#3つのお題に空想のひらめきを「密航」
第37回 3つのお題
お題①:「夜を渡る舟」
お題②:「光を抱く森」
お題③:「千年の余白」
下田に停泊するペリー艦隊に向かい、密かに夜を渡る舟が近づいていく。乗っているのは吉田松陰と弟子の金子重之助。見つかれば死罪の密航を企てていた。事前に松蔭は師である佐久間象山に密航を打ち明けていた。
「面白い!」
象山は反対しない。西洋の技術を取り入れ、それを持って世界に対抗すべしと早くから開国を唱えていた象山は、尊王攘夷の志士達に暗殺される。松蔭の思想も攘夷であるはずだが、それ以上にアメリカをこの目で見たいという衝動が抑えきれなかった。
日本は天皇を中心とする皇国であり、言わば光を抱く森である。夷狄(外国)の軍事力からその森を守るためには、まずは敵を知るべし。松蔭はその先駆けになろうとした。しかし、日米は和親条約を結んだばかりで問題になることを避けたペリーは、密航の手助けは出来ないと二人を浜に帰した。それでも、命をかけて乗り込んで来た若者を育てた日本という国は、すぐに我が国に追いつき、やがて追い越すかもしれないとペリーは語ったという。
開国か、尊王攘夷か。そのうねりは、勅許を得ないまま幕府が結んだ日米修好通商条約で攘夷の大嵐が吹き荒れ、松蔭を死罪に追いやった大老・井伊直弼が暗殺された桜田門外の変で頂点に達し、攘夷運動は倒幕へと堰を切っていく。成立した明治政府は、富国強兵と不平等条約の改正に向けて、日本を開国の道へと進めていった。取り残された攘夷派は、西郷隆盛が西南の役でもろともあの世に道連れにした格好となった。
現在。少子化による労働力不足ひいては生産力不足の問題で、日本の将来は千年の余白もないと考えられ、移民政策が政治上の重要な論点の一つになっている。共生か、排除か。その中道を行けるのか。新しいエネルギー資源の開発や遅れているAIの普及で日本のみらいをどう導くのか。現政権の高い支持率とともに野党の動きも全世代から注目されており、第二の幕末とも言われている。
(了)

佐久間象山
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