夏祭りの提灯
先週末、地元の夏祭りがあった。
少し前から、近くの商店街のスピーカーからはお囃子が流れ、お祭りの提灯がアーケードの屋根の先に吊るされていた。
「ああ、今年もそんな時期なんだな」
そう思いながら通りを行くたびに、初夏の訪れを感じていた。
当日の午前中。
太鼓や笛の音、お神輿を担ぐ威勢のいい掛け声が、家まで聞こえてきた。
そのにぎやかさに誘われて、家事を済ませたあと、買い物がてらふらりと出かけることにした。
娘たちは塾。夫は仕事。
受験を控えた娘のことや、少し前に指を怪我した夫のことも気になっていたので、お守りでも買おうと思った。
バス通りの角を曲がると、両側には屋台がずらりと並び、いつも見慣れた通りが別の場所のように見えた。
イカ焼きの香りが漂う。
通りの隅では、かき氷を子どもに食べさせるお父さん。
野球帰りらしいユニフォーム姿の小学生たち。
ゆらゆら揺れるひよこのカチューシャをつけた女の子たち。
みんな、それぞれのお祭りを楽しんでいた。
ふと、その女の子たちの集団に目が留まった。
うちの娘と同じくらいの年齢だろうか。
浴衣姿の子たちが先を歩き、その後ろを普段着の子たちがついていく。
その様子を見ていたら、なぜだか胸がざわついた。
後ろを歩く子が、娘と重なって見えたのだ。
娘は中学へ行けない時期があり、高校進学を機に一貫校から通信制高校への進学を決めた。
あの頃のことや、これまでのいろいろな出来事が頭をよぎる。
胸がきゅっとなりながら、私はその子たちの前を通り過ぎた。
もちろん、その子たちはみんな仲良しで、とても楽しく過ごしていたのかもしれない。
私が勝手にそう感じただけなのかもしれない。
誰かの背中に、自分の心配を重ねてしまっただけかもしれない。
神社で手を合わせ、夫と娘たちのお守りを買った。
いろんなことがあっても。
遠回りしたとしても。
みんなが、たくさん笑っていられますように。
帰り道、商店街にはまだお囃子が流れていた。
提灯の灯りが、夕暮れの通りにぼんやりと浮かんでいた。
夏が来たんだな、と思った。
