【第61回】3つのお題に空想のひらめきを 〈な〉の深夜放送
第61回 3つのお題(昭和ノスタルジー)
お題①:「海まで走った夏休み」
お題②:「花火が消えたあと」
お題③:「深夜放送から届いた手紙」
チャラッチャ♪ チャッチャラチャッ チャッチャラッ♪
おなじみのジングルが流れ、今夜も深夜のラジオ放送が始まった。
「はい皆さんこんばんは~今夜も一人でお送りしておりますのは、相方のじゃない芸人の〈な〉でございますぅ~」
人気コントコンビ〈いいないいな〉の二人で始めた深夜のラジオ番組も、〈いい〉が疲労で倒れ長期離脱が決定し、心配された通り、最初はリスナーもハガキ職人も激減したが、〈な〉が独自の企画を次々と打ち出して、意外と面白いと評判になり、リスナー数もハガキ数も二人の時を上回るようになっていた。
「では早速今回のお題ですね、海まで走った夏休み。花火が消えたあとで。この二つのお題で自由に小説なり短歌俳句なりエッセーなりを募集しましたところ~ほらこんなにハガキが届きましたよっ」
〈な〉は、はがきの束を机の上のマイクの前で小刻みに叩いて音を聞かせた。その重量感ある音で、人気ぶりがうかがえた。
「最初のハガキ職人さんは、なちゅさんです。わお~私、ちゅ~されました。え?余計な事いわんでよろし? 失礼しましたでは読みます」
(ええ~! なちゅって・・私じゃん!)
「火玉がジュ 線香花火が消えたあと 海まで走った夏休みジュlie」
(やっぱ、私の句だ)さらにドキドキ(どんな反応が起こるんだろう)
「何ですかね~ジュから7月のジュライの流れでしかもlieという嘘で終わる。いったい何があったのでしょうか?さあリスナーさんの解釈はいかに」
番組専用メアドに続々メールが殺到して〈な〉の深夜放送は今夜も大人気なのである。
後日、深夜放送の〈な〉の番組から手紙が届いた。中には〈いいないいな〉の二人のアクスタキーホルダーと〈な〉から自筆の添え書きが入っていた。
「なちゅさん、先日はおハガキありがとう。失恋の痛手はもう乗り越えたかな? 夏休み後半は、めいっぱいオーガストに楽しんでくださいね」
(もう~ずるいなあ~〈な〉さん。ほれてまうやろ~)
なちゅは、アクスタにチュ~をした。
(おわり)
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