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静かな朝の祈り #シロクマ文芸部

祈るように、静かに夜が明けるのを待った。

都市の喧騒から遠く離れたこの場所では、時間の流れまでもがゆっくりとしている。古い教会の鐘が、まだ薄暗い空に響き渡る。その音は、まるで凍える世界をそっと温めるかのように優しかった。

窓の外を見れば、朝露に濡れた庭に、いくつもの小さな花がひっそりと咲いている。どれも名前を知らない花だった。それでも、一つひとつが懸命に命を燃やしているように見えた。その光景に、胸の奥がじんわりと温かくなる。

隣の部屋から、かすかな寝息が聞こえる。まだ夢の中にいる。大切な人の息吹だ。その静かな呼吸をただ感じているだけで、満ち足りた気持ちになれた。幸せとは、きっとこういう瞬間をそっと集めていくことなのだろう。

私はゆっくりと立ち上がり、冷たい床をそっと歩く。暖炉の火がまだほんのりと温かい。その残火を見つめていると、過去も未来も関係なく、ただ「今」という一瞬だけが、すべてを包み込んでいるような気がした。

祈りとは、特別な言葉を捧げることだけじゃない。ただ誰かを想い、静かに朝を迎え、目の前の小さな命にそっと心を寄せること。そんなささやかな営みそのものが、きっと一つの祈りなのだ。

やがて、空が淡い桃色に染まり始めた。新しい一日が、また穏やかに始まろうとしている。

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