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【小説】『ココロ走る』第三章:風を継ぐ者たち 編 第38話 淡路島へ、走る者たちの朝

「この場所に、私たちの物語があった。」
走る理由は、それぞれ違っていた。
それでも——タスキを渡したい誰かがいた。
笑って、泣いて、声を張って。ただ、がむしゃらに走った。
そのすべてが、KRTの絆になっていく。 

———

 2023年6月4日日曜日淡路島玉ねぎリレーマラソン開催だ!

朝、7時半集合。
途中いつものクリーニング屋の前で桐谷を車で拾って行く。

大きめのクーラーボックスを持って、桐谷が待っている。緊張のせいか少し表情が硬い。

「おはよう!」と明美が言うと、

「おはようございます。いよいよですね…」
と桐谷が言う。
私は黙って桐谷を見つめ、小さく頷いた。車に乗り、皆の元へ急ぐ。途中、おにぎりを買ってから会社に到着。

全員集合!走るメンバー7人に加えて、マネージャーを入れて8人きっちり時間に集合。この時点で私はすでに感動していた。1人も欠けることなく集まれた。風邪や怪我することなく、皆が来れた。結果より皆が今、ここにいることが嬉しい。

 陽介の気合いも乗ってるようだ。遊びの集合には陽介はよく遅れてくる。気合いが乗ってるせいか、陽介は皆より早くきてたようだ。
「おはようございます!遅いですよ。森山さん」
と言う陽介。
「お前にだけは言われたくないわ」と喉まで出かかったが、言いかけてやめる。よそう、水を刺すのは…。

「行きましょうか!」聡太はもう戦闘モードだ。
「おう!」と松田、水嶋が応じる。
それぞれ車に乗り込み2台で向かう。
聡太と水嶋、松田は私と明美の車。
桐谷、竹村は陽介の車だ。

淡路島まで、1時間半…。

車内は賑やかに、とはならない。
緊張、不安、期待…。さまざまな感情が交錯していた。
聡太は和歌山のマラソンから分かったことだが、走る前の集中が他のメンバーの比にならない。

松田、水嶋が私と他愛のない話をしてるのを他所に、ずっと前を向いている。一見不機嫌にも見える。それが、聡太の集中の仕方だ。

陽介を先頭に淡路島へ向かう。
明石海峡大橋を渡る。
天気は快晴、前日に雨が降ったとは思えない。
集合したときは、曇天で「逆に走りやすいな」と言っていたが、淡路島の神々が私たちを迎えてくれるように、晴れた!

明石海峡から見える瀬戸内海の水平線がもやがかかり、景色を幻想的に映し出す。光輝くマリンブルーの碧とスカイブルーの青が交じる。

マリンブルーの碧とスカイブルーの青の中を飛ぶ鳥

橋を渡り切ったら淡路島!決戦の地、淡路だ!

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