いつもこう書いてくれるのだ。

『今日もナイスラン!』

たった一言。けれど、それが嬉しかった。
モチベーションは、ジムでもぐんと上がった。
「ウルトラソウル! ヘイ! 」と流れてきそうだ。

———

その、毎日の繰り返しが——
私を、少しずつ変えていった。

走るたびに、少しずつ距離も伸びていった。
いつの間にか、私の人生で一番体力がある状態になっていた。

「もう一度、何かに挑戦してもいいかもしれない」

そう思えるようになったのは、秋の風が心地よい9月のことだった。

そんな中、ランナー向けサイト「ランネット」で見つけたのが
『富田林エコマラソン』

5キロと10キロの部があった。
迷わず、10キロにエントリーした。

5キロさえ出たことがなかった。
それでも、不思議と走り切れる気がしていた。

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