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【小説】『ココロ走る』第三章:風を継ぐ者たち 編 第39話 淡路島玉ねぎリレーマラソン 前編

 ———会場へ到着。
9時には到着していた。スタートが10時半なので、ちょうどいい。

まず、長丁場になる大会なので、会場内に自分たちの本部「KRT本部」を設営する必要がある。私が4、5年前に趣味にしていたキャンプ道具がここで生かされる。ターフを立てて、そこを8人の本部にした。後から分かったのだが、この設営場所が絶妙に良かった。

 会場はすでに盛り上がっている。
大会本部では盛り上げ役のMCの人がずっと喋っている。何をそんなに話すことがあるのだろう?ゼッケンをもらい、参加賞の玉ねぎをもらいに体育館に向かう。玉ねぎの大きさにビックリし、助っ人を呼んだ。1人5つずつ玉ねぎを参加賞としていただいた。さらに、水も1人一本ずつもらった。

さあ、いよいよ出番に向けて準備だ!

 準備体操がわりに、ラブレボリューションに合わせて、ダンスが始まった。

私が「桐谷、行かな!」と言うと、半ば嫌そうにしながら、1人で皆に混じって、踊り出す。桐谷はいつもそうだ、やらないのかな?と、いうそぶりで、大体……やる。

それを笑いながら見ていると、松田が、水嶋が、陽介が、聡太までが踊りに入って行った。
それを逃さず、竹村が動画に収める。

——若いって、こういうことか

と私と明美は笑顔で見守った。

本格的にアップする。号令もかけず、聡太を真似てやるのが最近のKRTの流儀だ。ストイックな聡太はいつもドリルという練習前の反復もやる。私は今日はキャンセルと思っていたが、チームらしくないので、私と聡太、陽介、松田はいつものようにやったが、聡太がやるランジとういのだけは遠慮した。

 さあ、スタートだ!
先頭のランナーが呼ばれる。
聡太が「行ってきます」と
KRT本部で静かに立ち上がった。
気合い十分だ。

全員がスタート地点で応援する。
演出でシャボン玉を飛ばしている。
これが風に乗り綺麗に舞うのだが、顔に当たって弾けると、割とベッタリ液体が付く。
結構ランナーは避けていた。

聡太は最前列は取れなかった。しかし、前から3番目くらいには見えている。
全員が祈る…
聡太なら1番で帰って来れる。

———カウントダウン

5—、4—、3—、2—、1—、スタート!

一斉に走り出した。聡太が飛び出した!
先頭集団の中へ入った。事前に一周だけ、走ったり、歩いたりできたのだが、以前下見したときより、アップダウンがあるように思えるコースだった。最初いきなり上りで、200メートルくらいは駆け上がらなければならない。そこから軽い上りがまた200メートル、一旦芝生に入り100メートル、芝生からコースに戻り軽い下り200メートル、1番苦しいところのコース横にKRT本部がある。これは偶然の賜物だ。

聡太が走る!来た!

KRT本部の横を駆け抜ける!1位だ!もちろん強者揃いの先頭ランナーなので、聡太の後ろで必死の形相で追いかけてくるランナーが5人くらいが1秒以内くらいにひしめいてる。抜きどころがない細い道だ。
「聡太ーーーー!がんばれーーー!」皆が大声で声援を送る。

聡太は一瞬コチラを見て、ニヤッと笑い、私たちたちの応援に応じた。

さあタスキを松田が受け取る!

聡太はいつもより肩で息をしながらも、本部に戻って、水を口にし、次に備える。

「お疲れ!1位おめでとう!」と私が言うと、
「アップダウンと、芝生が厄介ですね。あれなかったら、3分切ってました」
何と、ストイックなのだろうか。
1位よりタイムを悔しんでいる…。
「まあ、喜ぼう! 一旦休憩、休憩」

松田が来た!
「松田ーーーー! いけーーー! 」

松田も独特のフォーム。短距離で鍛えたバネを利用した走りで駆け抜けていった。

そして、水嶋が来た!

水嶋はオーバースピードのせいか、真っ直ぐ前だけ向いている。

「水嶋! ねばれ! がんばれ!! 」

さあ、私も準備する。

桐谷が、KRT本部を駆け抜けたところで、スタート地点へ向かった。

聡太が走ってきて、
「森山さん今、俺ら3位ですよ」
と、嬉しそうに目を輝かせて報告してきた。
ゼッケンに掲載されてるQRコード読み取ると、各チームの順位や、周回タイムが出る。
「頑張ってください! 表彰台乗れますよ」と言うと、皆の元へ走っていった。

———ここまでは出来すぎだ。

——KRT、息をのむ走りの連続。
仲間の絆が、少しずつ確かになっていく。


そして、物語はいよいよラストスパートへ——。

最終話・第40話は、7月20日(日)朝7時公開予定です。

最後まで、どうかお付き合いください。

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