サブリナカーペンター光すぎる
「今日はありがとね、じゃあまた」
「うん、気をつけて!家着いたら連絡して」
彼と別れて改札を出た瞬間、イヤホン装着。流れるような操作でスマホからApple Musicを開きサブリナカーペンター"manchild"を流す。"fuck my life"のところで自然と唇が動いてしまう。
「くそくらえ、こんな人生」か。
正直言って、なんで彼と付き合ってるのか自分でも理解不能だ。私は知性が溢れて諧謔みがあってそれでいてセンスがいい人がタイプだったのに。学生時代はラグビー部で勉強は頑張ってこなかったけど今は一生懸命働いて、友達もまあまあ多くて週末は後輩連れて飲みに行くようなそんな彼とは、25歳になるまでお互いを認識してはいたけれど関係を深めることはなかった。数年前久しぶりに会ってから少し会話を交わすようになり、彼と私が通勤で使う電車が同じことも判明。そこから数回食事を重ねて彼から告白されOKしてしまったのは私の方だが、実はしっくりきていない。
大学を卒業して数年経ってこんな歳にもなると流石に結婚する同級生も増え始め、お互いそのことを頭にちらつかせながら距離を縮めていったけれど、私は幼い頃から「結婚」に興味がないのだ。いや、興味がないわけではなくて、いわゆるnot for me. 私はパスするね、という感じ。長女ではあるけれどひとりっ子期間が長かったせいか、ひとりでいることが大好きで、自分の頭の中でいろいろなことを考えては自己完結できるタイプなので、むしろそれを邪魔されたりかき乱されたくないと思ってしまう。
それではなぜ、私は彼と付き合うことを許諾してしまったのか。二十代も中盤に至り、「安定した相手」と「安定した関係」を築きたかったから。そう、最初に「なんで彼と付き合ってるのか自分でも理解不能だ」なんて言っておきながら、私のしっかりとした意思で導かれた結果なのだ。簡単に言うと、「普通」が欲しかった。今まで他所に言えない・言いたくない相手としか出会えなかった私がやっと人並みの誰も傷つけない関係を創ることができると思っていたが、それは結果として私自身の、なにかこう、尊厳的な部分を少しずつ少しずつ引っかき、毛羽立たせていった。
サブリナカーペンターはmvの中で男を殺す。今まで散々、様々な芸術作品の中で女が死んできたことに対するアンチテーゼであるかのように、男を殺す。
おそらく今すぐではないだろうがいずれいい感じのタイミングで私と結婚したいと思っているであろう彼を、サブリナカーペンターは何で殺すのだろう。ナイフ?銃?それともネクタイで首を絞める?
"fuck my life."
ここは男が出させて、と食事を奢ってくれていた彼。私がガパオライスにハマってると言うと今度作って食べさせてよ言う彼。私を差し置いて一人でいって一人で終わる彼。子供は欲しい?と聞かれてうーん育児って興味ないんだよね、自分で精一杯だから。と答えると、えー?産んでみないとわからないよと言う彼。えへへ、と曖昧に笑う私。私の一番魅力的な部分が死ぬ。私はサブリナカーペンターと付き合いたい。
