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【組織のAI活用#003】組織においてどの生成AIツールをメインにするべきか

こんにちは!寺田です。

現在は、デジタル関連会社のAI推進者などのAI活用者のコミュニティである「AI Digital Community (ADC)」の代表理事や、顧客事業の「×AI化」をサポートするFURIKAKE Partners(株)と組織のAI活用を支援するプロダクトを提供するAI Portalize(株)の代表取締役を務めており、様々な側面から組織のAI活用をサポートしています!

生成AIの市場の変化は激しく、現時点ですでにどの主要ツールでも非常に高性能になってきています。ChatGPTもGeminiも、CopilotもClaudeも、基本的にはどれを使っても良い答えが返ってきます。

もちろんまだ一部の苦手領域や得意領域があるものの、現在と未来を比較すると、今後はさらに性能が上がり続けるわけです。また、日進月歩で各ツールのアップデートが走り、性能競争の順位も日々変わっています。

そうなると、会社でメインに使う生成AIツールを選ぶ時、もはや「どれが一番賢いか」ではなく、他の部分で判断する必要が出てきています。

今回は、そのあたりを見ながら、「組織においてどの生成AIツールをメインにするべきか」を考えていきます。


AIツールたちの実力、もうほぼ横並び


ここ半年から1年くらいで、主要な生成AIツールの差が減ってきているように思えます。半年前ですと、例えば「Geminiだといい回答がでないので、Claudeに聞いてみよう」といった使い分けを私自身も良く行ってきましたが、複数のツールを使い分ける必要も、徐々に減ってきました。

このように、生成AIツールであるChatGPT、Gemini、Copilot、Claude、Grok...どれも一定以上のクオリティになっています。

また、各社とも性能を上げ、機能を拡充する競争を行い続ける中で、クリティカルな差は減っていき、「性能だけ」でツールを選ぶフェーズではなくなっています。

では、どのような観点で自社の主要AIツールを選んでいくべきでしょうか。

生成AIと既存のオフィススイートとの関係

オフィススイートとは

企業がメインとする生成AIツールを選ぶ際、もっとも重要な判断基準の一つが「既存のオフィス環境との統合性」です。
現代の多くの企業では、GoogleまたはMicrosoftが提供する統合型のクラウドオフィススイートを業務基盤として活用しています。

Google Workspaceの場合: Gmail、Google Drive、Google Docs/Sheets/Slides、Google Calendar、Google Meetなどが単一のアカウントで統合されており、従業員は一つのIDで全サービスにアクセスできます。作成したファイルやデータは自動的にクラウド上で同期・共有される仕組みです。

Microsoft 365の場合: Outlook、OneDrive、Word/Excel/PowerPoint、Teams、SharePointなどがMicrosoftアカウントを中心に一体化されています。リアルタイム共同編集やワンクリック会議招集など、アプリ間の連携がシームレスに行えます。

これらの統合環境では、個々のツールが独立するのではなく、相互連携により一つの包括的なデジタルワークスペースを形成しています。従業員の認証情報、アクセス権限、セキュリティポリシーも、この統合基盤上で一元管理されているのが特徴です。

生成AIツールと連携するオフィス環境


生成AIツールと連携しているオフィス環境は次の表のように、Google WorkspaceはGemini、Microsoft 365でCopilot(裏側はChatGPT)となります。

つまり、オフィスツールの環境を変更しない限りは、すでに連携できる生成AIツールは決まっていることになります。

生成AIツールの提供企業とオフィススイート連携状況


オフィス環境連携のメリット1. セキュリティ


法人で生成AIを導入する際に、もっとも慎重に検討すべきなのが「セキュリティ」です。
性能や使いやすさ以上に、この部分が不十分だと、導入はもちろん、社内展開もままなりません。

生成AIを業務で使うということは、メール・文書・スケジュール・社内チャット・会議メモなど、機密性の高い情報とAIが日常的に接触するということです。

このとき、AIツールが社内のセキュリティ基盤(=オフィススイート)と統合されているかどうかで、守れる範囲も管理のしやすさも大きく変わります。

具体的に、Google Workspace(+Gemini)やMicrosoft 365(+Copilot)でAIを活用する場合、以下のようなセキュリティ面の利点があります:

1. 統一されたセキュリティポリシーの適用

社内で使っているGoogleやMicrosoftのアカウントに基づいてAIが動作するため、すでに設定済みのパスワードポリシー、二要素認証、端末制限などがそのまま適用されます。
新たにAI専用のアカウント管理や認証フローを整備する必要がありません。


2. アクセス権限の一元管理

生成AIが読み込むファイルやメールは、すでに設定されているアクセス権限(例:Google Driveの共有範囲、OneDriveのフォルダ権限)を踏襲します。
特定の部署だけが見られる資料を、AIが勝手に全社的に学習・出力してしまう、といった情報漏洩リスクが抑制されます。


3. データ所在地(データレジデンシー)の明確化

MicrosoftやGoogleは、企業向けサービスにおいて、データがどの国・どのリージョンに保存されるかを契約上明示しています。
生成AIとオフィス環境が統合されていることで、「AIに入力したデータがどこに行っているのか分からない」という不透明さが解消されます。


4. 監査ログの一元化とトレーサビリティの確保

AIがどのファイルを読み取ったのか、どの社員がどんなプロンプトを入力したのかなど、重要なログをGoogle Admin ConsoleやMicrosoft Entra(旧Azure AD)などの監査機能で一元管理できます。

これにより、不正利用や情報漏洩のトレースが可能になり、コンプライアンスや内部統制の面でも安心して導入できます。


オフィス環境連携のメリット2. データの連携


生成AIを業務に取り入れるとき、もう一つ大きな判断ポイントになるのが、「すでに存在している業務データと、どれだけ自然に連携できるか」という点です。

ChatGPTやClaudeのように、ブラウザ上で何でも答えてくれるツールも確かに便利ですが、組織の中で日々扱われる情報――予定表、議事録、ファイル、メールなどと「つながる」には、その土台となるオフィススイートとの統合が不可欠です。

たとえば、Google Workspace × Gemini の場合:

  • Googleカレンダーと連携して、会議の事前アジェンダや過去メモの要約を自動提示
    → 会議に入る前から「話すべき内容」がAIから提案されます。

  • Googleスプレッドシート上で、数式やグラフをGeminiに自然言語で依頼
    → 「この売上推移をグラフにして」と打つだけでOK。

  • Googleドライブ内の資料を自然言語で検索・要約
    → 「先月の営業会議の資料ってどこ?」と聞けば、該当ファイル+要点が返ってきます。

  • Google Meetの会議内容をリアルタイムで文字起こし+要約
    → 後から議事録作成する必要がなくなります。


また、Microsoft 365 × Copilot の場合:

  • Outlookのメール本文を読み取り、返信文案を自動生成
    → 依頼メールの意図を汲んだうえで、「OK」と言うだけで送信準備が整います。

  • Excel内で、自然言語を使って関数・グラフ・データ要約を生成
    → ピボットテーブルを作るのも「販売数をカテゴリ別にまとめて」と言うだけ。

  • Teams会議の録音データから、重要発言・決定事項・ToDoを要約
    → 会議が終わった瞬間、フォローアップタスクが一覧で出てきます。

  • OneDriveやSharePointにある社内資料の全文検索と要点抽出
    → 「競合比較の資料ってどれ?」と聞くだけで、探し回る時間を削減。

こうした、AIが業務の中に自然と入り込んでくるような体験は、Google Workspace × Gemini や Microsoft 365 × Copilot という組み合わせがあるからこそ実現できています。

また最近では、Googleが「Google Workspace Flow」を発表し、AIがメール、カレンダー、ドキュメントなどの各ツールをまたいで業務をつなぐ仕組みを強化してきています。
たとえば「メールが来たらAIが内容を判断して、スプレッドシートに自動記入する」といった一連の作業が自動で行えるようになるイメージです。
Microsoftでも「Copilot+Power Automate」の連携が進化し、どちらのオフィス環境でも数カ月後から1年後以内にノーコードでのワークフロー作成ができるようになっていると想定されます。

AIに関しての業務フローの周りに関しては下記の記事でも話していますので、もしよければご覧ください。


まだGeminiやCopilotでもできないことはある

GeminiやCopilotは非常に優れた生成AIツールですが、現時点ではまだ「できないこと」もいくつかあります。たとえば、Geminiでは「Gem」と呼ばれるカスタムAIボットを個人で作成することができますが、これをチーム内で共有・展開する機能はまだ提供されていません。Copilot Studioも同様に、作成したボットやフローの配布には一部制限があります。

ただ、こうした制限は今後そこまで長い期間をまたずに解消されていく可能性が高いため、今後のツール活用における意思決定にはあまり影響がないと思います。

メインツールとサブツールの使い分けを


もちろん、組織でAIを活用する際には、メインツールとサブツールをうまく使い分ける設計が求められます。

AIの進化は幅広い分野に及んでおり、各業務に特化したツールは別で併用するのが現実的です。たとえば、動画生成にはRunway、スライド作成にはイルシル(illushil)、UIデザインとコード生成を同時にこなすならV0など、それぞれの目的に応じて特化型AIを使った方が、圧倒的に早く、且つ高精度で成果が出せるケースが多くあります。

つまり、「社内情報を扱う基盤業務」はCopilotやGeminiで、「創造性・アウトプット重視の専門業務」はRunwayやV0などの専用ツールで――といったように、役割ごとに最適なAIを組み合わせる発想が、これからのAI活用のスタンダードになっていくと考えます。

まとめ

生成AIがどれも同じくらい優秀になってきた今、会社で選ぶ基準は「どれだけ今の仕事に馴染むか」に変わってきています。セキュリティも業務効率も両方考えるなら、やっぱり普段使ってるオフィスツールと連携できるものをメインにするのが正解でしょう。

※主要なチャット型生成AIツールの整理(ChatGPT・Gemini・Copilot等)については、こちらの記事もご覧ください。

とはいえ、AIツールってそれぞれ得意分野があるので、メインを決めつつも、場面に応じて使い分けるのが現時点での最適解ではないかなと思います。

最後に

生成AIの組織活用においては現時点で試行錯誤されている方々、お悩みやご質問があれば、ぜひコメント欄でお聞かせください。各種AIや人材育成の知見をもとに、できる限りお答えします。

AI市場は急速にビジネスや組織のかたちを変えていくと考えています。今後も、この変化をチャンスにするべく、皆で試行錯誤していきましょう。




読んでいただきありがとうございました!
過去のAI関連記事はこちらです!

ちなみに、組織におけるAIの推進についてまとめた本も出版させていただいております。もしよければご覧ください。


<自己紹介>
直近までは、電通グループに属する約1400人・20社以上の事業会社群で構成されるCARTA HOLDINGSにて、全社横断のAI推進室で組織全体のAI活用推進を担いつつ、法人向けの「生成AI&デジマ人材」研修サービスであるD-Marketing Academyの代表取締役も兼務し、大手企業からスタートアップまで、数百社にわたるAI人材育成を支援してきました。

現在は、デジタル関連会社のAI推進や担当コミュニティである「AI Digital Community (ADC)」の代表理事や、顧客事業の「×AI化」をサポートするFURIKAKE Partners(株)と組織のAI活用を支援するプロダクトを提供するAI Portalize(株)の代表取締役を務めており、様々な側面から組織のAI活用をサポートしています!

<略歴>
2005年 5月 大学在学時にEC事業を開始
2007年 5月 (株)サイバーエージェントに入社し新規事業の立ち上げに携わる
2011年 10月 (株)VOYAGE GROUPにてKDDIとの協業事業を行う(株)Flesselを設立し代表取締役に就任
2015年 11月 ECコンサルティング事業を行う(株)JSコンサルティングの代表取締役へ就任
2018年 4月 東証一部プライム企業Hamee(株)にJSコンサルティングをM&Aし、代表取締役を継続
2019年 5月 Hamee(株)の執行役員に就任し、Hameeグループの新規事業領域を管轄
2021年 2月 D2C支援を行うTHE CHOSEN ONE(株)の顧問に就任
2021年 3月 アパレルD2C事業を行う(株)NAAFYの取締役に就任
2021年 4月 D-Marketing Academy(株)を設立し代表取締役に就任
2023年 1月 (株)CARTA HOLDINGSにD-Marketing AcademyをM&Aし、代表取締役を継続
2025年 3月 CARTA HOLDINGSグループ全体のAI活用促進を行うAI推進室を兼務開始
2026年 1月 生成AIに関しての顧問を行うFURIKAKE Partners(株)を設立し、代表取締役に就任
2026年 1月 組織の生成AIプラットフォームサービスAI Portalize(株)を設立し、代表取締役に就任
2026年 1月 デジタル関連のAI活用企業コミュニティ「AI Digital Community(ADC)」を設立し代表理事に就任



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