見えるようになるまで
毎朝、床を水拭きしている。
もう五年以上になる。
始まりは、とても軽いものだった。
YouTubeで見かけて、「なんだか良さそう」と思っただけ。
それまでは、掃除機をかけたら掃除は終わりだった。
雑巾を絞って、床を拭いていく。
拭き終わると、部屋の空気まできれいになったように感じる。
その感じが好きで、今日まで続いている。
毎日続けているから、床だけは以前よりきれいになった。
変わったのは、床だけではない。
昔なら目にとまらなかった小さな汚れに、気づくようになった。
「あ、ここに髪の毛が一本」
「あれ、ここに埃がたまってる」
汚れは以前からあったはず。
昔は、見えていなかったものが見えるようになった。
長い年月をかけて、「きれいって心地いい」という感覚が育っていったんだと思う。
変化は、大きな出来事としてやって来ないことも多い。
気づかないくらいゆっくり進んで、
振り返ったとき、育っていたものに出会う。
わたしにとって、床拭きは、そのひとつだ。
