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#シロクマ文芸部「シャボン玉」☆野口雨情&エリック・クラプトン

 
  シャボン玉と言えば、野口雨情が作詞した童謡「シャボン玉」ですね。
   
   シャボン玉 飛んだ 屋根まで飛んだ
   屋根まで 飛んで こわれて 消えた
   
   シャボン玉 消えた 飛ばずに消えた
   生まれて すぐに こわれて 消えた    
   
   風 風 吹くな シャボン玉 飛ばそ

 
 野口雨情は、長女がわずか生後8日で亡くなるという悲しみをシャボン玉に託して、この詩を書きました。当時は今よりも幼児の死亡率が格段に高かったようです。屋根よりももっと高く飛ばしたい。もっと生きて成長してほしい。娘の死を受け入れられないままの父親の想いがこの詩には、こもっています。
 
 余談ながら、私の親戚にも、戦時中に産まれてすぐに亡くなった男の子がいました。年の離れた兄が歩兵として戦地にいたのですが、ある晩、その子を抱いた母親が生霊いきりょうとなって現れ、「お前の弟が生まれたよ。でもすぐに亡くなったよ」と、報告しに来たそうです。
 戦後、命からがら帰郷して、この体験をまっ先に話したら驚かれたそう。その子が着ていた産着うぶぎの柄を彼は鮮明に覚えていて、実際に男の子が着ていたという着物の柄とそっくり同じだったとか。
 毎年お盆に集まると、この体験をまるで初めて告白するように語るので、親戚一同またその話かと思いながら聞いていたのですが、ある年ふと私は
子供心に、もしかしたら亡くなった男の子の魂が「僕のことを忘れないで」と語らせているのではないかと思ってしまい、ますますその話が充分耳にタコなんですけど~とは言えなくなってしまいました(笑)。

 さて。
 このシャボン玉の歌を聞くと、セットで連想してしまう歌があります。
 エリック・クラプトンの「ティアーズ・イン・ヘブン」です。
 彼も息子を、わずか4歳の時に窓からの転落事故で亡くしています。初めて二人でサーカスを見に行って、父親としての喜びを知った次の日の悲劇でした。
     
                   Tears In Heaven / Eric Clapton

Would you know my name     もし天国で会ったら
If I saw you in heaven?        君はオレの名前を憶えてるかな
Would it be the same                   もし天国で会ったら
If I saw you in heaven?     オレたち相変わらずでいられるかな    


I must be strong        強く居なきゃな  
And carry on             生きていかなきゃ  
'Cause I know I don't belong    何故って オレはここ天国に住むわけには
Here in heaven         いかないからね


Would you hold my hand    もし天国で会ったら
If I saw you in heaven?       君は手をつないでくれるかな
Would you help me stand              もし天国で会ったら
If I saw you in heaven?                  君はオレに立ち上がる力をくれるだろうか


I'll find my way          四六時中ずっと
Through night and day     生きる道を探しているよ
'Cause I know I just can't stay       何故って ここ天国にずっといられる
Here in heaven         わけないもんな


Time can bring you down    落ち込んだり
Time can bend your knees    立ち上がれなくなったり 
Time can break your heart     病んだりして
Have you begging please      どうにかしてくれと神様に
Begging please         頼んだりだけど


Beyond the door         そんな日々の向こうには
There's peace, I'm sure      きっと平穏が待っているはず
And I know there'll be no more   天国に悲しみはもうないことを
Tears in heaven          オレはわかっているつもりだよ


Would you know my name    もし天国で会ったら
If I saw you in heaven?       君はオレの名前を憶えているかな
Would it be the same       もし天国で会ったら
If I saw you in heaven?       オレたち相変わらすでいられるかな


I must be strong                      強く居なきゃな
And carry on         生きていかなきゃ
'Cause I know I don't belong     何故って ここ天国に住むわけには
Here in heaven          いかないもんな

'Cause I know I don't belong       そう ここ天国に居るわけには
Here in heaven          いかないからね
                                                                                                (訳詞・安☆堵)

 
 息子を死なせた後悔と喪失感の中、彼はマネージャーの勧めで気分転換を兼ねて来日します。しかし、どこへも出かけずホテルにこもる日々でした。
 そんなある日、窓の下に咲き終わった桜の木を手入れしている人たちを見つけます。
 「何をしてるんですか」「見ての通り、桜の手入れをしているんです」
 「咲き終わっているのに?」「来年また咲いてくれるようにですよ。花が終わったら、また次のサイクルが始まるんです。その繰り返しです」
 「次のサイクル・・・あなた方は職人さん?」
 「いえ。私たちはボランティアです。桜守として、ほぼ毎日ここへ来ているんです。中には、代々1000年も桜守をしている家もあるんですよ」
 「どうしてそんなことを」
 「単純に桜が好きなんでしょうね。毎日見守って手入れして、またきれいいに花が咲いてくれたら嬉しいじゃないですか」
 エリック・クラプトンは桜守との会話から何かのヒントを受け取り、帰国後、この曲を描き上げました。繰り返し、歌いました。回りのすすめで発表すると、その年のグラミー賞を受賞します。そして、喪失感から立ち直った時に、この歌を一旦封印します。
 「また歌う時は、同じ経験をした人に向けてだね」と。
 そして、今も寄り添うように歌っています。

 野口雨情は、四女も幼くして失いました。しかし、十数年後、彼は「シャボン玉」に新たな歌詞を加えました。

  シャボン玉 飛んだ 屋根より 高く
  ふうわり ふわり 続いて 飛んだ

  シャボン玉 いいな お空に 上る
  上がって いって 帰って こない

 雨情にもようやく、クラプトンと同じ平穏が訪れたのです。

And I know there'll be no more   天国に悲しみがないことを
Tears in heaven          もうオレはわかっているよ

                           
                              (了)                                


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