本「ラジカルテクノロジー」
P・ハーパー G・ボイル 他編 / 1982年 時事通信社/ 槌屋治紀 訳 四六版上製 / p.307 / 2500円

本書は、1970年代のオルタナティブ・テクノロジー(代替技術)運動のバイブルとなった記念碑的な書である。巨大化・専門化した近代工業社会における支配的な技術体系を批判し、人間的で地球に優しく、かつ地域コミュニティに根ざした「根源的(ラジカル)」な技術のあり方を提示する。
紙面は「食料」「住居」「エネルギー」「道具」「コミュニケーション」「自立」「コミュニティ」の7つのテーマで構成される。風力発電、有機農業、セルフビルドなどの具体的な小規模技術の実践方法や図解だけでなく、それを支える政治・経済的連帯やユートピア思想に至るまで多角的かつビジュアル豊かに収録している。
技術を巨大資本や国家の手から市民自身の手へと取り戻し、自己決定権と自立性を獲得することを提唱した本書は、持続可能で分散型の社会を構想する上での先駆的なソースブックである。1982年の邦訳出版以来、日本におけるエコロジー運動や適正技術、DIYカルチャーの議論にも今なお強い影響を与え続けている。

コメ-
この本に出会わなかったら、1980年代に“技術“になんか興味を持たなかったかもしれない。それほど、この本との出会いは大きかった。いまでも、その索引は、よく眺めている。
邦訳版『ラジカルテクノロジー』の主要な構成(目次)は、以下の大カテゴリーに分かれている。
本書は単純なテキストではなく、多数の専門家や実践者による論考、技術的な実践方法の図解、およびクリフォード・ハーパーによる未来の生活を描いたイラスト(「ビジョン」)が織り交ぜられた構成となっています。
主要目次(セクション構成)
食料 (Food)
農業ビジネスへの批判、有機農業、家庭菜園、魚類の養殖、堆肥(コンポスト)づくりなど、持続可能な食料生産技術やシステムについて。
住居 (Shelter)
セルフビルド(自力建設)、伝統的な建築技術、土や地域素材を用いたエコロジカルな住居設計、自律型住宅(エコハウス)の試みなどについて。
エネルギー (Energy)
太陽光、風力発電、水力、バイオマス(生物学的エネルギー源)、メタンガスなど、化石燃料や原子力に依存しない分散型・自然エネルギーの技術と仕組みについて。
道具と材料 (Tools and Materials)
小規模生産のための適正な道具、リサイクルと資源循環、金属加工や工作機械の共同利用など、地域の自立を支える生産手段について。
コミュニケーション (Communications) / メディア
巨大メディアに独占されない独立した印刷・放送技術、ローカルコミュニティにおけるネットワーク構築と情報共有の手法について。
自立 (Autonomy)
外部システムへの過度な依存から脱却し、地域社会や個人が生産と消費の決定権を取り戻すための経済的・政治的アプローチについて。
コミュニティ (Community) / 社会的展望
協同組合や共同体(ユートピア)の歴史と実践、技術と社会制度の融合、市民の手によるエコロジカルな未来社会のビジョンについて。
関連サイト
