日米の中央銀行を詳しく調べてみた
中央銀行の独立性
「中央銀行は政府に干渉されない独立性が大切」と言われている。
日本では、日本銀行法第3条第1項で、「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」と定められている。その理由は、短期的な政治的利益のためにインフレを引き起こさないようにするためだそうだ。
一方で、中央銀行の独立性を疑問視する声もある。
中銀に批判的な向きは、独立性を有する中銀が過度に秘密主義で納税者以上に銀行の利益を優先させると指摘し、よって公的な支配を強めるべきだと主張する。一方、中銀側は、インフレを抑制し完全雇用を目指し、金融安定を維持するためには政治的圧力から切り離される必要があると反論する。とはいっても、「我々を信じて欲しい」という言葉に納得できなくなっているのも事実だ。
トランプ大統領はFRBとバチバチやりあってるイメージがある。同記事にはこんなことも書かれている。
ドナルド・トランプ米大統領は大統領選に向けた選挙キャンペーンの中で、民主党候補のヒラリー・クリントン氏を支援するために低金利政策を維持していると、連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長を非難していた。連邦議会の共和党議員もFRBに批判的だ。
トランプはこの後、イエレン議長を退任に追い込み、パウエル議長を指名した。しかし、今度はパウエル議長とも揉めたようだ。
日銀の株は一般人でも買える?
ところで、各国の中央銀行の株主って誰なんだろうと調べたら、こういうことらしい。

日本銀行の株は、正確には「出資証券」と言い、政府が55%、民間が45%を保有している。なお、日銀の出資証券は証券コード「8301」でプライム市場に上場しており民間人でも購入可能。

ただし、民間人がどれだけ出資証券を持っていても配当(5%)がもらえるだけで、金融政策や総裁人事には関与できないことになっている。
日銀の人事
日銀の総裁人事は政府が提案し、衆議院と参議院の両方で可決されることで決まる。
そして、日本の金融政策は、政策委員会(日銀の総裁、副総裁2名、審議委員6名の計9名)による金融政策決定会合で決まるが、
政策委員会の人事も、政府が提案し、衆議院と参議院の同意を得て決まる。メンバーは日銀のサイトで公表されている。
メンバーの経歴を見ると、東大卒が多い(東大卒7名、京大卒1名、神戸大卒1名)
財務省も東大法学部卒が多いというし、日本の財布は東大卒が握っていると言っても過言ではないかもしれない。
日銀の出資証券を持っているのは誰?
2025年2月18日の財務金融委員会で、立憲民主党の原口一博議員が日本銀行の中島健至理事に対して「政府以外で日銀の出資証券を持っているのは誰か?」という質問をしていた。
原口「確認いたしますが、日銀の政府保有株の割合は55%ですね。残りは誰が持っていますか。」
中島「お答え申し上げます。出資者の氏名等に関しましては、個々の出資者の投資判断にも関わることでございますので、開示につきましては適切というふうには考えてございません。以上でございます。」
原口「では、聞き方を変えます。それは日本人ですよね。」
中島「お答えいたします。繰り返しになりますけれども、個々の投資者の出資判断、投資判断でございますので、こちらについては適切ではないというふうに考えております。」
原口「日本人であるかそうでないかも答えられないと今答えました。極めて遺憾だ。そういうことを長くやっているから、ブラックボックスにはいろいろなものがたまっていきます。何で投資判断に影響を与えるんですか。もしそれが外国人だったらどうするんですか。」
民間出資者には議決権がないとはいえ、隠されると気になっちゃうのが人間の性。
上場企業の大株主は公開されるのに、日銀の株主の公開はダメな理由ってなんだろう。
参考までに、トヨタの大株主一覧↓

アメリカの連邦準備制度はちょっと複雑
一方、アメリカの中央銀行制度は連邦準備制度(FRS)と呼ばれ、以下のような組織構成になっている。

FRB自体は銀行ではなく理事会である。理事は大統領が指名し、上院の承認を経て決定される。
FRB:連邦準備銀行を監督。業務・報告・監査を通じて制度全体を統制
連邦準備銀行(連銀):地域経済の情報をFRBに提供するとともに、実際の金融操作を担う
FOMC:政策金利や量的緩和・引き締めなどの金融政策を決定
FOMCのメンバーは、FRB理事7名、ニューヨーク連邦準備銀行総裁1名、地区の連邦準備銀行総裁4名(1年ごとに輪番制で交代)となっている。
各地区の連邦準備銀行は民間銀行が株主で、FRBの人事は政府が決めるという官民混合の分権型制度である。
連邦準備銀行の株主
連邦準備銀行の株主は民間であるが、公開されていない。
しかし、過去に「Institutional Investor」という雑誌がニューヨーク連銀の株主についての記事を出したことがある。(※Institutional Investorは1967年にアメリカで設立されたプロ投資家向けのニュースメディア)
この記事によれば、2018年末時点でのニューヨーク連銀の主な株主は以下。シティバンクとJPモルガンで全体の約4分の3以上を占めている。

また、この表には載せていないが、みずほ銀行が81万9344株を保有していたそうだ。
これら民間銀行における連邦準備銀行の株式の保有額は「自身の資本金と剰余金の6%に相当する額」と連邦準備法(Federal Reserve Act)で定められている。
つまりこの場合、シティバンクやJPモルガンにとってニューヨーク連銀の株式は保有数が自由に決められない、加盟するうえでの義務的な出資金である。なお、この株式は配当があるものの、売買や譲渡が禁止されている。
連邦準備銀行の取締役
連邦準備銀行の取締役は次のように選出される。

取締役はClassA、B、Cに分かれている。
Class A:加盟銀行の役員(銀行業界の代表)
Class B:加盟銀行の役員ではない者(産業・商業・農業の代表)
Class C:銀行業と無関係の者(公共の利益の代表)
加盟銀行(連銀の株を持っている銀行)を資本規模で大規模・中規模・小規模に分け、それぞれのグループがClass A、Bの取締役を1名ずつ選び、FRBがClass Cの取締役を3名選ぶ。
連邦準備銀行の総裁

連銀の総裁は、Class Bと Class Cの取締役6名で選定と推薦を行い、FRBが承認する。総裁は取締役会の外部から選定されることが一般的で、総裁と取締役の兼任は禁止されている。
Class Aを除外するのは、特定の銀行の利害関係を回避するためである。
連邦準備銀行の場所
地図で連銀のある州に赤丸をつけたら、結構東側に偏っていた。
これは、連邦準備制度が創設された1913年に、金融・経済が北東部・中西部に集中していたためだそうだ。

