4月6日の断片 「死ぬならここがいいと思ってる」 |文章・写真
川沿いをすぃーっと、自転車を漕いでいく。
遊歩道の草原には桜並木が続いて、
桜の花が気持ちよさそうに咲いている。
日曜午前なのに人がたくさんだ。
ちょっと前までジョギンガーの方が主だったこの道も、桜効果で盛況している。
ひとりで、友達と、家族と、恋人と、犬と。
思い思いに過ごす皆々の顔は春めいてきらきら。

視界が白や淡いピンク、黄緑、お日さま色と眩しくて、気持ちがぽかぽかしてくる。
春は良いものだなぁ~とぷらぷら桜の木の下を漕いでいると、
上空の鳥さんが白いものを落とすのが視界の隅に入った。
そのことを脳が処理するのと私の髪にその白いものが降ってきたのは同時だった。
わぁ~、生まれて初めて浴びてしまったかなこれは。まあ運がつくって言うし。髪でよかったよね、拭けば綺麗になるし。
我ながらのんきなのはまあ長所と言ってよいでしょう、とはいえさすがにこのままお出かけするため、自転車を停めて鏡チェック。
あれま、かわいい。髪についていたのは桜の花でした。
そういえば昨日桜を食む食むして地面に落としてる雀氏を見たなぁ。
なるほど!
嬉しいから桜の花を鞄に入れて、自転車を再出発したのでした。
電車に揺られて何千里。いや、多分そんな遠くない。千里がどれぐらいか知らんけど。
沿線の道みちに桜が咲いて、陽の光を受けとって息をしている。
その光景を視界の端に入れながら、小説の推敲をする。
控えめに言っても大分幸せな時間。
覚醒しながら微睡んでいる感覚。これも春。
目的地に到着。
まだ見えないけど、すでに身体のどこかで海を感じている。
海辺の街独特の開けた空気が本当に好きだと最近改めて、それにより強く思う。
ちょいちょいここ、地元であるところの神戸には帰ってきているけれど、
海の方に行くことは少なくて、だからたまに海に行くとなると胸が踊る。
山育ちだし山派のつもりだったけれど、やっぱり海派だったかもしれないと手のひらをひらめかせる今日この頃です。

それにしてもメリケンパークとかいつぶりだろう、中学以来とか?
三宮から歩ける距離だったんだと新発見。
18年ぐらい住んでたのに神戸を知らなすぎる。
とはいえ神戸も私が住んでいた時から結構変化していて。
港の辺りは異国みたいになっていてびっくり。
のびのびした開放感が満ちていて、
あぁ、いい街だなと、
お腹の奥に爽やかな海風がそよぐ。
さぁ、いよいよTOTTEIですよ!
あれがうわさのグリオンアリーナか!
黒くて巨大なかっこいいGLION ARENA に体感体温が3度ぐらい上がる。
あ、違うわ、ジーライオンアリーナやっけ。
真実に気づき正常体温に帰還する。
昨日友達から聞いたばっかやのに興奮すると頭はすぐ飛んでいく。たんぽぽの綿毛みたいだね。
自分の整理番号の待機場所を探し、
海沿いの草地をスニーカーで進む。
久しぶりの神戸の海に見惚れつつ、
ライブへの高揚感で足はいつもより速く前へ前へ動いている。
そうだ、今更ですが、今日はTOTTEI PARKのこけら落としフェス『TOTTEI PARK FESTIVAL 』に来ています!

トップバッターはシンガーズハイ。
名前はよく聞くけれど、曲を聴くのは今回がはじめて。
楽しみ!
リハがはじまった。
かっこいい!めっちゃかっこいい!
ギターもベースもドラムもぎゅんぎゅんで初耳でもどんどんノってしまう。
ボーカルさんは尾崎世界観さんをちょっと想起する声質と歌い方で、
歌詞に聴き入ってしまう。
話すような歌い方もされていて表現力がすごい。
なによりパワフル。
これから追っていきたいバンドがまた増えた。幸せだ。
本番も最高。
みんなワイルドな感じなのに笑顔がかわいくてギャップがよきです。
そんな中でも特に心に刺さったのが、ギターボーカルのSHORTさんの
「きれいなものが好きなので、きれいなものを歌いたい」っていう言葉と
そのあとにやった『フリーター』という曲。
私事ですが、最近きれいなものばっかり書いて撮ってしまう自分が薄っぺらなのではないかってぐるぐる考えておりまして、魂を抉るようなものが本物なんじゃないかって。
世界とか現実と戦って反発して地べたを這って、その後に生まれるものをつくらないといけない、それをやれず世界のきれいなところばかり切り取る自分はちゃんと生きられていないんじゃないか。
だから、「きれいなものが好きなので」って言葉を聞いたとき、なんだか少し救われた気がした。
胸を張って「きれいなものが好き」って言っていいんだ。
やっぱり詩や小説を書く上では世界や人間のきれいではない部分にも向き合って書き切りたいしその必要があると思うけれど、それはそれとして、きれいなものも描いていていいんだと思えて、すごく大切なバンドになった。
これからも折に触れて聴いていくんだろうな。

お次は神はサイコロを振らない。
神サイはラジオのヘビーローテーションだった『未来永劫』がすごく美しくて好きだったので、今回はじめて生で観られるのを楽しみにしていて。
登場されるやいなや、目が釘付け。
ギターボーカルの柳田さんがニッコニコ。笑顔がかわいすぎる!
そりゃあ女の子達が黄色い声を上げるわけだ!
それにギターの吉田さん、ドラムの黒川さん、ベースの桐木さんはがっしりしていてセクシー。
なるほど!
もちろんビジュアルだけじゃなくて、柳田さんの優しくて透き通る歌も、たまに出る低くてかっこいい歌声も、余裕感があって技術がすごいベースも、バチバチにかっこいいギター、力強くて安定感が抜群のドラムも素敵で、みんなを包み込むような曲、静かに聞き惚れる曲、夢中で時が過ぎていく。
ちょうど空が雲が多くなって、そこに滲むみたいに黄色い光が射していて、神々しい雰囲気がぴったりで。
エモーショナル。
ピースを掲げて歌う姿がかっこよかった。
ところで、ですね、柳田さんが最初に弾いてたミモザみたいなかわいい色のギター、どこで買えますか、有識者の方……!

そして最後、ハンブレッダーズ。
名前を書くだけで、ライブの登場時の音楽が流れるだけで、じわっと来そうになる、とか言うとちょっと気持ち悪いでしょうか。
いつも笑いと身体の揺れが止まらなくなる最高のバンド。
ここでは備忘録も兼ねて今日のハイライト集を載っけます。
とんでもなく個人的内容です。流し読み推奨です。
・リハでムツムロさんがいつもより割り増しで冗談を飛ばしていた
・ムツムロさんの服がマーベルっぽくてかわいい
・でらしくんがリハのときに袖にはけて海辺に立っているのが垣間見えた。 絵になる
・ムツムロさんによる安定の木島さんいじり
・木島さんは今日もかわいい
・うきくんの笑顔は今日も優しい
・「生活に必要な三種の神器はー?」→『ギター!ギター!ギター!』
・「今日最後に花火上がるそうなんで見ていってください」って花火ステマおじさんになるムツムロさん
・aikoさんじゃなくてすいませんって主催者さんに謝るムツムロさん
・演奏中船が見えるのが新鮮で笑っちゃったでらしくん
・橋がきれいなんで見ていってくださいと神戸のインフラを宣伝するでらしくん
・ポートタワーはどっちって探して、指をさしたお客さん達にジモピーですねっていうムツムロさん
・GLION ARENA をグリオンアリーナって呼んでメンバーに修正されるムツムロさん(わかる)
・昔彼女とアンパンマンミュージアムに行って、アンパンマンのパンの鼻のところだけを食べた甘酸っぱいムツムロさん
・からの「もしかしたらその子の最後の彼氏になる選択もあったかもしれません」からの『ファイナルボーイフレンド』
・久しぶりにライブで『ファイナルボーイフレンド』を聴けて思わずこぶしをつくって揺らす私
・を見てちょっと笑った(気がする)ムツムロさんを見てあまりに恥ずかしくて顔を手で隠しつつ嬉しすぎる私(自意識過剰)
・『ファイナルボーイフレンド』を歌い終わったあとのムツムロさんの優しい「ありがとう」
・めったに叫ばないムツムロさんが間奏中にシャウトしてくれた
・関西のお客さんめっちゃあったかいって嬉しそうで嬉しい、ありがとう
・今回は「スクールカーストの最底辺から青春と愛と平和を歌いに来た」だった
・「GALAXY PARK in TOTTEI PARKでもいいかもしれん」
・巻きすぎたらしく、アンコール後サプライズで登場。『フェイバリットソング』をハイスピードで演奏して帰って行った
・やっぱり花火ステマしていくのを忘れない、でらしくんまでも
長々とお付き合いいただきありがとうございました。
花火も綺麗で、本当に最高の日でした。

花火が終わって、少し海を眺めて、神戸の街をしばらく歩いて帰って。
夜の神戸の少ししんとしたぬるい空気を吸い込んで、その心地よさに気づいて。
最近ハンブレッダーズの『都会に憧れて』を聴きながら考えていた「死ぬならここがいい」って場所は、もしかしたらここかもしれないなと思う。
正直まだ死についてちゃんと考えられているとは思わないけれど。
「死ぬならここがいいって思ってる」って言えるぐらい人生に向き合えている人に憧れていて、自分もそうなりたくて。
今日神戸に帰ってきて、大好きな音楽を浴びて、大好きな人に会って、大切にしたい言葉をもらって、自分の大切なものが、まだ靄の中だけど、うっすら光って見えた気がして、それが嬉しい。
いつか私も「死ぬならここがいいと思ってる」ってどこかの場所を真っ直ぐに言えるように、自分の生を見つめて生きていきたい。


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