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【詩】再演


 また何処かに何かを置き忘れる事で、妙に澄んだ黄昏は新しい風を運ぶ。緩やかに夜までの流れを慎重に刻み込み、その瞳へと溶け込んで行く。気付いたらその鼓動に意識を向けていた。耳を傾けて寄り添う程に、次第にズレて行く日々が手遅れになる前の事象だと気が付く。

 浮いて行った泡沫。浮ついて、沈む様に潜るのはもう難しい。浅瀬で深い話をしたいのです。新たに開拓したこの浜辺で潮風に吹かれながら。響く笑い声と波音、横顔を照らす月明かり。そこに気持ちだけを置いて行ってしまった私は、自分の意思すら初めからないみたいに今を漂っていた。

 曖昧でも真っ直ぐな瞳をして、どこもかしこも曲りくねった道を行く。深い深い街の奥底まで。もう終わりだと思える時は来ない。思考停止して進むべき道が無くなっても、尚一層この日常が繰り返されるのは、あの場所に忘れてしまった何かを、また思い出す為の事なのだろう。

 ここに居るだけで良いのではないかと納得した今日。でも変わらず心の隅に有るのはあの時の願いや祈りやらでその陰影だけでも輝かせたかった。何にもならない物語。それを知っていても、どうしたらいいのかわからない。どうしようも無いけれど、幕が再び上がる様に夜は明けて行く。










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