制汗スプレー
汗が涌き出る。汗っかきの私。
1日中座ってじっとしていたら……小さな水溜まりが出きるかも。
一週間じっとしていたら……プールくらいになってるかも。
この季節の終わりまでじっとしていたら……
縁側に座り、庭の池を見つめながら考えた。
「ねぇ、お母さん?僕がずっとここに座っていたら、プールとかできるかな?」
妻はいつも笑顔だ。こんな私の言葉にでも、ちゃんと、返答してくれる。
「汗臭いプールは誰もはいらないからねぇ。お父さんも嫌でしょ?汗のプールは」
そう言いながら、私の横に冷たい炭酸水と制汗スプレーを置いていった。
その炭酸水を一口喉に通したあと、制汗スプレーを見つめる私に……
「それを振っても、汗っかきは治らないけど、ベタベタはしないから」
私が匂いがつくのを嫌いなのも知ってて無香料の物を置いてくれた。
「このスプレーの液体みたいな汗ならいいのにな……」
「いいわけないじゃない!そんな汗でたら、今の季節を味わえないでしょ?」
珍しく妻が勢いよく話しかけてきた。
今日の夜、妻のためにビールと枝豆を買って来よう。たとえ汗で身体を濡らしても。
私は、制汗スプレーを強く握り、今日の成すべき誓いをたてた。

