【AIイラストの考え方】光はあるのに、なぜか画面が平たい|光芒(こうぼう)
床まで光は届いている。それなのに、なぜか奥行きが出ない。床は明るい。影もある。光源の向きも決めている。それでも、窓と床のあいだだけが、すっぽり抜けて見えることがあります。
雰囲気を足そうと「光の筋」を頼むと、今度はレーザーみたいな線が浮いてしまう。明るさを変えたいわけではないのに、どこを直せばいいのか、ちょっと迷います。今回は、そんな「光はあるのに、空間が見えない」ときの光芒の話です。
光芒は「こうぼう」と読みます。私は最初、読み方が分かりませんでした。空気の中に現れる光の筋や扇のことです。
2枚を並べると、先に目へ入るのは床に落ちた明るい四角です。その四角は、どちらの画像にもあります。窓から入った光は、1枚目にもちゃんと届いていました。
それなのに、窓と床のあいだにある「道」は、2枚目でしか見えません。光は1枚目にもある。 では、2枚目で増えたものは何だったのか。今回変えたのは、光ではなく空気でした。
🎨 光を増やさず、空気だけ増やす
同じ図書室を、ほとんど同じ条件で2枚作りました。固定したのは、窓、本棚、床、朝の直射光、カメラ位置です。比較したのは、空気中に細かな塵ともやがあるかどうかだけでした。
まず基準画像を作り、その画像を参照した編集で空気だけを変えています。空気ひとつを比べるために、固定する条件はずいぶん多くなりました。
2枚を別々に生成すると、本棚や画角まで動くことがあります。空気を見たいのに棚の間違い探しが始まりそうなので、今回は参照編集にしました。画像生成では、両方に同じ画風・品質指定を加えています。下の引用は、比較に使った部分です。
🎨 画像1:光はあるのに、道がない
1:1 aspect ratio, dim old library interior, tall multi-pane window on the left, strong direct morning sunlight landing as a clear geometric patch across the wooden floor, clear clean air, no fog, no haze, no smoke, no dust motes, no visible light beams, eye-level camera angled toward the window
日本語訳:1:1の薄暗い古い図書室。左には格子のある高い窓を置き、朝の直射光を木の床へはっきり落とす。空気は澄ませ、霧、もや、煙、塵、見える光線は入れない。カメラは窓へ斜めに向けた水平位置。

床には、窓枠の形をした明るい部分が出ました。光芒の記事ですが、基準画像なので光の筋は一本もありません。これで合っています。少しややこしい。
でも、「光がない画像」ではないんですよね。床はかなり明るいです。窓から床まで、光は通っているはずです。ただ、窓から床までの途中だけが見えません。
🎨 画像2:空気を足すと、途中が見えた
Edit the provided image, keep the exact same composition, camera, window, bookcases, furniture, floorboards, sunlight direction, and existing floor-light pattern. Change only the participating medium in the air: add fine suspended dust and subtle morning haze so the existing sunlight becomes broad translucent volumetric light shafts, starting at the window and extending to the matching illuminated floor, not lens flare, not laser beams.
日本語訳:参照画像の構図、カメラ、窓、本棚、家具、床板、光の向き、床の明るい模様はそのままにする。変えるのは空気だけ。細かな塵と薄い朝もやを加え、窓から床の明るい部分まで続く、幅のある半透明の光芒を見せる。レンズフレアやレーザー光線にはしない。

2枚目では、窓の上側から床へ、淡い光の扇が伸びました。派手な一本線ではなく、よく見ると分かるくらいの薄さです。
床の明るい格子は、1枚目とほとんど変わっていません。光を強くしたというより、もともとあった光の途中が見えるようになっています。光の中には細かな粒があり、本棚はその空気越しに少し白く、やわらかく見えます。
塵を足すと筋だけが増えそうですが、奥の棚まで少し遠くなりました。空気にも厚みがあるようです。
🎨 光芒は、光だけでは見えなかった
ここで「媒体」という言葉が出てきます。つまり、光を散らして通り道を見せる塵や霧のことです。今回は、空気の中身と考えれば十分です。
2枚の差を整理するとき、Epic Gamesの霧と光を扱う公式資料を読みました。そこでは、霧の濃さと、そこへ当たる光を組み合わせ、空間の中で光がどう見えるかを扱っています。
また、光芒の公式資料では、霧や大気を物で遮って光の筋を見せる方法と、光源のまわりをぼかして似た見た目を作る方法を分けています。
これは、画像生成AIの内部処理を説明するものではありません。ただ、光芒が出る条件を整理する手がかりにはなりました。プロンプトでは、どこから入り、何を通り、何に遮られ、どこへ届くかの順で書くと、2枚の差を追いやすくなります。今回なら、左の窓から入った朝日が、塵ともやを通り、窓枠に遮られながら、床へ届く。ひと続きにすると、これだけです。
窓枠が光を遮るため、光の扇には明るい帯と暗い切れ目ができます。その先にあるのが、床の明るい四角です。ただ、今回の画像では、窓枠と光の筋の対応はかなり大まかでした。今回の光芒の見え方は、光だけで決まったわけではなさそうです。空気と、光を遮る窓枠も関わっていました。
🎨 AIは、光を太い扇にまとめた
それでも、光の扇が窓から始まり、床の明るい部分へ向かうつながりは残りました。画面の中央から広がるレンズフレアにはなっていません。
ただ、窓格子の一本一本をそのまま延長したような光ではなく、AIは複数の筋を太い扇へまとめています。物理の図解として見ると、かなりざっくりです。雰囲気は出ていますが、窓格子との対応までは揃いませんでした。
ここで光の筋を細く増やしても、窓とのつながりまで正確になるとは限りません。今回残ったのは、筋の本数よりも、どこからどこへ続く光なのかでした。
🎨 いつものプロンプトへ、光の途中だけ足す
下のコードブロックは、場面を作るプロンプトの代わりではなく、後ろへ足す部品です。先に、いつものプロンプトで「どこから入る光か」と「どこへ届く光か」を決めます。今回なら、左の窓から入る朝日と、木の床へ落ちる光です。そのあとへ、下のコードブロックを加えます。
英語は少し長めですが、見るところは「光源」「塵か霧」「遮る物」「光が届く面」の4か所です。ここだけ自分の場面へ置き換えれば使えます。
directional light passing through fine dust or mist, broad translucent volumetric light shafts beginning at the actual light source and extending toward the matching illuminated surface, coherent shadow gaps made by the objects blocking the light, preserve the scene geometry, not lens flare, not laser beams, not flat painted streaks日本語訳:指向性のある光が細かな塵や霧を通り、実際の光源から光が届いている面まで、幅のある半透明の光芒として続く。光を遮る物に合わせて暗い切れ目を作り、場面の形は変えない。レンズフレア、レーザー光線、平面的な光の筋にはしない。
ここで使った `volumetric light shafts` は、光芒そのものの別名ではなく、画像生成で空気中に見える幅のある光の筋を頼むための言い方です。ただ、この言葉だけでは始点と終点が決まらないので、今回は「窓から入り、塵や霧の中を通り、窓枠に遮られながら床へ届く」と、光の通り道まで順番に書きました。
🎨 このプロンプトが役に立つ場面
光芒は、どんな絵にも足す飾りではなさそうです。光源と、光が届く場所はある。それなのに、そのあいだの空間だけが見えない。そんなときに働きやすい表現です。たとえば、こんな場面です。
窓のある部屋や図書室:朝日が床まで届いているのに、室内が平たく見えるとき
霧のある森や洞窟の入口:木々や岩の隙間から入る光の向きを見せたいとき
舞台や薄煙のある空間:照明から被写体までのつながりを見せたいとき
人物を光の中へ置く場面:背景を全部明るくせず、光の通り道で視線を主役へ運びたいとき
反対に、曇り空のように光が全体へ広がる場面や、光源の位置と向きが決まっていない場面では、光芒を足しても理由のない線になりやすそうです。光の筋を増やすためというより、平たい空間へ奥行きと向きを戻すために使う。そう考えると、このプロンプトの役割が少し見えやすくなります。
いきなり森や舞台まで試さなくても、まずは窓ひとつで十分です。全部を使う必要はありません。自分の場面に必要な部分だけ残してもよさそうです。
ここまで空気の話をしたのに、次に画面が平たくなったら、また光を強くしそうです。
ま、いっか。
あとがき
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
今回から、基礎編と実践編を試しにひとつにまとめてみました。
ちょっとまだ固いですかね〜。
まだまだ試行錯誤中なので、文字が多すぎて読むのだるいとか、今までよりこっちのほうがいい!とかあれば、フィードバックしてもらえると嬉しいです!
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