半年間の遠回りが実を結んだ日
2026年7月24日
踏み出せなかった演習編への一歩
昨年の秋から約半年間、東進の「数学の真髄」の理論編(Part1・Part2・理系編)に向き合ってきた息子ですが、そこから次の段階である演習編へ進むまでには、長い足踏みの期間がありました。
理論編を一通り終えたことで、むしろ自分自身の基礎の浅さや知識の抜けが浮き彫りになり、本人の中に強い危機感が生まれたからです。そのまま演習に進まず、数IAが範囲のPart1や数IIBが範囲のPart2を何度も見直し、同時に「青チャート」を開いては基礎の確認を大急ぎでやり直していました。
当時の様子を見ていると、日々の勉強時間は膨大にかかっているにもかかわらず、教材の進度という目に見える形では前進していませんでした。こんなに時間をかけて本当に間に合うのか、単に難度の高い演習から逃げているだけなのではないか、という焦りや不安が、親としてありました。
まだ自分には演習編は早いのではないか、歯が立たなかったらどうしよう、という心理的な壁が、息子の一歩を重くしていたのだと思います。
覚悟を決めて臨んだ初回講義
しかし、先日の指導担任との面談をきっかけに、状況が変わりました。8月末までに演習編の全20コマを終わらせる、という明確な締め切りを設定されたことで、息子もいよいよ演習編に取り組む覚悟を決めたのです。
「数学の真髄・演習編」は、論証、解析数学、図形問題という京大・最難関レベルで差がつく3分野で構成され、20コマの映像授業に加えて確認テストが用意されています。初見問題の抽象度の高さは理論編の比ではなく、果たして今の息子がついていけるのか心配していました。
ところが、実際に取り組んでみると、拍子抜けするほどの変化が起きました。初日の「論証編」に入った息子は、一切つっかえることなくすんなりと講義を吸収し、難易度の高い1回目の授業と確認テストまでを、わずか1日で終えて帰ってきたのです。
帰りの車内での会話と息子の言葉
夜、塾からの帰りの車内で、息子の表情はどこか晴れやかでした。「どうだった?」と尋ねると、「意外にできたよ」と答えてくれました。
挑戦する前は難しく思えていた問題が、実際に手を動かしてみると解き進められた。思っていたよりも自分はやれるという手応えが、表情からも伝わってきました。
私は、「理論編をやっていなかったら、今日の問題はどうだった?」と問いかけてみました。すると息子は、「もちろんだよ。数学全般の理論がなかったら、演習編の解法なんて思いつくわけがないよ」と、その一言を聞いて深く納得しました。
京大数学に必要なのは知識ではなく
京大の数学は、公式の丸暗記や解法のパターンだけで解けるようなものではありません。初見の問題に対して、ゼロから自分で構築していく必要があります。
息子が取り組んできた理論編は、解法を暗記するためのものではなく、まさにその論理の組み立て方を構築する作業だったのだと、改めて気づかされました。
基礎不足を感じて立ち止まり、青チャートや理論編の復讐を繰り返していたあの半年間。当時は演習編に入れない遠回りに見え、息子にとってつらく苦しい時期でした。しかし、目に見えない地盤を固め続けていたからこそ、演習編という難問に対応できたのだと思います。
あの停滞していたように見えた時期は、逃げていたのではなく、高く跳ぶために深くかがんでいた時期だったのです。
自分で実感したということの決定的な意味
今回、良かったのは講義を1コマ進められたという進捗そのものよりも、息子自身があの半年間は無駄ではなかった、と実感できたことです。
親や指導担任から理論編が大事だ、基礎が重要だ、とどれだけ言葉で説得されても、それは他人の意見に過ぎません。しかし、自分で演習問題を解き納得したことで、教えられた知識が力となりました。
夏へ向けて
もちろん、これで安心できるわけではありません。今回は全20コマのうちの最初の1コマ、それも論証編の始まりに過ぎません。これから控えている解析数学や図形問題では、さらに複雑な問題が待ち受けており、壁にぶつかる日も来るでしょう。
それでも、土台さえ正しく築いていれば必ず解ける、という体験を得られたことは、今後の大きな糧になります。
あのつらく長い半年間を乗り越え、あきらめずに土台を作り上げた息子の粘り強さには感心しています。
