AMETORA 日本がアメリカンスタイルを救った物語 / デーヴィッド・マークス アメリカントラッドは日本で新しいファッションとなった 【人生最後の本棚】
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【人生最後の本棚】
まずはこの本に出会えたことに感謝です。筆者の方のご迷惑になりませんように。
おじさんがnoteを始めるに当たってメンズファッションのことを書こうと思い、ファッション関連の本を読んでみました。しかし、ファッション本を読むだけではカッコよくなれないといつも思います。中身が空っぽではカッコよくないのです。結局、いつも中身からカッコよくなるにはそれなりに本をきちんと読んでおかなければという結論に達します。昔からのものも含め、おじさんのお気に入りの本です。
AMETORA 日本がアメリカンスタイルを救った物語 / デーヴィッド・マークス
ここ数年で一番のファッション本
僕にとってはここ数年間で最も面白かったファッション本でした。作者はデーヴィッド・マークスさん。1978年生まれと若く、しかもアメリカの方です。この本は2015年にアメリカで出版され、2017年に日本語版が刊行という珍しいパターンです。日本のファッション業界の内側からではない外部の視点からの日本のメンズファッションの本です。よく調べたものだと思いました。
日本のメンズファッションの歴史
この本はアイビーの時代から入って20年ほど前までの日本のメンズファッションの歴史を網羅しています。まずはそれが新鮮でした。後半の年代は自分も渦中にいたからです。
学校での歴史の授業が、歴史として定着していない戦後以降の近代史の部分に授業が届くことなく終わってしまうのと似ていて、日本のメンズファッションの歴史も裏原など最近までの流れを書いたものがあまりありませんでした。それをアメリカの方が本に書かれたことが驚きでした。
アイビーに始まり、ジーンズ、雑誌、クリームソーダ、BEAMSとDCブランド、裏原、ビンテージデニム、ユニクロと続き、日本のメンズウェアには底流として脈々とアメトラが流れていることを書いています。
アメリカに憧れた時代
僕は子供の頃から、アメリカ礼讃の日本で育ち、映画や音楽や洋服などのカルチャーから、大量生産、大量消費の使い捨て文化でさえ、「アメリカはカッコいい。」という少年時代を経て大人になりました。
僕が会社に入社した当時、僕の最初の上司となった先輩方がアイビー世代でした。僕より10-15歳ほど年上の先輩たちの洋服はやっぱり「VAN JACKET」だったのです。70年代前後に青春時代だったの日本の男子はきっとここを避けて通れなかったのだと思います。
そして、僕の好きなジュンヤワタナベマンやエンジニアードガーメンツといった現役の日本のファッションブランドの中にも随所に「アイビー」が影響を与えていることを感じます。
AMETORAとは
デーヴィッドさんは日本に来て、日本のファッションがアメリカより進んでいることに驚いたそうです。アイビースタイルはアメリカでは当時からそのままのアイビースタイルだったようです。変わらないという価値もあります。しかし、ブルックスブラザーズも一度倒産しました。
デーヴィッドさんは、日本のアイビースタイルを本来のアメリカの特定の大学に紐づくスタイルではなく、ファッションのレイヤーのひとつだったと書いています。
日本ではアメリカから輸入されたアイビーが、消費者が「本物」に執着するあまりに、独自の進化を遂げて、オリジナルを凌駕したかたちで日本独自のアイビースタイルへと変化してしまったようです。
当時はアメリカ礼讃の時代です。若者たちはアメリカのカルチャーの情報が欲しくてたまらないのに生の情報は入って来ません。「TAKE IVY」の撮影隊のドタバタやpopeyeの創刊のお話を他の本で読みましたが当時はすごい情報ギャップだったようです。
日本人たちはアメリカのファッションに憧れ過ぎて、輸入したアメリカのファッションを独自にリファインして、新しい日本のアメリカルーツのファッションに変えてしまった。著者はそれを「AMETORA」と呼びます。そしてAMETORAが現在のアメリカに環流しているということです。
VAN JACKETが作った日本流アイビーのルール。リーバイス501を解体して本物以上のレプリカを作ってしまう。裏原の時代のナイキのスニーカーの価値の爆上がりやレッドウイング、チャンピオンのスウェットのタグの色のお話などです。極め付けは「TAKE IVY」が2010年に復刊されアメリカで売れたというお話です。
世界の情勢はやはりファッションとつながっている
昔から日本人は海外のものを取り入れて、それをリファインする国民性を揶揄されて来ましたが、バブルの時代にはやはりファッションも本国をおびやかす状況になっていたということではないかと思います。世界の情勢はやはりファッションにもダイレクトに影響を与えていたということだと思います。
トランプ大統領が関税、関税といっていますが、リーバイス、ナイキ、コンバース、チャンピオン、ヘインズなど僕たちが憧れたアメリカは今、MADE IN USAではないものばかりです。
逆に、今、世界中を旅しているアメリカの方々にファッショナブルなアイビーの面影はあまり残っていないように思います。もしくは昔のまま。
時代は変わり、今となっては、カッコ良かった頃のアメリカのスタイルはもうアメリカには存在せず、カッコ良かったアメリカへの憧れが日本のファッションスタイルを作り、それがアメリカに還って行くことになったのではないかと思います。
ここまで読んでいただきありがとうこざいます。
