#3つのお題に空想のひらめきを 「カボチャお父さん」
初めて参加してみました。よろしくお願いします。
🍊第27回 3つのお題
🎈お題①:「時間がほどける朝」
🐾お題②:「誰も呼ばなかった名前」
⏳お題③:「帰らない光」
カボチャの花の蕾の時間がほどける朝、おばあさんは庭に出てみた。
「今朝も咲いてくれたのね。カボカちゃん達」
誰も呼ばなかった名前、カボチャの〈カボ〉と花の〈カ〉で〈カボカ〉。花にはふつう、おしべとめしべがある。(花ってお父さん?お母さん?)と疑問に思って調べたら、カボチャには雄花と雌花があることを知った。雄花の芯を取り、その花粉を雌花のめしべにそっと押し当てる。まるでキスをするかようにいくつか授粉する。今年も無事に実をつけてくれますように。おばあさんは、雌花に手を合わせた。
お父さんと呼んでいた夫は去年、突然帰らない光となった。今年も順調に育って実を結んだかぼちゃを神棚に供えて報告する。仏頂面のお父さんの写真の顔が少しだけほころんだように見えた。
あれは去年のこと。スーパーで初めて買ったメキシコ産の四つ切りかぼちゃ。いつもは捨てる綿の中にたくさんの種があり、おばあさんは適当に選んで庭に蒔いてみたらツルがどんどん伸びて、自然授粉でかぼちゃが出来た。
ある日、おばあさんが勝手口の外で包丁を研いで台所に戻りかけると、お父さんが台所でしげしげとかぼちゃを眺めながら何やら語っていた。
「まさかだよな。はるばるメキシコからやって来て、日本の片田舎で子孫を残すだなんて、想像もしなかったよな」
それからその実の重さを実感するように左手のひらでカボチャを持ち上げると、お父さんは右手も上げ、その手首を回転させて「オ~レィ!」と叫んだのである。
おばあさんは瞬時に身を隠した。見てはいけないものを見た気がした。いや、お父さんが(見られた!)と狼狽しないようにした。お父さんにあんな素っ頓狂なところがあるなんて初めて知ったような気がして、娘に言ったらきっと驚いて大笑いだろうと思うと、おばあさんはすでに笑いをこらえるのがきつく、フラメンコの本場はメキシコじゃなくてスペインだし!と思うと、まるで嗚咽のような声が出た。
「どうかしたか?」すでに居間に戻ったお父さんが声をかけた。
「いいえ何も。それよりかぼちゃが固いので切って下さらない?」
「そうか。よしよし」
お父さんは型崩れしないよう、かぼちゃを大きめに切り分けてくれたのである。
今年は切ってくれる人がいない。どうしたものかと調べると、切る前に電子レンジでチンしたらよいらしい。
「これでよし。いざ」
包丁の刃を当て、おばあさんは力を込め、叫んだ。「オ~レィ!」
娘にはまだ言っていない。お父さんが「内緒にしてくれ。言えば父親の威厳が、じいじの面目が丸つぶれだ」と夢に出て来て、両手を合わせて拝むのである。「どうか墓場まで持って来てくれないか」
その姿は同じ顔の違う人。おばあさんは、新しい光をもたらす人と新婚生活が始まったような気がして、弱みを素直に見せるお父さんとの会話をあれこれ想像する毎日が楽しくなってきたところである。
「noteで小説書く?それもいいわね」
(了)
追記
仏壇に手を合わせるおばあさん画像をGeminiに依頼するも、サカキが飾ってあるし。それは神式の神棚なので、仏式の仏壇にしてくださいと依頼しても画像に変化なし。Geminiには違いがわからないのだろうか?
欧米では神道ブームが続いているらしい。Geminiにもそのブームが来ているようだ。
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