俺のデスクの下。「ジジイのビームで、穴が開く」第四話
ゴールデンウイークの前。ノルマ達成に向けて檄が飛ぶ。休みたきゃ、数字出せ!!
2週間、ジジイんとこにも行ってない。
それは俺に余裕がないからだ。
毎年、GW前と年末は地獄の様相を呈する。
カッタンッッッッ
あぁ???
俺のデスクの下が、円でくり抜かれた。
えぇぇぇッッッッ??
「君が、ケンジ?」
子供だ。小学生くらいの女の子。
俺は、机下に潜る。
あぁ、そうだが……爺さんの知り合いか?
「孫」
そうか。顔出してないから、心配して来たのかな。
「今日、仕事終わったら行くって伝えてくれ」
「分かった。その前に、助けてあげるよ。」
「いくら、足りてないの?ジイジに買わせる。」
ぼ、ぼうず、いや嬢ちゃん。
机の下、四つん這いで、女の子と向き合ってる俺。
会社、人おんのに。
「人には、見えないよ」
え?
「私が、見えなくしてる」
…………
そうですか。
…………
孫、っちゅうことは、
…………
爺さんの、娘の子か?
「うん」
爺さんの娘って、
…………
地球人なん?
「ハーフだよ」
ハーフ……
「ジイジ、地球の女の人と恋に落ちて、結婚したの。何十年も前」
…………
そうなんや。
「でも、ばあば、もう死んじゃった」
…………
…………
そっか。
「それで、ジイジ、地球に居続けてる。ばあばの墓、地球にあるから」
…………
俺は、何も言えんかった。
…………
「で、ケンジ。いくら足りないの?」
…………
「ジイジ、ノルマくらい、なんでも買えるよ。社長にちょっと、お願いするだけ」
…………
簡単に言うな。
「私たちにとっては、簡単」
…………
…………
ええわ。
「え?」
俺の仕事や。
俺が、なんとかせなあかん。
「でも、しんどそうだよ?」
しんどいけどな。
それでも、自分で、なんとかせなあかん。
…………
女の子は、じーっと、俺を見てる。
…………
「ジイジが、言ってた通りだ」
え?
「ケンジは、いい奴だって」
…………
…………
爺さん、
そんなこと、言うんか。
「うん。だから、私、来た。一目見たくて」
…………
女の子は、ニカっと笑った。
歯は、ちゃんとある。
「じゃあ、伝えとくね。今日、来るって」
おう。
頼むわ。
「バイバイ」
女の子は、机の下の穴に、すぅっと消えた。
穴は、何事も無かったかのように、塞がった。
…………
俺は、机の下から、這い出る。
…………
…………
「何しとんねん、ケンジ」
部長が、俺を見下ろしてる。
…………
い、いえ、
ペン、落としまして。
「早よ、数字出さんかい!!」
…………
はい。
…………
俺は、席に戻る。
ノルマ表を、開く。
…………
ふっ、と、笑けてきた。
…………
俺、
爺さんに、いい奴って思われてるんや。
…………
ま、
頑張るか。
