マルチ(アンシミュ)が壊れた日
なんかおかしいな、と思ったのは
音が出なかったからではありませんでした。
むしろ逆で、
「音は出ているのに、バリバリとノイズが酷い」
そんな逃げたくなるような現実からでした。
ちょっと調子悪いだけであってくれ、
こういうときって、物事は悪い方向に行きます。
嫌な予感と共に。
僕は普段、マルチエフェクター(アンプシミュレーター)を軸に音を作っています。
いわゆる“全部入り”のやつで、
アンプもキャビもエフェクトも、全部その中にあります。
便利ですし、音もいいです。
正直、かなり頼りにしていました。
だからこそ、
その日のノイズはちょっと怖かったです。
最初は「気のせい、ちょっと天候のせい」とか思いたかったです。
ケーブルが悪いのかもしれませんし、
設定をどこか触ってしまったのかもしれません。
こういうのって、結構自分のミスだったりもします。
だから一つずつ確認しました。
でも、どうも違いました。
出力がおかしいです。
そして、ノイズは相変わらず出ています。
ヘッドホン端子から直に聞いてもノイズ酷いです。
「ああ、これ……もしかして」
と思ったときには、
なんとなく分かってしまいました。
壊れたな。
その瞬間に頭に浮かんだのは、
音のことではなくて、「止まる」という感覚でした。
自分の音作りが、
ここで一度止まってしまうかもしれない、という不安です。
そのとき、しのちゃんの言葉を思い出しました。
「デジタルのやつはさ、壊れたら基板ごと交換だからね」
ああ、そうか、と思いました。
つまりそれは、
直すにしても時間がかかりますし、
お金もそれなりにかかりますし、
場合によっては買い替えになるかもしれない、ということです。
もちろん、便利なのは間違いありません。
音もいいですし、再現性も高いです。
でもその代わりに、
壊れたときの“身動きの取れなさ”みたいなものがあります。
あと基盤総とっかえ。もう一台買える値段くらいするかもです。
じゃあ、どうしよう、と思いました。
修理に出すのか。
新しく買うのか。
それとも別のやり方を考えるのか。
そのときふと頭に浮かんだのが、
以前使っていた歪みペダルのことでした。
フリードマンのBE-ODです。
売らなきゃよかったな、と正直思いました。
ああいうシンプルなペダルって、
少なくとも「音が出なくなる」という最悪の事態にはなりにくい気がします。
仮に調子が悪くなっても、
原因が分かりやすいですし、対処もしやすいです。
デジタルはすごいです。
でも、アナログにはアナログの強さがあります。
たぶん問題は、どっちが優れているかではなくて、
“逃げ道があるかどうか”なんだと思います。
今回みたいに、
ひとつの機材に依存していると、
それが止まった瞬間に全部止まります。
音作りも、練習も、ちょっとしたモチベーションも。
それって、思っていたより怖いことでした。
まだどうするかは決めていません。
修理に出すかもしれませんし、
別の機材を考えるかもしれません。
ただひとつだけ、はっきりしたことがあります。
次は、
“壊れても詰まない環境”にしたいです。
それだけは、
ちゃんと考えようと思っています。
