「今の若い人たちにも、リストがどのように『ラ・カンパネラ』を弾いたか聴かせてあげたかった。彼は決して現代のピアニストのように、ただ速さや技術を見せつけるようには弾かなかった。どれほど大らかで、豊かな包容力を持ってオクターブのパッセージに挑んでいたか……。 そして、あの『鐘の音』をいかに洗練された、美しい響きで鳴らしていたことか」 ザウアー
Liszt: Concertos#1 & #2 - Emil Von Sauer -Pianist/ Felix Weingartner Conducting
フランツ・リストの実際の演奏とはどのようなものだったのだろうか? 私が昔から一番気になる音楽のことの一つがこれでした。いつの間にかそんな気持ちも忘れていましたがこの度、ザウアーの演奏を聴きながら、あまりの素晴らしさにそのことを思い出し調べてみました。
正直に言うとリストに関しては近代のピアニストにこの演奏を超える人はいないと思います。ザウアーの演奏は重厚で格調の高い真にロマン主義の極致と思われるものです。
リストが目指していた音楽とその心をここまで表現できる人は今はいないからです。誰もリストを知らないから当然だと思います。
ザウアーの演奏は私の思い描いていたリストの実像に極めて近いように感じられます。
18世紀から19世紀にかけて爛熟の極みに達したロマン派の音楽は普通というか一般の感覚とはかなり違うものでしょう。
というのは1960年代に読んでいたレコード芸術のような俗っぽい音楽誌に登場するような批評家はほとんどリストをただのテクニックだけのいかさまな音楽家であることを声高に叫ぶのが常だったからです。信じられないかもしれませんが事実です。彼らのバカさ加減が嫌でこの雑誌を見ることを止めました。新譜に関してはLP手帳というのがいくらかましだったのでこれだけを読んでいました。レコード芸術がどれ程レベルが低く愚かだったか、今の人が読めばひっくり返るでしょう。
ピアノのザウアーと指揮はワインガルトナー、という素晴らしいコンビです。
ちなみにワインガルトナーもリストの弟子でした。
以下、リストの演奏と実像についてAIが調べたものをまとめました。
パリ音楽院管弦楽団。エミール・フォン・ザウアーは以下のリストの楽曲も演奏しています。
演奏会用練習曲 第2番「小人の踊り」
超絶技巧練習曲 第9番「回想」
慰め(コンソレーション)第3番 変ニ長調
忘れられたワルツ 第1番
⚠️
警告! SPレコード(78回転盤)からの無編集ダイレクト再生のため、盤面の切り替え(サイドブレイク)が含まれます! (SPレコード 17面分)
レーン・オーディオ・リサーチ(Lane Audio Research) デジタル音声処理:ドナルド・H・ホームズ(Donald H. Holmes)- 2016年
この音源は、クラシック音楽の歴史において極めて高い歴史的価値を持つ伝説的な名盤です。
Liszt: Concertos #1 & #2 - Emil Von Sauer / Felix Weingartner に関する詳細な情報は以下の通りです。
📋 基本情報
ピアノ: エミール・フォン・ザウアー(Emil von Sauer)
指揮: フェリックス・ワインガルトナー(Felix Weingartner)
管弦楽: パリ音楽院管弦楽団(Orchestre de la Société des Concerts du Conservatoire)
録音時期: 1938年12月
オリジナル・レーベル: 英Columbia(SPレコード、78 RPM)
✨ この音源の歴史的価値と聴きどころ
リストの「直弟子」二人による唯一無二の共演
ピアニストのザウアーと、指揮者のワインガルトナーは、どちらも作曲家フランツ・リストに直接師事した直弟子(門下生)です。
リストの音楽性を誰よりも深く、直接受け継いだ二人が晩年(ザウアー76歳、ワインガルトナー75歳頃)に一堂に会し、師の代表作であるピアノ協奏曲第1番・第2番を録音したという点で、まさに「リスト直系の伝統」をそのまま現代に伝える奇跡的なドキュメントとなっています。独自の解釈とスタイル
現代の演奏に多く見られる、爆発的なスピードや超絶技巧を前面に押し出したアプローチとは一線を画します。
ザウアーの演奏は、リスト直伝の美しく気品に満ちたタッチ(弱音の美しさ)や、極めて雄大で威厳のある表現(Maestoso)が特徴です。
ワインガルトナーの手堅く格調高い指揮と相まって、単なる派手なヴィルトゥオーゾ作品としてではなく、ロマン派音楽としての深い叙情性と構築美が描き出されています。
カップリング(動画概要欄の補足)
当時のSPレコードの録音・発売構成から、この協奏曲のセッションの際、ザウアーはリストの『演奏会用練習曲第2番「小人の踊り」』や『超絶技巧練習曲第9番「回想」』、『コンソレーション(慰め)第3番』などのソロ曲も同時に録音しており、このYouTube動画(または当時のアルバム)にもそれらの貴重なソロ名演が一緒に収録されています。
80年以上前のモノラル録音(SP復刻)ではありますが、ノイズの奥から響く「19世紀の地続きのロマンティシズム」を深く堪能できる至高の音源です。
実際にフランツ・リストの演奏を目の当たりにし、彼から直接教えを受けた直弟子(門下生)たちは、リストの演奏スタイルやその人物像について非常に興味深い言葉を残しています。
この音源の主役であるピアニストのエミール・フォン・ザウアーの言葉を中心に、当時の弟子たちが語った「本物のリストの演奏」の姿をいくつかご紹介します。
🎹 エミール・フォン・ザウアーが語るリスト
現代では、リストの曲というと「ものすごいスピードと爆音で鍵盤を叩きつける超絶技巧」というイメージを持たれがちですが、ザウアーはそれを真っ向から否定するような言葉を残しています。
リストの超絶技巧練習曲や『ラ・カンパネラ』の演奏について、ザウアーは後年このように語りました。
「今の若い人たちにも、リストがどのように『ラ・カンパネラ』を弾いたか聴かせてあげたかった。彼は決して現代のピアニストのように、ただ速さや技術を見せつけるようには弾かなかった。どれほど大らかで、豊かな包容力を持ってオクターブのパッセージに挑んでいたか……。そして、あの『鐘の音』をいかに洗練された、美しい響きで鳴らしていたことか」
また、ザウアーが初めてリストに会い、彼の前で『ハンガリー狂詩曲第12番』を弾いた際、リストはその演奏を大いに気に入り、ザウアーの額にキスをして彼を門下として迎え入れたという、ロマン派時代ならではの温かい逸話も残されています。ザウアーにとってリストは、ただの技術の師ではなく、「気品と美を教える絶対的な存在」でした。
🎻 フェリックス・ワインガルトナーが語るリスト
この音源で指揮を務めているワインガルトナーは、最初はピアニスト・作曲家としてリストにアプローチし、後にリストの勧めもあって指揮者の道へと進みました。彼はリストの「音楽に対する姿勢」についてこう回想しています。
「リストは、楽譜に書かれた音符をただ正確に再現するだけの男ではなかった。彼の指が鍵盤に触れた瞬間、そこには即興的な生命が宿り、まるで音楽がその場で新しく生まれ変わるようだった」
ワインガルトナーは、リストが持つ「オーケストラのような多彩な音色をピアノ一台から引き出す能力」と、どんなに複雑な音楽も一瞬で本質を見抜く直感力に深く心酔していました。
📝 他の直弟子たちが語る共通の「リスト像」
ザウアーやワインガルトナー以外の同門の弟子たち(アルトゥーロ・フリードハイムやモcomponents・ローゼンタールなど)の記録を合わせると、本物のリストの演奏には以下のような特徴があったとされています。
「強音(フォルテ)がうるさくない」
力任せにピアノを叩くのではなく、楽器全体を深く共鳴させるため、どれほど大音量であっても耳に心地よく、決して金属的な汚い音にならなかった。
「魔法のような弱音(ピアニッシモ)」
リストの弾くきらびやかな高音のパッセージは、まるで「真珠がベルベットの上を転がるようだった」「空気中でクリスタルが震えているようだった」と形容されています。
「詩情と気品」
何より、技術は「音楽の詩的な美しさ」を表現するための手段に過ぎず、リスト本人の演奏は非常に貴族的でエレガントだったと言われています。
🎧 だからこそ、この音源が面白い
こうした証言を踏まえてもう一度この1938年の音源を聴くと、ザウアーの演奏が「現代の一般的なリスト演奏よりも、どこかゆったりとしていて、一音一音の響きや歌うような叙情性を大切にしている」ことに気づくはずです。
彼らが語った「師・リストの本当の姿」を、自らの指とタクトで証明しようとしたのが、まさにこの名盤だと言えます。
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フランツ・リスト(Franz Liszt, 1811–1886)は、稀代のピアニスト、作曲家として知られていますが、実は非常に熱心な文筆家・評論家でもありました。彼は生涯を通じて、音楽論、芸術家の社会的地位向上、同時代の作曲家評など、多くの論文、エッセイ、書籍を残しています。
リストが残した主な文献や著作は以下の通りです。
主な単著・書籍
『ショパンの生涯』 (F. Chopin, 1852年)
親交の深かったフレデリック・ショパンが1849年に若くして亡くなった後、彼への追悼と敬意を込めて執筆された伝記・芸術論です。ショパンの音楽の革新性や、ポロネーズやマズルカに込められたポーランドの民族精神を熱く語っています。
『ハンガリーのジプシーとその音楽』 (Des Bohémiens et de leur musique en Hongrie, 1859年)
リストが魅了されていたロマ(ジプシー)の音楽とハンガリー民族音楽の関係性について論じた本です。当時のハンガリー国内の知識人からは「ロマの音楽こそが真のハンガリー音楽であるかのように扱っている」と大論争を巻き起こしました。
定期刊行物への寄稿・エッセイ(音楽評論)
リストは、1830年代〜1840年代のヴィルトゥオーゾ(旅する音楽家)時代、フランスの『レヴュ・エ・ガゼット・ミュジカル』誌などに多くの時評や論文を寄稿しました。
「芸術家の社会的地位について」 (De la situation des artistes, 1835年)
当時、社会的な地位がまだ低かった音楽家や芸術家の権利、教育、社会的役割の向上を強く訴えた、初期の重要なマニフェスト的論文です。
「旅の学士の書簡」 (Lettres d'un bachelier ès musique, 1835–1840年)
ヨーロッパ各地を旅しながら、音楽、美術、文学、哲学、自然について綴ったエッセイ風の書簡形式の論文集です。当時の恋人マリー・ダグー伯爵夫人との共著的な側面もあったとされています。
同時代の作曲家・演奏家評
「パガニーニの死に寄せて」:ヴァイオリンの鬼才パガニーニの死後、彼の超絶技巧とその芸術的功罪、芸術家の使命について論じたもの。
ロベルト・シューマンやジャコモ・マイアベーアへの論評。
「リヒャルト・ワーグナーの『ローエングリン』と『タンホイザー』」:後に義理の息子となるワーグナーの才能をいち早く見抜き、彼の「楽劇(楽劇論)」を広く世に紹介・擁護しました。
膨大な書簡(手紙)
リストは、当時の文化人、王侯貴族、愛人、弟子たちと信じられないほど膨大な量の手紙を交わしており、これらは19世紀ロマン派音楽史の一級資料となっています。
ワーグナーとの往復書簡
マリー・ダグー伯爵夫人やカロリーヌ・ヴィトゲンシュタイン公爵夫人との書簡
同時代の音楽家(シューマン、ベルリオーズ、ショパンなど)への手紙
💡 文筆活動における注意点
リストの文章(特に後期の書籍や論文)の多くは、彼の知的なパートナーであったマリー・ダグー伯爵夫人や、後半生を共にしたカロリーヌ・ヴィトゲンシュタイン公爵夫人が代筆、あるいは共同執筆・編集に深く関わっていたことが現代の研究で分かっています。特に『ハンガリーのジプシーとその音楽』の改訂版に見られる一部の過激な表現などは、カロリーヌによる加筆の影響が強いとされています。
これらの著作は、リストが単なる「指の動くピアニスト」ではなく、文学や宗教、哲学に深く傾倒した思想家・知識人としての顔を持っていたことを証明する貴重な文献となっています。
リストが残した実際の手紙(往復書簡)は、現代でも書籍やデジタルアーカイブ(インターネット)を通じて実際に読むことができます。
リストの手紙は、19世紀の音楽界・文化界の人間関係や彼の思想を知る上で非常に重要な資料であるため、古くから研究・出版が進められてきました。
代表的な閲覧・入手方法をいくつかご紹介します。
1. 日本語の書籍で読む(翻訳本)
外国語(主にフランス語やドイツ語)で書かれた膨大な手紙の一部は、日本語に翻訳されて出版されています。まずは手軽に日本語で読みたい場合におすすめです。
『ワーグナー/リスト往復書簡集』(全2巻、岩波文庫など)
内容: リストの文筆資料の中で最も有名で、ドラマチックな往復書簡です。若きワーグナーの才能を信じて経済的・精神的に支え続けたリストと、彼を頼り続けたワーグナーの熱いやり取り(時に愛憎交じる関係)が生々しく描かれています。
『人間フランツ・リスト 手紙による自伝』(または類似の書簡選集)
内容: 恋人マリー・ダグーやカロリーヌ夫人、娘のコジマ(後にワーグナーの妻になる)、弟子たちへ宛てた手紙を抜粋・編集したものです。華やかなスターとしての表の顔と、孤独や宗教的苦悩に満ちた裏の顔(本音)を垣間見ることができます。
2. インターネットのデジタルアーカイブで読む(原文・無料)
もしフランス語やドイツ語の原文、あるいは英語訳のままでも良ければ、世界中の図書館やプロジェクトがリストの手紙をデジタル化して無料公開しています。
国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP)
音楽専門の巨大デジタル図書館です。楽譜だけでなく、1890年代に出版された『リスト書簡集(Briefe von Franz Liszt)』全巻のパブリックドメイン(著作権切れ)スキャンデータがPDFで公開されています。
グーテンベルク・プロジェクト(Project Gutenberg)
著作権の切れた名著をテキスト化しているサイトです。英語に翻訳された『Correspondence of Wagner and Liszt(ワーグナーとリストの往復書簡)』などがテキストや電子書籍データとして無料で読めます。
ワイマール・クラシック財団(Klassik Stiftung Weimar)などの公式サイト
リストが後半生を過ごしたドイツのワイマールには「リスト・ハウス」があり、隣接するゲーテ・シラーアーカイブ等に膨大な自筆原稿や手紙が保管されています。これらの機関のデジタルコレクション(Digitale Sammlungen)で、時折リストの実際の直筆手紙のスキャン画像を見ることも可能です。
🔍 読む際のアドバイス
リストの手紙は「フランス語」で書かれているものが非常に多いです。彼はハンガリー出身ですが、若い頃にパリで育ち、当時のヨーロッパ上流階級の共通語がフランス語だったためです(後半生、ドイツのワイマールにいた時代はドイツ語の手紙も増えます)。
もしデジタルアーカイブで原文(テキスト)を見つけたら、DeepLやGoogle翻訳などの翻訳ツールに通すだけでも、当時のリストの熱量や、彼がどんな言葉を使って周囲の人々と接していたかを十分に体感することができますよ。
まずは物語としても面白い『ワーグナーとの往復書簡』あたりから触れてみるのが一番の近道でおすすめです。
