街のグルーヴ、南ロンドンあたりで|極私的プレイリスト
ロンドンの中心部から見て南の方角にある一帯がUKジャズ/グルーヴの中心地になったのはいつごろだったのでしょう。
特にテムズ川を挟んだ向こう側にあるペッカムというエリアの名前は、ここ数年耳にすることが増えました。
以前ちょっとだけロンドンを訪れたとき、私の保護者的な立場でいてくれたひとが言ってました。
あっちの方へは行っちゃダメ、と。

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♪ "Chronic Sunshine" by Cosmo Pyke (2017)
数年前、意外な展開と不思議な聴き心地のこの曲を初めて耳にした時に、あらためてこのエリア発信の音楽に意識が動いたような気がします。
そのずっと以前から、まあまあガラが悪い地域だったようです。
2011年8月にロンドン周辺で起こった暴動は、北部トッテナムを起点として最終的にはバーミンガム、マンチェスター、リバプールなど周辺都市にまで拡大して、もちろんサウス・ロンドンも大荒れだったと聞きました。
そこでの中心がペッカムだったと。
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♪ "No One's Watching Me" by Ezra Collective (2024)
サウス・ロンドンのビッグ・ネームとなって久しいEzra Collective。
2012年の結成時からロンドン南部でUKジャズをリードしてきました。
もともとアフリカ系、ラテン系、カリブ系などの多文化が混在する下町であり、100年以上の歴史を持つキャンパーウェル美術大学や、エイミー・ワインハウスさんも学んだザ・ブリットスクール、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジがあるなど、昔から若い世代が集まりやすい、猥雑ながら活気あふれる街だったのでしょうね。
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♪ "The Way Things Were" by edbl (2021)
この曲が入ったアルバムのタイトルが「South London Sounds」、ストレートすぎるでしょ!と思いました。
Tom Mischさんの影響大、かな。
こういう状況が家賃の安さにも表れ、結果として若い世代を集め始めたというのは、高級化する前のニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジやソーホーにも通じるイメージがあります。
現在はこのエリアも他と大差ないほど地価も上がっているようですけど、昔から工場や倉庫などが多かったそうで、それらの空き物件を利用したクラブやライヴ・ハウス、商業施設が次々に生まれてきた、というのがここ十数年の街の動きだったと聞きます。
近年は、一部はさらにオシャレな雰囲気のエリアへ変わっているようです。

画像は印刷工場跡地を利用したクラブ「プリントワークス・ロンドン」。
そういえばニューヨークには、80年代に紡績工場跡地に開業したジャズ・クラブ「ニッティング・ファクトリー」がありますね。
もしかして意識してる?
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♪ "South Of The River" by Tom Misch (2017)
そのMischさんの、「川の南側へおいでよ ここからすべてが始まるよ」と歌う、ちょっと皮肉も効いたサウス・ロンドン讃歌。
この曲のころはサウス・エリアが最先端だったんでしょうね。
そんな流れを加速したのが、2012年のロンドン・オリンピック開催に合わせて運用が始まったロンドン・オーヴァーグラウンド(ロンドン近郊をつなぐ鉄道路線)のイースト〜サウス経路の開通だったそうです。
色合いもカワイイ車輌だし、ちょっと乗ってみたいなぁ。

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♪ "Did It Again" by Victoria Port (2025)
ブライトン出身の才能あふれるSSW。
いろんな要素を取り込んで自分の味にしているのがステキ。
60’sソウル・ガールズ・グループ好きってのも良くわかる。
それ以前、25年ほど前からロンドンのナイト・シーンは(例えばアシッド・ジャズは)、セントラルからイースト・エリアに徐々に移行していったそうですが、それと同じことがサウス・エリアにも起こったと言えます。
ということはいずれこの地域もポップ・カルチャーの中心地としての役目を終え、またどこか他の街が新しい文化を生み出していくことになるのでしょうか。
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♪ "Say Something" by Emma-Jean Thackray (2021)
こちらも現在の南ロンドンの重要人物、丸メガネがキュートなEmmaちゃん。
あたしゃ独自の道を進むんだ、という強い意志が伺えます。
彼女の新しいジャズに期待してます。
事実、上がる一方の家賃や急激な開発に嫌気が差してここを離れるひとたちも増えているということです。
現地生活者としてはさまざまな都合や意見があって当然です。
「今この街がアツイ!」みたいな移り気なハナシはどこの都市でも常に話題になりますよねー。
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♪ "Take It In Stages" by The Brit Funk Association (2024)
UKソウル/ブリット・ファンクの大御所たちが集まったユニット。
確かな技術に支えられた品のある爽快さがいつ聴いても気持ちイイ❤️
こういうムーヴメントのピーク時にその渦中に居たかったなぁ、とも思いますが、流行り廃りに関係なくステキな音楽を提供してくれる大勢のミュージシャンたちの活動は今も活発です。
まだまだこれからもこのエリアの音楽を楽しみたいと考えております。
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♪ "To Be Loved" by Opaz (2024)
こんなレコード屋さんで、掘り出しモノなんてなくてもいいからこの空気に浸っていたいなぁ。
南ロンドンのプロデューサーRay Haydenさんが発掘した80年代のヴィンテージ・ソウルが、イナタくてめっちゃツボです。
top image : liushuquan, Thank you for letting me borrow your wonderful work.
