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【小説】『ココロ走る』第7話“目的”という名の小さな光
走る日が、少しずつ増えてきた。
歩いたり、走ったりを繰り返しながら、大阪城の外周を1周。
3キロ。だいたい25分くらい。
毎朝、それをこなすようになっていた。
気がつけばもう3か月、あの重たかった体も、少しずつ軽くなってきた。
会社の仕事も、前より動けるようになっていた。
朝に走ってから、PCの前に座る。
新しい提案書を書いて、営業とミーティングをして、部下のチャットに返事をする。
「営業の数字、上がってますね」
誰かがそう言ったとき、
どこか心の奥が、静かに震えた。
歩く。走る。働く。
あの頃は全部、苦しさの中にあったものだったのに、今は少し、前を向けている。
そんなある日、
ふとスマホで「マラソン大会」と検索した。
何を思ったのか、自分でもよくわからない。
でも、やってみたかった。
そして見つけたのが、奈良県の三宅町で行われる2月末に行われる小さな大会。
5キロの部。
「これくらいの距離なら、出られるかもしれない」
誰かに勝ちたいわけじゃない。
ただ、ゴールを目指して走ってみたいと思った。
ひとつの“目的”を、自分に与えたかった。
そして、静かに決意した。
「出てみよう。三宅町のマラソン大会に」
私の走る意味が、変わりはじめていた。
