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【組織のAI活用#205】「正確性が求められる業務だからAIは使えない」はもったいない

こんにちは!寺田です。

現在は、デジタル関連会社のAI推進者などのAI活用者のコミュニティである「AI Digital Community (ADC)」の代表理事や、顧客事業の「×AI化」をサポートするFURIKAKE Partners(株)と組織のAI活用を支援するプロダクトを提供するAI Portalize(株)の代表取締役を務めており、様々な側面から組織のAI活用をサポートしています。

企業様をご支援させていただく中で、業務のAI化に関するご相談を多くいただきます。その中で、いまだに多くの業務において、一つひとつの作業に高い正確さが求められているという印象です。

ただ、数値が絡むような場面において、AIを直接使うと精度に不安があるというお声を伺う機会も増えています。

ということで、今回は正確性が求められる業務におけるAIの活用方法について書いていこうと思います。


正確性を求められる業務における二つのAI活用の違い

一言でいうと、業務におけるAIの活用には大きく分けて二つの方向性があると考えます。

一つは、作業が発生するたびに、AIに都度考えて計算や出力をさせる使い方です。
もう一つは、AIを活用してあらかじめ構築しておいた「仕組み」を業務で利用する使い方です。

例えば、毎月の売上データを集計してレポート化する作業があるとします。
このとき、都度AIに生のデータを渡して直接計算させようとすると、どうしても計算ミスが起こるリスクが発生します。
イメージとしては、業務が発生するたびにエンジニアを呼び出し、その場でゼロからプログラムを書いてもらい、出力された結果をそのまま信じて使うような状態です。

毎回その場しのぎで処理手順を組み立てるため、どうしてもどこかでミスが混入する確率が高くなります。
つまり、効率化においては、AIに毎回考えさせるアプローチは必ずしも最適ではありません。

AIを活用してあらかじめ正確な計算ができる仕組みを構築し、その仕組みの中で業務を行うアプローチの方が一般的です。
いままではエンジニアに依頼していたものをAIを活用してプログラミングなどの知識がなくても構築しやすくなったことで、この活用方法のすそ野が広がってきました。

事前構築によるテストと多重チェックの仕組み化

excelで作った関数などにおいても、結果が問題ないかの確認を行うように、AIを使って作ったツールに関しても、運用前にしっかりと確認やテストを行うことが重要です。

また、例えばですが、構築するシステム側に、ダブルチェックやトリプルチェックの機能をあらかじめ組み込んでおくこともできます。
さらに、特定の条件で異常な数値が出た場合にはアラートを鳴らすなど、ツール自体にミスの防止網を持たせる設計も考え、追加していくことで精度をさらに高めることが可能です。

システムとAIの効果的な分業
このように、正確性が求められる業務においても、AIを活用する差に、その都度計算をさせる必要はありません。AIを活用してテスト済みの専用プログラムを用意し、計算自体はそのシステムに実行させることで精度を高めます。

また、業務の正確性を担保するための確認作業においても、人が行うのと比較して、AIを活用して仕組み化することで精度をより高めていくことも充分可能です。
人間が行っているダブルチェックやトリプルチェックは、扱う件数が増えるほど全件を網羅することが物理的に難しくなります。イメージとしては、時間と労力の制約から、どうしても一部のデータだけを抽出するランダムチェックに頼らざるを得ないケースです。

そこで、AIを活用して自動で全件チェックを行う仕組みを構築すれば、膨大な量の確認作業を実行することができます。
人間が手作業で対応するよりも、はるかに網羅性を高めることが可能です。
逆に言うと、人間の目だけでは見落としてしまうような細かい法則性の乱れなども、AIを組み合わせたシステムを通すことで精度を向上させると考えます。

さらに、過去のデータを活用した継続的な改善ができる点も大きなメリットです。
過去に発生したミスや問題のデータを蓄積し、そこから学習して最適化していくのはまさにAIの得意分野だからです。

例えば、人間特有の入力ミスの癖や、特定の条件下で起きやすい不具合のパターンなどをAIに学習させます。結果的に、その仕組みを使えば使うほど、より精度の高い確認作業が自動でできるようになっていくという印象です。

業務特性を見極めた手段の選択

センシティブな作業で間違いが許されない領域だからこそ、最初からAIを遠ざけてしまうのは避けるべきです。「正確性が求められるから使わない」と決めつけてしまうのは、非常に大きな機会損失であり、もったいないことだと考えます。むしろそうした厳格な領域だからこそ、AIを使ってシステム側に多重チェックの仕組みを作ったり、学習データを活用させたりする選択肢を持つことが重要です。

これは、「AIで」というよりも、「仕組み化やツール化する」ということですが、AIの進化によって仕組み化を非エンジニアができることで、結果的に「AI活用による仕組み化ができる状態」になってきたといえます。

もちろん、AIを使うこと自体が目的ではありません。
無理に全ての場面で使う必要はなく、従来の手作業や既存のシステムが最適な業務も確実に存在します。
ただ、手段の一つとして、テストと検証を経たAI活用の仕組みを持っておくことで、業務設計の幅は大きく広がります。常に複数の選択肢を持ち、現場の状況に応じて最適なアプローチを選んでいくことが大切ではないかなと思っています。

「AIだから正確な業務は任せられない」ってことが必ずしもないってことは押さえておきたいところです。



読んでいただきありがとうございました!
過去のAI関連記事はこちらです!

ちなみに、組織におけるAIの推進についてまとめた本も出版させていただいております。もしよければご覧ください。


<自己紹介>
直近までは、電通グループに属する約1400人・20社以上の事業会社群で構成されるCARTA HOLDINGSにて、全社横断のAI推進室で組織全体のAI活用推進を担いつつ、法人向けの「生成AI&デジマ人材」研修サービスであるD-Marketing Academyの代表取締役も兼務し、大手企業からスタートアップまで、数百社にわたるAI人材育成を支援してきました。

現在は、デジタル関連会社のAI推進や担当コミュニティである「AI Digital Community (ADC)」の代表理事や、顧客事業の「×AI化」をサポートするFURIKAKE Partners(株)と組織のAI活用を支援するプロダクトを提供するAI Portalize(株)の代表取締役を務めており、様々な側面から組織のAI活用をサポートしています!

<略歴>
2005年 5月 大学在学時にEC事業を開始
2007年 5月 (株)サイバーエージェントに入社し新規事業の立ち上げに携わる
2011年 10月 (株)VOYAGE GROUPにてKDDIとの協業事業を行う(株)Flesselを設立し代表取締役に就任
2015年 11月 ECコンサルティング事業を行う(株)JSコンサルティングの代表取締役へ就任
2018年 4月 東証一部プライム企業Hamee(株)にJSコンサルティングをM&Aし、代表取締役を継続
2019年 5月 Hamee(株)の執行役員に就任し、Hameeグループの新規事業領域を管轄
2021年 2月 D2C支援を行うTHE CHOSEN ONE(株)の顧問に就任
2021年 3月 アパレルD2C事業を行う(株)NAAFYの取締役に就任
2021年 4月 D-Marketing Academy(株)を設立し代表取締役に就任
2023年 1月 (株)CARTA HOLDINGSにD-Marketing AcademyをM&Aし、代表取締役を継続
2025年 3月 CARTA HOLDINGSグループ全体のAI活用促進を行うAI推進室を兼務開始
2026年 1月 生成AIに関しての顧問を行うFURIKAKE Partners(株)を設立し、代表取締役に就任
2026年 1月 組織の生成AIプラットフォームサービスAI Portalize(株)を設立し、代表取締役に就任
2026年 1月 デジタル関連のAI活用企業コミュニティ「AI Digital Community(ADC)」を設立し代表理事に就任

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