AI時代の八正道を考える〜正見〜
八正道とは?
皆さんは、「八正道」という言葉をご存知でしょうか。
お釈迦様が説かれた、悟りに至るための8つの正しい生き方・修行の道筋のことです。「正しい見方をする」「正しい言葉を使う」「正しい生活を送る」など、日常のあらゆる場面に関わる教えが含まれています。
仏教の言葉ではありますが、現代の私たちの生活にも、驚くほど自然に当てはめられる考え方だと思っています。
今回はその八正道の最初の項目、「正見(しょうけん)」について、AI時代という視点から少し考えてみたいと思います。
AIで正見をする事は出来る?
「正見」とは、物事を正しく、ありのままに見る事です。
「正見」とは、物事を正しく、ありのままに見ること。余分な感情や思い込みを挟まず、ただそのままを見つめる姿勢のことです。
では、AIを使ってこの「正見」を実践することはできるのでしょうか?
少し考えてみたのですが、正直なところ、それは難しいという結論に至りました。
理由はシンプルで、AIに何かを入力する時点で、すでに「私」や「あなた」という人間の主観が必ず介在してしまうからです。出来事をどう切り取るか、どんな言葉で表現するか、何を伝えて何を省くか。その全てに、書いた人の色がにじみ出ます。純粋な「ありのまま」を入力することは、そもそも人間には難しい。
ただ、だからといってAIが正見に役立たないかというと、そんなことはありません。
AIは「正見の補助」をすることができます。自分が感じていることを言葉にして入力し、その中に潜んでいるバイアスを指摘してもらったり、自分では思いつかなかった別の見方を提示してもらったり。完全な正見には届かなくても、正見に近づくための道具として、AIはとても有効に使えると思っています。
AI時代の「正見」について考える
ここまで、AIで正見を補助する方法を考えてきましたが、そもそも「正見」という姿勢そのものが、AI時代にこそ強く求められているのではないかと感じています。
インターネット上には真偽不明の情報が溢れ、AIは自信満々に間違いを答えることがあります。いわゆるハルシネーションです。そして、AIはときに私たちの気持ちに寄り添いすぎて、間違っていても「そうですね」と肯定してしまうことがある。使い方を誤ると、正見とは真逆の方向へ、気持ちよく連れて行かれてしまうリスクがあります。
だからこそ、物事をありのままに見ようとする「正見」の姿勢が、AI時代の情報リテラシーの核心にあるのだと思っています。
お釈迦様が2500年前に説かれた言葉が、まさか生成AIの時代にこれほどフィットするとは、当時は誰も想像していなかったでしょう。でも、人間が情報や感情に振り回されやすいという本質は、時代が変わっても変わらないのかもしれません。
以下のプロンプトを使いながら、「この表現にはどんな心理学的効果があるんだろう」「自分の主観を、もう少し客観的に見るとどうなるだろう」と問いかけてみてください。それがAI時代の、小さな正見の実践になると思っています。
正見補助実践プロンプト
【正見補助実践プロンプト/バイアスを仕分ける】
以下の状況・気持ちについて、3つの視点から整理してください。
【状況・気持ち】
(ここに、あなたが感じていることや起きた出来事を書く)
①バイアスの仕分け
この文章に含まれている可能性のある認知の偏り(思い込み・感情的解釈・決めつけなど)を、具体的に指摘してください。
②別の見方の提示
同じ状況を、全く違う立場や視点から見るとどう解釈できるか、3パターン示してください。
③事実と解釈の分離
この文章の中で「客観的な事実」と「私の解釈・感情」を分けて整理してください。
【正見補助実践プロンプト/第三者の目を借りる】
以下の状況について、私が信頼している
冷静な第三者(友人・メンター・カウンセラー)
の視点から見てください。
【状況】
(ここに書く)
①この状況を外から見たとき、
当事者が見落としている可能性が高い点
②当事者の感情や判断を尊重しつつ、
より客観的に表現し直すとどうなるか
③もし友人がこの相談を持ちかけてきたら、
あなたはどんな言葉をかけますか?
AI時代の「正見」実践プロンプト
【AI時代の正見実践プロンプト/自分の認知を疑う】
以下の私の考えや判断について、認知行動療法の観点から
歪みがないか確認してください。
【チェックしたい考え・判断】
(ここに書く)
①該当する認知の歪みのパターン名と、その説明
②「より現実に近い見方」への言い換え
③この考えが事実だと仮定した場合と、
歪みだった場合で、何が変わるか
【AI時代の正見実践プロンプト/AIの回答を疑う】
以下のAIの回答について、私が鵜呑みにしていないか
確認するための問いを出してください。
【AIの回答】
(ここに貼り付ける)
①この回答の中で、具体的な数字・固有名詞・
引用元が含まれている箇所を全て抜き出す
②それぞれについて「本当に存在するか?」
「検索で確認できるか?」と問いかける
③回答全体として、断定的すぎる表現や
曖昧な根拠がないか指摘する
【AI時代の正見実践プロンプト/言葉の裏を読む】
以下の文章・表現について、含まれている
心理学的効果や影響を分析してください。
【分析したい文章・表現】
(ここに書く)
①この表現に含まれている心理学的効果や
技法の名前と、その説明
②読んだ人がどんな感情・行動・判断を
しやすくなるか
③この表現がもし「意図的」に使われていた
場合、何を誘導しようとしていると考えられるか
