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「腹をくくれ」という言葉の裏側——日本保守党の訴訟乱発と言論の自由

4月29日の「あさ8」にて、日本保守党の有本香代表代行が発した「(チャット欄に書く人も)是非こうね、腹をくくって書き込みしてください」という言葉。一見すると「発言に責任を持て」という真っ当な規律を求めているようにも聞こえます。

しかし、現在進行形で行われている飯山あかり氏への巨額訴訟(総額4,000万円以上)と、先日の一審における飯山氏の全面勝訴という事実を照らし合わせると、この言葉は全く別の意味を帯びて響きます。

1. 民主主義のインフラを破壊する「リーガル・ハラスメント」

飯山氏の意見陳述には、国政政党という巨大な組織から次々と訴状が届くことの「精神的苦痛と経済的負担」が切実に綴られています。本来、政党は公金(政党助成金)を原資に活動する公的存在であり、市民からの批判には「説明」や「反論」で応えるのが基本です。

対話や反論を拒否し、いきなり司法の場に引きずり出す。これは議論を深めるためではなく、「批判者を経済的に疲弊させ、沈黙させること」を目的にしているのではないか。そうであれば、それは正当な権利行使ではなく、言論封殺を目的とした「スラップ訴訟」の疑いを免れません。

2. 「腹をくくる」という言葉の危うさ

有本氏の言う「腹をくくる」とは、市民に対して何を求めているのでしょうか。 現在のパワーバランスで見れば、それは「生活を壊されるリスクを負わなければ、この党に批判的なことは書くな」という威圧として機能してしまいます。

  • 政党側: 組織力と資金力で、何度でも訴訟を「戦術」として使える。

  • 一般市民: 訴訟を一つ抱えるだけで、日常が破壊される。

この圧倒的な非対称性がある中で「覚悟を持て」と迫る姿勢は、自由な言論空間を萎縮させる「参入障壁」そのものです。

3. 一審判決が突きつけたもの

飯山氏が月刊誌で書いた「LGBT問題に取り組んでいない」という記述を巡る裁判で、裁判所は日本保守党側の請求をすべて棄却しました。つまり、飯山氏の言論は「正当な批評の範囲内」であると司法が認めたのです。

それにもかかわらず、党幹部がSNSや有料配信で「クズ」「ババア」「ハエ」といった人格否定のレッテルを貼り続け、支持者を扇動してネットリンチを加速させる現状は、もはや政治活動ではなく、組織的ないじめの構図に近いと言わざるを得ません。

結び:私たちが注視すべきこと

飯山氏が陳述で述べた「これを看過すれば、国政政党が訴訟によって批判者を黙らせる手口が常態化する」という懸念は、決して他人事ではありません。

「腹をくくって書き込め」という言葉が、責任ある発言を促すものではなく、批判的な口を封じるための「脅し」として使われる社会——。それは、私たちが望む「日本を豊かに、強く」する姿なのでしょうか。

司法の判断が出た後もなお、言論の責任を相手にだけ求め、自らの説明責任を訴訟にすり替える。こうした政党のガバナンスのあり方が、今、鋭く問われています。

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