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第44話✧【丁未】静かに光り薫り続ける人へ



あなたは、やさしさを抱えたまま立っている人だった。


激しく主張しない。

前に出ようともしない。


けれど、気づけばそこにいる。

気づけば、場がやわらいでいる。


丁未。


小さな火(丁)が、

やわらかな土(未)に包まれる干支。


この火は、

燃え広がることも、静かに灯ることも、

どちらも知っている。


人の心に触れ、

温度を保つための灯り。


未の土は、

受け止める土。


善悪を決めない。

正しさで切らない。


ただ、

そのままを引き受ける。


丁未のあなたは、

人の痛みに敏感。


言葉にされない違和感。

表に出ない疲れ。


誰も拾わなかった感情を、

そっと胸の中で受け取ってしまう。


だから、

あなたは自分のことを

後回しにしがちになる。


我慢しているつもりはない。

犠牲になっている自覚もない。


ただ、

そうするのが自然なだけ。


丁未は、無理に輝こうとしない。


目立たなくていい。

評価されなくていい。


それでも、

いなくなると困る存在になる。


あなたがいるだけで、

人は少し本音を出せる。


弱さを隠さなくていいと、

無意識に感じる。


安心とは、

何かを与えられることではなく、

奪われないと知ること。


丁未のあなたは、その空気をつくる。


丁未のあなたは、

人を導こうとはしない。


教えない。

正さない。


ただ、

一緒に同じ場所に立つ。


その静かな在り方が、人を立ち直らせることを

あなたは知らない。


丁未のあなたは、

誰かを救うために生まれたのではない。


人が、自分で戻っていくための

余白として、


そこに在る。








戊申



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